近年、幹細胞治療は美容や医療の分野で大きな注目を集めています。ノーベル賞で話題になったiPS細胞をはじめ、NHKなどのメディアでも再生医療の最新情報が報じられています。
その背景には、従来の医療では改善が難しかった疾患や老化現象に対して、幹細胞が持つ「再生能力」が新たな希望をもたらしていることがあります。例えば、皮膚や関節の若返り、免疫機能の向上、さらには神経や臓器の修復など、さまざまな分野での応用が期待されています。
こうした幹細胞医療は、日本ではまだ限られた範囲でしか提供されていませんが、海外ではさらに先進的な治療が進んでいます。特にマレーシアでは、幹細胞点滴による若返り施術が注目され、多くの人がその効果を求めて訪れています。本記事では、幹細胞の基礎知識から治療のメリット・デメリット、そして日本とマレーシアの治療法の違いまで、わかりやすく解説します。
幹細胞とは
幹細胞(Stem Cell)とは、私たちの体の中に存在するさまざまな細胞のもとになる特殊な細胞です。幹細胞の最大の特徴は、次の2つの能力を持つことです。
- 自己複製能力:一つは自分と同じ能力を持つ細胞を作り出す
- 分化能力:もう一つは筋肉や神経など他の組織の細胞に変化する
この2つの能力によって、皮膚、血管や血液のように寿命がきて失われた細胞を補充し、体の組織を絶えず修復・維持する役割を担っています。言い換えれば、幹細胞は体内の「予備軍」として新しい細胞を生み出す源なのです。
従来の医療との違い
医療界のパラダイムシフト、そう呼ばれているのが「再生医療」です。ご存知の通り、悪いところを手術する、または薬によって治す、これが従来の医療の形です。これに対して、再生医療は誰もが持つ「幹細胞」を使います。
細胞の力を使って失った機能を取り戻す、これが再生医療です。従来の医療のアプローチとは根本的な考え方が異なることが、パラダイムシフトと呼ばれる所以です。両者はそれほど大きな違いを持っています。
ある番組ではサンショウウオを例に出していました。サンショウウオは例え手足を切断されても、自身の細胞の力によって失われた手足を再生することができます。トカゲのしっぽをイメージすると更に身近に感じることが出来るかも知れません。
サンショウウオやトカゲほどではありませんが、我々人間も元々「再生する力」を持っています。手術や薬で治すのではなく、人間が持つ再生する力を活かして本来体があるべき状態に戻すことを目指す医療、それが「再生医療」であり、そのカギを握るのが「幹細胞」です。
幹細胞のこの性質を利用して、ケガ、病気や加齢で傷ついた部分の修復が期待できます。
従来の薬物療法が症状を抑えたり不足する物質を補ったりするのに対し、再生医療では新たに取り込んだ幹細胞が傷んだ臓器や組織を修復し、加えて、自らが元々持つ細胞を刺激します。
例えば、幹細胞を点滴で投与することにより、失われた組織を再生させたり、分泌する物質で自己治癒力を高めたりするアプローチです。これはまさに「体を中から若返らせる」治療法であり、不可能とされてきた臓器や神経の再生も視野に入っています。
病気やケガの治療にはもちろんですが、幹細胞は様々な分野で注目を集めています。
我々、ReverseAging.Techが特に注目しているのは「アンチエイジング」「若返り」「未病・体調改善」の3つの分野です。人生100年と言われる今だからこそ、いつまでも健康で、充実した日々を過ごしたいものです。
NHKも注目する幹細胞
実際、従来は治せなかった病気やケガが幹細胞による再生医療で改善した例も登場しています。例えばNHKの特集では、脊髄損傷で首から下が麻痺した患者が骨髄由来の間葉系幹細胞治療によって杖なしで歩けるまでに回復したという感動的な事例が紹介されました。

このように幹細胞は医療の常識を変える可能性を秘めており、特に抗老化(アンチエイジング)や難病治療への効果が期待されています。
幹細胞の特徴
幹細胞には他の細胞にないユニークな特徴がいくつかあります。
第一に前述した自己複製能と分化能です。幹細胞は分裂して自分と同じ能力を持つ幹細胞を作り出す一方で、筋肉・骨・神経などさまざまな細胞に変身できます。このため、一つの幹細胞から理論的には無数の細胞を生み出すことが可能です。
第二に、幹細胞は体中の様々な組織に存在します。骨髄や血液、皮膚、脂肪、歯の神経など、体の至る所に体性幹細胞(後述)が潜んでおり、中でも皮下脂肪には特に多く存在することが研究で明らかになっています。そのため美容分野などでは皮下脂肪から幹細胞を採取して利用する方法が一般的です。しかし、自分の身体から採取した細胞や、皮下脂肪を用いた幹細胞点滴は実は効果的ではないことが知られています。
第三に、幹細胞にはホーミング効果と呼ばれる性質があります。これは体内に入れた幹細胞が自らダメージを受けている部位を探索して集まる働きで、傷んだ組織の修復を促すものです。例えば点滴で幹細胞を全身に巡らせると、血流に乗って体内を回りながら、損傷した箇所に集中的に留まって修復を始めることが確認されています。
