白い錠剤を口に運ぶ高齢の女性
写真はイメージです

トップ / サプリ・成分

サプリ・成分

メトホルミンで若返る? 糖尿病の薬と老化の研究の現在地

糖尿病の薬メトホルミンで、若返ることはできるのでしょうか。老化に関わる体の指標が変わった研究はありますが、健康な人が飲んで元気に過ごせる期間が延びるかは、まだ分かっていません。

根拠 初期12分で読めます公開 2026.11.02更新 2026.11.02
安藤安藤(薬剤師)
ReverseAging.Tech 薬剤師 / 連載「薬剤師が読み解く」
この記事の要点
  • 老化に関わる指標が変わった研究はあるが、ヒトの健康寿命を延ばす効果はまだ確かめられていない
  • 筋トレや有酸素運動の効果を弱める可能性がある。ただし、糖尿病で治療中の人が、薬や運動を自己判断でやめる理由にはならない
  • 老化対策での使用は適応外(国が認めた使い道の外)。個人輸入には、品質や副作用への対応の面で注意が必要

こんにちは、ReverseAging.Tech 薬剤師の安藤です。

メトホルミンは、主に肝臓で糖がつくられるのを抑えて血糖を下げる、2型糖尿病の飲み薬です。マウスやサルの研究、糖尿病の人の生存データをきっかけに、老化そのものを遅らせるのではないかと注目されてきました。

ただし、糖尿病の治療としての効果と、老化対策としての効果は別の話です。健康な人が老化対策として飲んで、病気が減ったり、元気に過ごせる期間が延びたりするかは、まだ確かめられていません。

メトホルミンはどんな薬? 糖尿病の薬が「若返り」で注目されるわけ

ヨーロッパの伝統的な薬草「ガレガ」をルーツに持ち、1957年に糖尿病への使用が報告された薬です。いまでは世界で最も多く処方されている血糖を下げる薬で、日本でも、病気の状態に応じて選ばれる選択肢の一つです。国内で認められた使い道は2型糖尿病などで、老化は含まれていません。

老化の研究で注目されるようになったのは、細胞のエネルギーのやりくりに関わる働きがあると考えられているためです。マウスの実験では、カロリー制限(食事の量を減らすこと)に似た働きや、酸化ダメージや炎症を下げる方向の変化が報告されています。ただし、作用のしくみには今も議論が続いています。

細胞を「省エネで傷みにくい状態」に切り替えるかもしれない、というのが老化研究からの見立てです。60年以上、血糖を下げるために使われてきた薬に、別の役割があるかもしれない。この期待が、「若返りの薬」という呼び名につながっています。

いまここ動物マウス・サルヒトの観察研究ヒトの小さな試験老化を狙う大きな試験結果は条件しだい確かめ直すと結果が逆に結果が割れている結果はまだ出ていない
図: メトホルミンと老化の研究は、ヒトで小さな試験が行われている段階です。

マウスやサルでは老化がゆるやかに? 動物研究で分かったこと

2013年の研究では、中年から少量のメトホルミンを餌に混ぜたオスのマウスで、健康寿命(健康に過ごせる期間)と寿命が延びたと報告されました。その後、米国の3つの施設が、遺伝的に多様なマウスを使って共通の手順で行った試験では、メトホルミン単独で寿命がはっきり延びることは確認されませんでした。

2024年には、中年期のオスのサルにメトホルミンを3年あまり与えた研究が発表されました。血液や組織の分子のパターンから体の年齢を推定する「老化の時計」でみると、脳をはじめ複数の臓器で、老化の進み方がゆっくりになっていました。脳ではおよそ6年分の差がみられ、萎縮も抑えられて、認知機能が保たれていたと報告されています。ただし、寿命そのものを測った研究ではありません。

マウスの寿命の話は、条件の違う試験で結果がそろっておらず、まだ揺れている段階です。サルの研究は、ヒトに近い動物で脳の老化の指標に変化が見えた点で注目されていますが、調べたのはオスだけで、「老化の時計」は寿命や病気そのものではありません。動物で見えた手がかりを、ヒトで確かめる段階に来ているところです。

