
大豆イソフラボンやエクオールで、更年期のほてりは変わる? 比較試験のまとめ
40代後半から50代の女性に多い、急に顔や体が熱くなる「ほてり」。大豆イソフラボンやエクオールのサプリは、更年期の悩みに合わせてよく見かけます。比較試験とそのまとめから、どこまで分かっているかを整理しました。
- 大豆イソフラボンのサプリとほてりの関係は、比較試験のまとめでも結果が分かれており、はっきりした差は確かめられていない
- エクオールを作れない人がエクオールを飲んだ試験のまとめでは、ほてりの点数が下がったと報告されているが、試験は6本と少ない
- 北米閉経学会の2023年の声明は、大豆食品・大豆の抽出物・エクオールを、ほてり対策として勧めていない
- サプリで上乗せする量の目安は、大豆イソフラボン(アグリコン換算)で1日30mgまでと国は示している。妊娠中の方と子どもは上乗せを勧められていない
大豆イソフラボンのサプリで更年期のほてりが軽くなるかは、比較試験のまとめでも結果が分かれており、はっきりした差は確かめられていません。エクオールについては、ほてりの点数が下がったとする試験のまとめがあるものの、試験の数が少なく、北米の学会は勧めていません。
ここでいう比較試験は、くじ引きで組に分け、片方にサプリ、もう片方に見た目の同じ偽物(プラセボ)を飲んでもらって比べる方法です。
大豆イソフラボンとエクオールは、何が違う?
大豆イソフラボンは、大豆に含まれる成分のまとまりで、女性ホルモンのエストロゲンに形が似ています。エクオールは、その一つであるダイゼインから体の中で作られる成分です。体の中でエクオールを作れる人と作れない人がいて、作れるかどうかでサプリの結果が違うのではないかと考えられてきました。
大豆イソフラボンのサプリで、ほてりは減る?
2013年のコクラン(医療の研究をまとめる国際的な団体)のまとめは、43の比較試験、4,364人を調べています。結論は、大豆などの植物由来のエストロゲンに似た成分がほてりや寝汗を減らすという、決め手になる根拠はないというものでした。偽物を飲んだ組でも、ほてりの回数が1〜59%減っていました。思い込みの影響が大きく、差が見えにくい分野だと分かります。一方で、ゲニステイン(大豆イソフラボンの一つ)を1日30mgより多く含む抽出物では、4つの試験でほてりの回数が減っていたとも書かれています。
その後のまとめでも、結果はそろっていません。2025年に発表された12の試験のまとめでは、更年期の症状全体の点数はわずかに下がっていました。ほてり・汗・眠れないといった項目では、偽物との差は見られませんでした。2024年の5つの試験、425人のまとめでは、症状全体と暮らしの質に差はなく、気分の落ち込みの点数だけが下がっていました。このまとめは、もとの試験に利益相反の心配が大きいものが多いと指摘しています。
エクオールのサプリはどう?
2019年に、6つの比較試験、779人をまとめた解析があります。エクオールそのものを飲むか、エクオールを作れる人が大豆イソフラボンを飲んだ試験を集めたものです。5つの試験を合わせた解析で、ほてりの点数が下がったと報告されています。ただし、個々の試験では差が出たものと出なかったものがありました。
日本では、エクオールを作れない閉経後の女性160人の比較試験があります。ほてりが1日1回以上ある人が、エクオール1日10mgか偽物を12週間飲みました。ほてりの回数はエクオールの組で58.7%、偽物の組で34.5%減り、その差は統計的に意味のあるものでした。首や肩のこりの程度も下がっていました。最後まで続けたのは126人です。
北米閉経学会は2023年の声明で、ほてりへの対策として大豆食品、大豆の抽出物、エクオールのいずれも勧めないとしています。根拠が限られている、または結果がそろっていないという判断です。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 大豆などの植物由来成分でほてりは減るか(43試験のまとめ・2013年) | 根拠 確立 | 決め手になる根拠はない。偽物でも1〜59%減少 |
| 大豆イソフラボンと更年期の症状(12試験のまとめ・2025年) | 根拠 確立 | 症状全体はわずかに低下。ほてり・汗は差なし |
| 大豆イソフラボンと症状・暮らしの質(5試験のまとめ・2024年) | 根拠 確立 | 差なし。気分の落ち込みの点数だけ低下 |
| エクオールとほてり(6試験のまとめ・2019年) | 根拠 確立 | ほてりの点数が低下。試験数は少ない |
| エクオールを作れない日本人女性のほてり(160人・12週) | 根拠 有望 | 回数の減り方が偽物より大きかった |
| 子宮内膜・ホルモンの値への影響(40試験のまとめ・2025年) | 根拠 確立 | 偽物との差なし |
飲み続けて、体への心配はない?