このホーミング効果により、直接アプローチできない深部の臓器や自覚していないダメージにも幹細胞が作用できるのです。
さらに、幹細胞は生体の維持や調整を行う機能を持っています。専門的には「生体維持機能」「抗炎症作用」「免疫調整能」という3つの特徴があると言われ、体内環境を整え炎症を抑え、免疫バランスを調整する働きがあります。
これらの総合的な作用により、幹細胞は体内の修復や再生を強力にサポートし、未来の医療分野に革新的な治療法をもたらす鍵となっています。
実は違う?様々な幹細胞の種類と役割
一口に幹細胞と言っても、その由来や分化できる範囲によっていくつかの種類に分類されます。それぞれ性質や役割が異なるため、ここでは代表的な幹細胞の種類について詳しく見ていきましょう。
多能性幹細胞
多能性幹細胞とは、体のほとんどの細胞に変化できる能力を持つ幹細胞です。そのため、細胞の供給源としての可能性が広く、再生医療の研究が盛んに行われています。代表的なものに ES細胞(胚性幹細胞) と iPS細胞(誘導多能性幹細胞) があります。
ES細胞(胚性幹細胞)
ES細胞は、受精直後の初期胚から採取される細胞で、あらゆる細胞に分化できる能力を持っています。そのため、再生医療における大きな可能性を秘めていますが、受精卵を破壊して採取する必要があるため、倫理的な問題が指摘されているのが課題です。日本でも、倫理的な観点から研究や臨床応用には厳しい規制が設けられています。
iPS細胞(誘導多能性幹細胞)
iPS細胞は、皮膚などの通常の体細胞に特殊な遺伝子を導入することで人工的に作り出された多能性幹細胞です。2006年、京都大学の山中伸弥教授によって発見され、ノーベル賞を受賞したことで世界的に知られるようになりました。
iPS細胞は、自分の細胞から作れるため、拒絶反応のリスクが少ないという大きなメリットがあります。そのため、再生医療の分野では、病気の仕組みを解明する研究や、新薬の開発(創薬)にも活用されています。
ただし、iPS細胞には腫瘍化(がん化)のリスクがあることが懸念されています。iPS細胞を作る際に、ウイルスを活用して遺伝子を導入するプロセスがあり、この制御が難しいため、無制限に増殖しすぎる可能性が指摘されています。そのため、一般の治療として実用化されるには、まだ時間がかかると考えられています。
ES細胞とiPS細胞が抱える課題
- ES細胞の課題:受精卵を破壊する必要があるため、倫理的な問題が伴う。
- iPS細胞の課題:遺伝子操作に伴う腫瘍化のリスクがあり、安全性の確立が必要。
このように、どちらも強力な再生能力を持つ一方で、安全性や倫理的なハードルのため、我々の手に届くまでには、まだ課題が多いのが現状です。
組織幹細胞(体性幹細胞)
組織幹細胞は、体の特定の部分に常在し、その組織の維持や修復を担っています。多能性幹細胞ほど広い分化能は持たないものの、自分が存在する組織に必要な細胞へと変わり、日常的な細胞補充やダメージの修復に欠かせない働きをしています。
造血幹細胞
造血幹細胞は、骨髄や臍帯血(へその緒に含まれる血液)に存在し、赤血球・白血球・血小板など血液に関わる細胞に分化する幹細胞です。
実際の医療では、白血病や再生不良性貧血などの治療に用いられる 骨髄移植(造血幹細胞移植) が代表的な例として知られています。これは何十年も前から実用化されている技術であり、成功例も多く、幹細胞治療の中でも確立された分野の一つです。
間葉系幹細胞
体性幹細胞の中で、その医療への可能性から最も注目されているのが、間葉系幹細胞(MSC: Mesenchymal Stem Cell)です。
間葉系幹細胞は、骨や軟骨、脂肪など主に中胚葉由来の細胞に分化できる幹細胞で、骨髄や脂肪、歯髄、臍帯(へその緒)など様々な場所に存在しています。
特に、臍帯由来の間葉系幹細胞は若く、増殖能力や分化能力が高いことから、美容や抗老化(アンチエイジング)の分野で期待されています。
造血幹細胞が血液を作る専門家だとすれば、間葉系幹細胞は 「組織の修復屋」 のような存在です。骨・軟骨・筋肉・血管・皮膚など、身体の構造や再生に関わるさまざまな細胞へと分化できるため、再生医療の分野で最も実用化が進んでいる幹細胞 の一つです。
間葉系幹細胞の活用と期待
間葉系幹細胞は、組織の修復や免疫調整を助ける作用を持つため、現在世界中で再生医療の治療に応用されています。
実際に、間葉系幹細胞を用いた治療は以下のような分野で進んでいます。
- 脊髄損傷の治療
- 心臓病の治療(心筋梗塞・狭心症など)
- 関節疾患(変形性膝関節症など)
- 自己免疫疾患(リウマチ・多発性硬化症など)
- 糖尿病、糖尿病合併症の治療
- アンチエイジング(肌のハリ・ツヤの改善、発毛促進)
幹細胞を点滴で体内に取り込むことで、細胞レベルからの若返りが可能になると考えられており、近年では 幹細胞点滴療法 が注目されています。
間葉系幹細胞の効果
間葉系幹細胞は何に効く?