ヒトでもメトホルミンに若返り効果はある? 試験で分かってきたこと

メトホルミンを飲む人は長生き? 飲む人と飲まない人を比べるだけでは分からない

英国の診療データを使った2014年の研究では、メトホルミンで治療を始めた2型糖尿病の人の生存期間が、糖尿病でない人より長く見えたと報告されました。一方、2022年にデンマークのデータで確かめ直した研究では、同じ傾向は見られず、メトホルミンを飲む糖尿病の人のほうが、糖尿病でない人より死亡率が高いという結果でした。

ただし、どちらも糖尿病のある人とない人を比べています。この比較だけでは、メトホルミンが寿命を延ばすかどうかは分かりません。

こうした「飲む人と飲まない人を比べる研究」(観察研究)では、比べる相手の選び方や、数え始める時期などの違いで、薬が実際より良く見えることがあると指摘されています。

薬のおかげかどうかを確かめるには、くじ引きで飲む組と飲まない組を分けて比べる比較試験が必要になります。

老化に関わる体の指標は変わる? 試験によって異なる結果

小石の上に置かれた砂時計

約70歳の14人が6週間ずつ飲んだ小さな試験では、筋肉や脂肪で、老化に関わる遺伝子の働きが変化したと報告されています。

2026年には、糖の代謝がやや悪い高齢者145人を2年間追った比較試験が公開されました。まだ査読(専門家の審査)を受ける前の論文です。

この試験が主に確かめようとしたのは、虚弱(フレイル:介護が必要になる手前の衰え)が改善するかどうかでした。その判定では、改善は確かめられませんでした。1年目にはメトホルミンの組のほうが悪い向きに見えましたが、著者は体重が減ったためと説明していて、体重の項目を除くと差はありませんでした。

一方、体の不調や衰えのサインがいくつ重なっているかを数える別の指標では、進行が止まりました。血液から調べる「老化の時計」も、一部では進み方がゆるやかになりましたが、変わらないものもありました。

HIV感染のある50歳以上の40人を96週間追った比較試験では、主な評価とした老化の時計に差はみられませんでした。

一方、2026年9月には、インドの糖尿病予備群(糖尿病の一歩手前)の30〜60歳127人が24週間飲んだ比較試験で、年齢とともに短くなる染色体の端の部分「テロメア」が長くなったと報告されました。ただ、伸び幅がとても大きく、著者自身も慎重に解釈すべきで、より大きく長い試験での確認が必要だとしています。

試験によって結果が分かれ、同じ試験の中でも、物差しによって変わったり変わらなかったりしています。人数が少ない試験や査読前の試験も多く、「ヒトでも老化がゆるやかになる」とはまだ言えません。では、検査で分かる変化は、歩く力を保ったり、病気を防いだりすることにつながるのでしょうか。

歩く力や病気の予防につながる? 実際の健康を調べた試験

英国で、筋力が落ちて弱り始めた平均80歳の72人が4か月飲んだ比較試験では、歩く速さは変わらず、この年代の人には飲み続けにくい薬だったと報告されています。

病気の予防では、メタボリックシンドロームの人1,442人を約3年追った比較試験で、2型糖尿病の発症は減りましたが、ほかの病気を防ぐ効果の上乗せは確認されていません。

米国では、糖尿病になりやすい3,234人が参加した試験の、その後を約21年にわたって追いかけています。最初にくじ引きで、メトホルミンを飲む組や、偽薬(有効成分を含まない薬)を飲む組などに分けた試験です。

メトホルミンの組でも、死亡、心臓や血管の病気、がんは減りませんでした。ただ、途中から偽薬の組でも糖尿病の治療としてメトホルミンを飲む人が増えたことなどで、差が見えにくくなった可能性も指摘されています。

老化そのものを対象にした試験は?