2025年に、閉経後の女性を対象にした40の試験、3,285人のまとめが発表されました。大豆イソフラボンを1日75mg前後、半年ほど飲んだ組でも、子宮内膜の厚さやホルモンの値に、偽物との差は見られませんでした。コクランのまとめでも、2年までの使用で子宮内膜などへの影響は見られなかったと書かれています。
日本では、厚生労働省が目安を示しています。食事からとる大豆イソフラボンは、アグリコン換算で1日16〜22mgと試算されています。サプリなどで上乗せする量は1日30mgまでとされています。豆腐や納豆、みそなどの大豆食品は、ふだんの食事で食べる量なら心配はないとしています。妊娠中の方と子どもは、サプリでの上乗せを勧められていません。
では、どうすればよいか
大豆食品は、たんぱく質やカルシウムをとれる食品として、ふだんの食事に取り入れられます。サプリを試す場合は、表示の量を確認し、上乗せの目安を超えないことが大切です。ほてりで眠れない、仕事に差し支えるなど、暮らしに影響が出ている場合は、婦人科で相談すると、医療機関で受けられる方法を含めて選べます。
- 豆腐、納豆、みそなどの大豆食品を、ふだんの食事で無理のない範囲でとる
- サプリを使う場合は、大豆イソフラボン(アグリコン換算)の量を確認し、上乗せは1日30mgまでを目安にする
- 数か月続けても変化を感じない場合は、続けるかどうかを見直す
- ほてりや寝汗で眠れない、暮らしに差し支えるときは、婦人科の医師に相談する。乳がんなどの治療中・治療後の方、持病で薬を飲んでいる方も、サプリを始める前に医師に相談する
- 妊娠中・授乳中の方と子どもは、サプリでの上乗せをしない
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| コクランの43試験のまとめ(Cochrane Database Syst Rev 2013) | ほてりや寝汗のある閉経前後の女性を対象にした12週以上の比較試験43本・4,364人。大豆食品・大豆の抽出物・赤クローバーなどを比較。多くは試験の違いが大きく統合できず。植物由来成分がほてり・寝汗の回数や程度を減らすという決め手になる根拠はない。偽物の組でも1〜59%減少。ゲニステインを1日30mgより多く含む抽出物の4試験では一貫して減少。2年までの使用で子宮内膜などへのエストロゲン様の作用や有害事象の差は見られず。著者の一人は対象試験2本の著者 |
|---|---|
| 12試験のまとめ(PeerJ 2025) | 2024年10月までの文献から12本を採用。更年期の症状全体で小さな低下(7試験・533人、Hedges' g −0.25)。頭痛・気分の落ち込み・動悸・心理的な症状で低下。ほてり・過度の発汗・不眠・血管運動症状では有意な差なし。著者は人数が少なく慎重な解釈が必要としている。利益相反なしと開示 |
| 5試験のまとめ(Explore 2024) | 2023年9月までの比較試験5本・425人。更年期の症状(標準化平均差 −0.49、95%信頼区間 −1.13〜0.16)と暮らしの質の身体面・精神面で有意な差なし。気分の落ち込みは低下(−0.41)。対象試験に利益相反の危険が高いものが多いと指摘 |
| エクオールの6試験のまとめ(J Med Food 2019) | エクオールそのもの、またはエクオールを作れる人での大豆イソフラボンの比較試験6本・779人。5本を統合した解析で、ほてりの点数が有意に低下。個々の試験では有意差のないものもあった。バイアスの危険は全体に低いと評価 |
| 日本の160人の比較試験(J Womens Health 2012) | エクオールを作れない閉経後の日本人女性で、ほてりが1日1回以上ある160人。エクオール1日10mg(77人)か偽物(83人)を12週間。ほてりの回数は −1.9回/日(−58.7%)対 −1.0回/日(−34.5%)、p=0.009。ほてりの程度と首・肩のこりも低下。重い有害事象の報告なし。完了は126人。資金は抄録に記載なし |
| 40試験の安全性のまとめ(Adv Nutr 2025) | 閉経後の女性を対象にした3か月以上の比較試験40本(52比較)・3,285人。大豆イソフラボンは中央値1日75mg、期間は中央値24週。子宮内膜の厚さ・腟の成熟指数・FSH・エストラジオールのいずれにも有意な差なし。根拠の確からしさは高〜中程度。著者の一人は大豆業界から資金を受ける団体に雇用されていたと開示 |
| 北米閉経学会の声明(Menopause 2023) | ほてりへのホルモン以外の対策を評価。大豆食品・大豆の抽出物・エクオールは、根拠が限られている、または一貫していないとして推奨しない(レベルII) |
| 厚生労働省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A(2006年) | 日本人の食事からの大豆イソフラボン摂取量はアグリコン換算で1日16〜22mgと試算。特定保健用食品などで上乗せする量は1日30mgまで。妊婦と子どもの上乗せは推奨しない。伝統的な大豆食品はふだんの量なら心配はないとしている |
- Lethaby A, et al. Phytoestrogens for menopausal vasomotor symptoms. Cochrane Database Syst Rev. 2013. PMID 24323914
- Luan H, et al. Effects of soy isoflavones on menopausal symptoms in perimenopausal women: a systematic review and meta-analysis. PeerJ. 2025. PMID 40718787
- Gençtürk N, et al. The effect of soy isoflavones given to women in the climacteric period on menopausal symptoms and quality of life: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Explore (NY). 2024. PMID 38825560
- Daily JW, et al. Equol Decreases Hot Flashes in Postmenopausal Women: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials. J Med Food. 2019. PMID 30592686
- Aso T, et al. A natural S-equol supplement alleviates hot flushes and other menopausal symptoms in equol nonproducing postmenopausal Japanese women. J Womens Health (Larchmt). 2012. PMID 21992596
- Viscardi G, et al. Effect of Soy Isoflavones on Measures of Estrogenicity: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Adv Nutr. 2025. PMID 39433088
- The North American Menopause Society. The 2023 nonhormone therapy position statement of The North American Menopause Society. Menopause. 2023. PMID 37252752. リンク
- 厚生労働省. 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A. 2006年. リンク

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