それでは、再生医療で特に活躍が期待される「間葉系幹細胞(MSC)」には具体的にどのような効果があるのでしょうか。間葉系幹細胞は前述のように生体維持・抗炎症・免疫調整といった作用を持つため、多岐にわたる分野で治療効果を発揮すると考えられています。
ここでは「美容」「病気」「抗老化(アンチエイジング)」の3つの観点から、間葉系幹細胞治療の効果を見ていきます。
美容
間葉系幹細胞は美容の世界でも「若返りの切り札」として注目されています。肌に幹細胞を点滴などで投与すると、シミ・くすみ・シワなど加齢による肌の変化を内側から改善する効果が報告されています。
実際、間葉系幹細胞を投与した研究では、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生み出す線維芽細胞が増殖し、時間とともに肌のハリや弾力が回復していくことが確認されました。
これにより、肌の内側からふっくらと持ち上がるように若返る効果が期待できます。また、幹細胞治療は発毛・育毛の分野にも応用されており、抜け毛・薄毛の改善にも効果があるとされています。
また、頭皮に幹細胞由来の成分を注入することで毛包(髪の毛の種)の環境を整え、髪のコシやボリュームが増すケースも報告されています。
病気
間葉系幹細胞はさまざまな病気の治療にも応用が進んでいます。
NHKで特集された脊髄損傷の他にも、変形性膝関節症(膝の軟骨すり減り)に対する関節内注射や、重度の骨折治癒の促進に用いられる例があります。
実際に、培養した間葉系幹細胞を膝関節に注入した治療では、1年にわたり痛みの軽減や可動域の改善が認められたという報告もあります。
また、自己免疫疾患(例:関節リウマチや多発性硬化症)への応用も進んでおり、間葉系幹細胞の抗炎症・免疫調整作用によって過剰な免疫反応を抑制し症状を和らげる試みが行われています。
心筋梗塞など心臓の病気にも、損傷した心筋の再生や血管新生を促す目的で間葉系幹細胞を使う治療が研究されており、心機能の改善が期待されています。
さらに、糖尿病に対する効果も報告されており、間葉系幹細胞を膵臓に移植してインスリン分泌細胞の再生を促す研究や、幹細胞が出す成長因子で糖尿病性足潰瘍(足の難治性のキズ)を治そうとする治験も行われています。これらのように、間葉系幹細胞治療は難病治療や再生が難しい臓器の修復に対して新たな希望をもたらしています。
抗老化(若返り)
幹細胞治療の中でも特に注目されるのがアンチエイジング(抗老化)効果です。年齢とともに衰える体の機能を幹細胞で補い、若々しさを取り戻すという発想です。実際、幹細胞点滴療法を受けることで疲労回復が早くなったり免疫力が向上したりといった全身のコンディション改善が期待できます。
幹細胞や培養中に分泌されるサイトカイン(成長因子など)は弱った組織や細胞を修復・活性化する働きがあるため、点滴後に「深い睡眠が取れるようになった」「疲れにくくなった」「風邪をひきにくくなった」と感じる方もいます。
また、将来的な病気予防の観点から幹細胞治療を受ける方もいます。
例えば、認知症やパーキンソン病など加齢に伴う脳神経の衰えに対して、幹細胞で神経細胞の再生や炎症抑制を図る研究が進んでいます。さらに、幹細胞治療には全身の生理的機能を改善し結果的に「病気になりにくい身体」を作る作用も期待されます。
幹細胞治療はまさに中高年にとって待望の抗老化医療と言えるでしょう。
なぜ幹細胞治療が必要なのか?