老化に伴う複数の病気をまとめて遅らせられるか。その問いに答える大規模な試験も、2016年に提案されました。ただ2024年には、特許が切れた安い薬で製薬会社の利益につながりにくく、資金集めが難しいと報じられています。結果はまだ出ていません。

筋トレや運動の効果を弱める? メトホルミンと運動の関係

運動の習慣がある人に、知っておいてほしい研究があります。

筋トレをした高齢者では、筋肉の量が増えにくかった

健康な65歳以上が14週間筋トレをした比較試験では、メトホルミンを飲んだ組は、偽薬の組より、除脂肪量(脂肪を除いた体の重さ)や太ももの筋肉量の増え方が小さくなりました。太ももの筋肉量は、偽薬の組で3.90%増えたのに対し、メトホルミンの組では0.45%でした。一方で、筋力の差ははっきりしませんでした。

14週間の筋トレで増えた太ももの筋肉量偽薬+筋トレメトホルミン+筋トレ3.90%0.45%健康な65歳以上の比較試験。筋力の差ははっきりしなかった
図: 健康な65歳以上が14週間筋トレをした試験では、メトホルミンの組で太ももの筋肉量の増え方が小さくなりました。筋力への影響は、はっきりしませんでした。

有酸素運動で体力が伸びる効果も、わずかに弱まる可能性

公園をジョギングする白髪の女性

62歳前後の53人が12週間の有酸素運動をした試験では、体力の目安(最大酸素摂取量)と、インスリンの効きやすさの改善が弱まりました。9つの試験・827人をまとめた解析でも、体力と血圧の改善が「わずかに」小さくなったと報告されています。この解析の確かさは中程度で、対象は血糖に異常のある人が中心です。

運動の効果がなくなるわけではなく、伸び幅が小さくなる可能性がある、と受け止めるのが実際に近いでしょう。偽薬を飲みながら運動した組では、体力やインスリンの効きやすさがきちんと改善していました。

糖尿病で飲んでいる人へ:薬も運動も、自己判断でやめないで

運動の試験を行った米国の研究者は、「メトホルミンや運動をやめるべきという意味ではない」と説明しています。患者向けの説明書でも、自己判断でやめたり量を変えたりすると病気が悪化することがある、と注意されています。ただし、発熱や下痢、吐き気などで食事や水分がとれないときは、脱水が心配なため、いったん飲むのを休んで主治医に相談するよう、日本糖尿病学会などはすすめています。いざというときの対応は、日ごろから主治医と確かめておきましょう。

肥満傾向の2型糖尿病の人の比較試験では、従来の治療より合併症や死亡が少なかったと報告されています。老化研究で注目されているのは、血糖と体を守ってきた実績のある薬の「もう一つの顔」です。糖尿病の治療として飲んでいる人は、薬も運動も、主治医と相談しながら続けてください。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
2型糖尿病の人の合併症・死亡根拠 確立従来の治療より少なかった
糖尿病になりやすい人・メタボの人の病気の予防(1,442人と3,234人の比較試験)根拠 有望糖尿病の発症は減った。死亡、心臓や血管の病気、がんは減らず
筋トレや有酸素運動への影響根拠 有望筋肉の増え方が小さい。体力・血圧の改善はわずかに小さい
中高年の老化の指標・体の動き根拠 初期結果が割れている。歩く速さは変わらず
長生き・がん・認知症(観察研究と、乳がんの比較試験)根拠 初期観察研究では結果がそろわず、乳がんの比較試験では再発を減らさず
動物(マウスの寿命・サルの老化の時計)根拠 動物マウスは結果がそろわず、サルは脳などで老化がゆるやかに
まだ分かっていないこと健康な中高年が飲んで、老化に伴う病気が減るかどうかは、まだ確かめられていません。老化の時計の結果が試験によって割れる理由や、その変化が実際の健康にどうつながるのかも分かっていません。サルの研究はオスだけで行われたもので、ヒトに当てはまるかも分かっていません。運動と組み合わせたとき、どんな人に、どの程度の影響が出るかも、これからの研究を待つ必要があります。高齢者145人の試験は査読前で、著者の一人が老化の時計に関する特許に関わっています。

では、どうすればよいか

メトホルミンに老化を遅らせる働きがあるかは、まだ研究の途中です。老化対策としての効果を期待して使うことと、糖尿病の治療として使うことは、分けて考える必要があります。

糖尿病で飲んでいる人は、この記事を理由に自己判断で薬をやめたり減らしたりせず、気になることを主治医に相談してください。老化対策が気になっている人も、まずは運動を続け、健康診断の結果を見直すところから始めてみましょう。

メトホルミンは処方が必要な薬で、老化対策での使用は適応外(国が認めた使い道の外)です。

個人輸入には、どんな注意点がある?

厚生労働省は、医薬品の個人輸入は多くの場合リスクが大きく、健康被害が起きても国の救済制度の対象にならないとしています。

2016年に国の研究費で行われた調査では、代行サイトで買ったメトホルミン40サンプルのうち、3サンプルが品質の基準に合いませんでした。33サンプルは製造元の確認が取れず、本物かどうか判断できませんでした。これは、33サンプルが偽物だったという意味ではありません。処方箋を求めたサイトはなく、日本語の説明書が付いていたのは1サンプルだけでした。

メトホルミンの副作用では、下痢や吐き気などおなかの症状が比較的よくみられ、長く飲むとビタミンB12が下がりやすいという報告もあります。頻度は高くないものの重い副作用に、乳酸アシドーシス(血液に乳酸がたまる状態)があります。腎臓の働きの低下や脱水、お酒の飲みすぎで起こりやすくなるため、処方するときには腎臓の働きや年齢などを確かめてから使われます。

個人輸入で薬を入手しても、自分の体に合うかの確認や、副作用が出たときの相談先まで確保できるとは限りません。品質だけでなく、使う前の確認や、体調をくずしたときの対応も含めて、慎重に考える必要があります。

今日からできること
  • 運動を続ける
  • 健康診断で、血糖に関する結果を見ておく
  • 糖尿病でメトホルミンを飲んでいる方は、自己判断でやめたり減らしたりせず、気になることは主治医に相談する
  • 個人輸入は、品質や副作用への対応の面から慎重に考える

ほかにもラパマイシンや、老化した細胞を取り除く薬など、老化との関係が研究されている薬があり、別の記事でくわしく紹介します。同じ糖尿病の薬であるSGLT2阻害薬の研究は、「糖尿病の薬に老化細胞を減らす働き?マウス研究の読み方」で紹介しています。