年齢とともに減少する幹細胞
幹細胞は元々誰の体にも存在する細胞です。ただし、年齢と共に急激に減少をしてしまいます。
その数は、実は生まれた瞬間が最も多く、約60億個の幹細胞を持っていると言われています。0歳の時の幹細胞の数を100%とした場合、20歳の段階で既に10%まで減り、40歳では4%、50歳で2.5%、80代に至ってはわずか0.5%程度になってしまいます。
幹細胞が減少すると古くなった細胞の置き換えやダメージ修復が追いつかなくなり、病気の治りも遅くなります。実際、高齢になると傷が治りにくくなったり、臓器の機能が衰えたりするのは幹細胞含む再生能力の低下が一因です。
このため、幹細胞治療によって体内に新たな幹細胞を補充し、自己修復力を高めることは加齢対策として理にかなっているのです。
幹細胞治療は従来の治療法では改善が難しい症状に対する新たな選択肢でもあります。
例えば脊髄損傷や心筋梗塞後の心不全、変形性関節症など、これまで「治らない」「進行を抑えるしかない」とされてきた疾患に対し、幹細胞による再生治療は根本的な改善の可能性を示しています。前述の通り、骨髄間葉系幹細胞の移植(点滴)で麻痺した患者が歩行を取り戻したケースや、重度の膝関節症で幹細胞治療後に痛みが軽減し歩行能力が向上したケースなど、希望の持てる報告が増えてきました。
これらは従来のリハビリや薬物治療だけでは得られにくい劇的な回復例であり、幹細胞治療の必要性を物語っています。
幹細胞治療がおすすめな人
幹細胞治療は次のような方々に特におすすめできます。
美容・若返りを目指す人: 肌や髪のアンチエイジング効果を期待する50代以上の方や、「いつまでも若々しくいたい」というシニア世代に適しています。シミ・シワの改善やエネルギー向上などアンチエイジング効果を求めている方にはおすすめの治療法です。実際、幹細胞点滴を受けて「疲れにくくなった」「肌の調子が良い」と感じる中高年の方も増えています。弊社代表の加藤もその一人で、定期的に幹細胞点滴を受けています。加藤自身も、友人や知人から「肌ツヤがとても良い」と評判です。
慢性的な体調不良や加齢症状がある人: 年齢とともに増える関節の痛み、慢性疲労、物忘れなど、加齢による体調不良に悩む方にも幹細胞治療は有望です。自己治癒力の低下を補うことで、体の内側からコンディションを整える効果が期待できます。更年期障害の症状緩和やフレイル予防(筋力低下の防止)などに関心のある方にも適しています。
病気の根本的な改善を目指す人: 従来治療で効果が頭打ちになっている難治性の疾患やケガをお持ちの方にも選択肢となります。たとえば、変形性膝関節症で手術以外に方法がないと言われた方、高血圧などの生活習慣病で薬が手放せない方、心臓病や肝臓病など臓器のダメージがある方、脳梗塞や脊髄損傷後の後遺症を少しでも改善したい方などです。幹細胞治療は幅広い症状の改善につながる可能性があるため、複数の持病を抱える方にも総合的なケアとして期待できます。
免疫力を高め健康になりたい人: 繰り返す感染症や治りにくい炎症(例えば難治性の腸炎やアトピー性皮膚炎)に悩む方、あるいは将来の病気予防に関心が高い方にも向いています。幹細胞の免疫調整作用で免疫機能の向上が期待できるため、体質改善や病気に負けない体づくりを目指す人におすすめです。
このように、美容・健康・医療に関心のある中高年の方にとって、幹細胞治療は魅力的な選択肢となり得ます。
幹細胞治療について
ここからは、実際の幹細胞治療の方法や流れ、日本と海外の違いなど、具体的な情報を解説します。
幹細胞治療の種類
一口に幹細胞治療と言っても、どの組織由来の幹細胞を使うかによっていくつか種類があります。主な幹細胞治療の種類は以下の通りです。
脂肪由来幹細胞治療
患者自身の皮下脂肪から間葉系幹細胞を採取し、培養して増やした上で体内に戻す治療です。皮膚の下の脂肪組織には間葉系幹細胞が豊富に含まれるため、これを利用します。採取方法は局所麻酔下で数ミリの切開を行い米粒大の脂肪片を複数取る程度で、大きな負担なく細胞を取り出せます。採取した脂肪から幹細胞を分離し、培養器で数週間かけて必要な数まで増やします。増えた幹細胞は点滴や注射で体内(静脈や患部)に戻されます。日本の美容クリニックや再生医療施設でもっとも一般的に行われている方法で、膝関節症や美容目的の若返り治療として提供されています。ただし、自分の脂肪を使うため手術(脂肪吸引)と培養に数週間の時間を要する点はデメリットです。