詳しく知りたい方へ(研究の中身)
作用のしくみ(Diabetologia 2017・総説)主に肝臓で糖がつくられるのを抑える。細胞のエネルギー不足を感じ取る酵素AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を介する働きと、介さない働きの両方が示されている。腸に働いてGLP-1(血糖を調整するホルモン)を増やし、腸内細菌の構成を変えることも報告。分子レベルのしくみは今も議論が続いている
英国の診療データ(Diabetes Obes Metab 2014)メトホルミン単剤で治療を始めた2型糖尿病7万8,241人、スルホニルウレア薬1万2,222人、糖尿病でない対照9万463人の観察研究。メトホルミン群を基準にすると、対照の調整後の生存期間(中央値)は15%短かった
デンマークの再検討(Int J Epidemiol 2022)同様の比較を行った観察研究。メトホルミン群の死亡率は糖尿病でない対照より高かった(死亡率の比:調整後1.32、双子のペアの分析で1.64)。著者の結論は「糖尿病のない人と同等以上の生存とは関連しない」
観察研究の偏り(Ageing Res Rev 2017/Diabetes Care 2012)53研究のまとめで、著者自身が対象者の特徴の差による結果のゆがみを限界として記載。がんの観察研究では、薬を飲み始めるまでの期間の数え方による偏り(immortal time bias)などが、薬の効果を大きく見せると指摘
マウスの寿命(Nat Commun 2013/Aging Cell 2016)2013年:中年のオスのマウスで、食事に0.1%を混ぜると健康寿命と寿命が延びた(1%は毒性)。2016年:米国3施設・遺伝的に多様なマウスの試験で、0.1%単独では寿命の有意な延長なし
サル(Cell 2024)13〜16歳のオスのカニクイザルに、体重1kgあたり1日20mgを40か月。脳・肺・腎臓・肝臓などで老化の時計の進みがゆるやかになり、脳ではおよそ6年分の差。寿命や病気の発症は評価していない
遺伝子の働き(Aging Cell 2018)耐糖能異常のある約70歳の14人。6週間ずつ飲む期間と飲まない期間を入れ替えて比べる試験。筋肉で647、脂肪で146の遺伝子の働きが変化。体の中の指標のみ。登録: NCT02432287
虚弱と老化の時計(medRxiv 2026・査読前)糖代謝がやや悪い高齢者145人(平均72歳)、2年間の比較試験。不調の蓄積の指数(frailty index)の進行が止まり、老化の時計の一部(1年あたりPC-Horvath2で−0.40年、PC-Hannumで−0.33年)で進みがゆるやかになった。事前に決めた主な評価(Fried基準の虚弱)は1年目に悪化の方向(体重減少の項目を除くと差なし)。GrimAge・PhenoAge・DunedinPACEは差なし。著者の一人が老化の時計に関する特許に関係。登録: NCT02570672
HIV感染のある高齢者(EClinicalMedicine 2026)糖尿病のない50歳以上の40人、96週間の比較試験。主な評価の老化の時計(PhenoAge)に有意差なし(−1.02年、95%信頼区間−5.30〜3.26)。登録: EudraCT 2021-003299-15
体の動き(Lancet Healthy Longev 2025・MET-PREVENT)英国、65歳以上で筋力が落ち歩く速さが遅い72人(平均80.4歳)、1日1,500mgを4か月。主な評価の4m歩行速度に差なし。メトホルミン群は入院が多く(35人中12人と偽薬36人中3人)、著者は「この集団では忍容性が低い」と結論。登録: ISRCTN29932357
テロメア(Mech Ageing Dev 2026)インドの糖尿病予備群、30〜60歳の127人(112人が完了)、1日1,000mgを24週間。参加者と評価者に割り付けを伏せた比較試験。白血球のテロメアの長さ、テロメラーゼの働き、SIRT1の発現が増えた。著者は、変化の大きさは慎重に解釈すべきで、より大きく長い試験での確認が必要としている
メタボの人の試験(Diabetes Care 2025)メタボリックシンドロームの1,442人、約3年、1日1,700mg。2型糖尿病の発症が減った。主な評価の差は、糖尿病が減ったことで説明された
糖尿病予防の長期追跡(Diabetes Care 2021/Circulation 2022/Cancer Prev Res 2025・DPP/DPPOS)米国、糖尿病になりやすい3,234人を1996〜99年にメトホルミン(850mgを1日2回)・生活習慣の指導・偽薬に分け、約21年追跡。偽薬と比べ、全死亡(ハザード比0.99)、主要な心血管イベント(1.03)、がんの発症(0.90)に有意差なし。追跡中に試験外でメトホルミンを飲む人が増えたことなどで、差が薄まった可能性を著者が指摘。登録: NCT00004992/NCT00038727
老化を狙う大規模試験(Cell Metab 2016/NPR 2024)老化に伴う病気をまとめて遅らせるかを調べる試験として2016年に提唱。2024年の報道では、ジェネリック薬で製薬会社の利益になりにくいことが資金集めの壁とされた。結果は未発表
筋トレ(Aging Cell 2019)健康な65歳以上(94人が完了)、14週間の筋トレと1日1,700mgの比較試験。除脂肪量は偽薬で+1.95%、メトホルミンで+0.41%。太ももの筋肉量は+3.90%と+0.45%。筋力の差は有意でなかった。登録: NCT02308228
有酸素運動(Aging Cell 2019)62歳前後の53人、12週間の有酸素運動。最大酸素摂取量とインスリンの効きやすさの改善が弱まった
運動とメトホルミンのまとめ(EClinicalMedicine 2026)9試験・827人。運動だけの場合と比べ、体力(最大酸素摂取量)と血圧の改善がわずかに小さい。確かさは中程度。血糖・脂質には差なし
血管のインスリンの効きやすさ(J Clin Endocrinol Metab 2026)メタボのリスクがある成人、16週間。運動による改善が、メトホルミンを併用すると弱まった。研究者は「メトホルミンや運動をやめるべきという意味ではない」と説明
糖尿病の合併症(Lancet 1998)肥満傾向の2型糖尿病753人の比較試験(UKPDS 34)。従来の治療より、糖尿病に関わる合併症や死亡が少なかった
がん・認知症(JAMA 2022/Diabetes Obes Metab 2025)高リスクの乳がん3,649人の比較試験で、再発・死亡に差なし。認知症は、糖尿病の人の観察研究のまとめで少ない傾向だが、研究ごとのばらつきが大きい。登録: NCT01101438
副作用(添付文書・日本糖尿病学会ほか)消化器症状、ビタミンB12の低下(長期の追跡研究)、まれに重い乳酸アシドーシス。腎機能が大きく低下した人には使えず、75歳以上はより慎重に判断する
個人輸入の品質(厚生労働科学研究 2017年度報告)2016年に代行サイトで購入した40サンプル。品質の基準に不適合が3(7.5%)、製造元の確認が取れず真正性が不明なものが33(82.5%)。処方箋の提示を求めたサイトはなし
出典(34件)
  1. Bailey. Metformin: historical overview. Diabetologia. 2017. PMID 28776081
  2. メトホルミン塩酸塩錠 添付文書(2023年11月改訂). 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
  3. 日本糖尿病学会. 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版). 糖尿病. 2023;66(10):715–733. リンク
  4. Rena G, et al. The mechanisms of action of metformin. Diabetologia. 2017. PMID 28776086
  5. Martin-Montalvo, et al. Metformin improves healthspan and lifespan in mice. Nat Commun. 2013. PMID 23900241
  6. Strong R, et al. Longer lifespan in male mice treated with a weakly estrogenic agonist, an antioxidant, an α-glucosidase inhibitor or a Nrf2-inducer. Aging Cell. 2016. PMID 27312235
  7. Yang, et al. Metformin decelerates aging clock in male monkeys. Cell. 2024. PMID 39270656
  8. Bannister, et al. Can people with type 2 diabetes live longer than those without? A comparison of mortality in people initiated with metformin or sulphonylurea monotherapy and matched, non-diabetic controls. Diabetes Obes Metab. 2014. PMID 25041462
  9. Keys MT, et al. Reassessing the evidence of a survival advantage in Type 2 diabetes treated with metformin compared with controls without diabetes: a retrospective cohort study. Int J Epidemiol. 2022. PMID 36287641
  10. Campbell, et al. Metformin reduces all-cause mortality and diseases of ageing independent of its effect on diabetes control: A systematic review and meta-analysis. Ageing Res Rev. 2017. PMID 28802803
  11. Suissa S, Azoulay L. Metformin and the risk of cancer: time-related biases in observational studies. Diabetes Care. 2012. PMID 23173135
  12. Kulkarni AS, et al. Metformin regulates metabolic and nonmetabolic pathways in skeletal muscle and subcutaneous adipose tissues of older adults. Aging Cell. 2018. PMID 29383869
  13. Musi N, et al. A Randomized Clinical Trial of Metformin to Reduce Frailty in Older Adults with Glucose Intolerance. medRxiv(プレプリント・査読前). 2026. リンク
  14. Marcelo-Calvo C, et al. Metformin and epigenetic age in non-diabetic older people with HIV in Madrid (METFORAGING): a double-blind, randomised, placebo-controlled, pilot trial. EClinicalMedicine. 2026. PMID 42023167
  15. Pasanisi P, et al. Metformin Treatment With or Without Mediterranean Diet for the Prevention of Age-Related Diseases in People With Metabolic Syndrome: The MeMeMe Randomized Trial. Diabetes Care. 2025. PMID 39641916
  16. Barzilai N, et al. Metformin as a Tool to Target Aging. Cell Metab. 2016. PMID 27304507
  17. Aubrey A. A cheap drug may slow down aging. A study will determine if it works. NPR(WAMC配信). 2024年4月22日(報道). リンク
  18. Walton RG, et al. Metformin blunts muscle hypertrophy in response to progressive resistance exercise training in older adults: A randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter trial: The MASTERS trial. Aging Cell. 2019. PMID 31557380
  19. Konopka, et al. Metformin inhibits mitochondrial adaptations to aerobic exercise training in older adults. Aging Cell. 2019. PMID 30548390
  20. Etayo-Urtasun, et al. The effects of metformin and exercise training on cardiorespiratory, blood pressure, and metabolic adaptations across the spectrum of glucose dysregulation: a systematic review and meta-analysis. EClinicalMedicine. 2026. PMID 42051241
  21. Malin, et al. Metformin Blunts Vascular Insulin Sensitivity After Exercise Training in Adults at Risk for Metabolic Syndrome. J Clin Endocrinol Metab. 2026. PMID 41160096
  22. メトホルミン塩酸塩錠 患者向医薬品ガイド(2014年9月改訂). 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
  23. 日本糖尿病学会・日本糖尿病協会 ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会. メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(2020年3月18日改訂). リンク
  24. UK Prospective Diabetes Study (UKPDS) Group. Effect of intensive blood-glucose control with metformin on complications in overweight patients with type 2 diabetes (UKPDS 34). Lancet. 1998. PMID 9742977
  25. Tang, et al. Association of Metformin use with risk of dementia in patients with type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis. Diabetes Obes Metab. 2025. PMID 39780315
  26. Goodwin, et al. Effect of Metformin vs Placebo on Invasive Disease-Free Survival in Patients With Breast Cancer: The MA.32 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2022. PMID 35608580
  27. Aroda VR, et al. Long-term Metformin Use and Vitamin B12 Deficiency in the Diabetes Prevention Program Outcomes Study. J Clin Endocrinol Metab. 2016. PMID 26900641
  28. Lee CG, et al. Effect of Metformin and Lifestyle Interventions on Mortality in the Diabetes Prevention Program and Diabetes Prevention Program Outcomes Study. Diabetes Care. 2021. PMID 34697033
  29. Goldberg RB, et al. Effects of Long-term Metformin and Lifestyle Interventions on Cardiovascular Events in the Diabetes Prevention Program and Its Outcome Study. Circulation. 2022. PMID 35603600
  30. Heckman-Stoddard BM, et al. Randomized Study of Metformin and Intensive Lifestyle Intervention on Cancer Incidence over 21 Years of Follow-up in the Diabetes Prevention Program. Cancer Prev Res. 2025. PMID 40243198
  31. Witham MD, et al. Metformin and physical performance in older people with probable sarcopenia and physical prefrailty or frailty in England (MET-PREVENT): a double-blind, randomised, placebo-controlled trial. Lancet Healthy Longev. 2025. PMID 40147475
  32. Bhatt SP, et al. Metformin therapy increases leukocyte telomere length, telomerase activity, and longevity gene expression in Asian Indians with prediabetes: A 24-week participant-blind, outcome-assessor-blinded randomized controlled trial. Mech Ageing Dev. 2026. PMID 42692117
  33. 厚生労働省. 医薬品等を海外から購入しようとされる方へ. リンク
  34. 吉田直子、木村和子ほか. 個人輸入メトホルミンの真正性と品質に関する研究と非破壊分析の応用. 厚生労働行政推進調査事業費補助金 平成29年度 分担研究報告書. リンク
無料動画セミナーのサムネイル
動画 約15分
特集・無料動画セミナー若返り研究の最前線にある「幹細胞」。いま、どこまで来ている?

15分の無料動画で、幹細胞の仕組みと最新の研究、受けられる場所や費用の考え方までお伝えします。

この記事は役に立ちましたか?

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。

次に読む

ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

よく読まれている記事

  1. シューマッハ氏の近況報道と、幹細胞治療について分かっていること
  2. マレーシアで受ける幹細胞点滴のご案内
  3. 半月板の再生医療「セイビスカス注」承認、誰がいつ受けられる?
  4. Muse細胞はいまどうなっている?開発中止の背景と研究の現在地
  5. 自分の脂肪から採る幹細胞、利点と限界は?自家と他家の比べ方
健康長寿のニュースを、メールで

世界の研究と話題から、編集部が選んだ記事をお届けします。