我々、ReverseAging.Techがご案内するのは脂肪由来ではなく、この後ご紹介する「骨髄由来」そして「臍帯由来」です。なぜ骨髄、臍帯由来をおすすめしているのか、その理由は「脂肪由来と骨髄由来・臍帯由来の違い」でご案内しています。
骨髄由来幹細胞治療
骨髄由来幹細胞治療では、20代の健康なドナー(提供者)から採取した骨髄液に含まれる間葉系幹細胞を培養し、治療に活用します。骨髄には脂肪由来幹細胞と比べて炎症抑制や免疫調整作用に優れた細胞が含まれており、特に関節疾患や心疾患、自己免疫疾患などの治療に応用されています。
また、骨髄由来の間葉系幹細胞は、臨床研究の数が最も多い幹細胞の一つです。世界中で数多くの治験・研究が行われており、安全性や有効性のデータが蓄積されている点が大きな特徴です。そのため、再生医療分野では脂肪由来や臍帯由来と並び、治療法の確立が進んでいる幹細胞とされています。
臍帯(ウォートンジェリー)由来幹細胞治療
臍帯(へその緒)や臍帯血から採取された幹細胞を用いる方法です。臍帯は赤ちゃんと母体をつなぐへその緒で、出産時にしか得られない組織ですが、ここに含まれる間葉系幹細胞は非常に若く活性が高いとされています。
いわば0歳の幹細胞であり、老化や生活習慣・薬剤などの影響を全く受けていないため再生能力が飛び抜けて高いのです。この臍帯由来幹細胞を培養して点滴投与する治療は、日本では研究段階ですが、再生医療先進国マレーシアでは実用化され注目を集めています。
自分自身の臍帯を保存していなくても、提供された新生児の臍帯から取れた他家幹細胞を利用できるのが特徴です。
脂肪由来と骨髄由来・臍帯由来の違い
脂肪由来と骨髄由来・臍帯由来の大きな違いは、「自家細胞か他家細胞か」、そして「細胞の若さ」にあります。
自家細胞と他家細胞
日本では、法律で自分の細胞を使う「自家細胞点滴」のみが認められています。しかし、自分の細胞は年齢とともに老化してしまうため、若々しさを最大限に引き出すためには、生まれたばかりの赤ちゃん(0歳)の臍帯由来幹細胞や、若い人の幹細胞を使う「他家細胞点滴」が理想的です。
自家細胞:
自家細胞とは、自分自身から採取した細胞のことです。幹細胞治療で言えば患者本人の脂肪や骨髄から取り出した幹細胞を培養・投与する方法が自家細胞療法になります。
他家細胞:
他家細胞とは、自分以外の他人(ドナー)から提供された細胞のことです。幹細胞治療では、提供者の骨髄や臍帯血・臍帯などから採取された幹細胞を培養し、患者に投与する方法が他家細胞療法に当たります。かつては拒絶反応の問題から他家移植は難しいとされていましたが、間葉系幹細胞は免疫を司るHLA型の発現が少なく免疫原性が低いため、他人由来でも安全に投与できることがわかっています。
日本では法規制により、自家細胞による幹細胞点滴のみが認められています。他家細胞を受けるには、他家細胞の臨床研究が進んでいるマレーシアなどの海外へ行く必要があります。
細胞の若さ、活性の違い
脂肪由来幹細胞は患者自身の細胞(自家細胞)を利用します。そのため、加齢とともに幹細胞の増殖能力や分泌する成長因子の量が低下し、年齢が高いほど再生効果などの活性が低下します。特に高齢者では、採取した細胞が十分に増殖せず、期待する効果が得られないこともあります。
一方、骨髄由来・臍帯由来の幹細胞は他家細胞としてドナーから提供されるため、若く、活性の高い幹細胞を使用できるのが大きなメリットです。
特に臍帯由来幹細胞は、生まれたばかりの赤ちゃんのへその緒から採取されるため、この世で最も若い0歳の、増殖能力や抗炎症作用に優れた幹細胞です。
このように、自家細胞を使う脂肪由来幹細胞と、若く質の高い他家細胞を使う骨髄由来・臍帯由来幹細胞では、再生医療における効果や適用範囲に違いがあります。特に抗老化(アンチエイジング)や免疫調整を目的とする場合、より若い細胞を使用できる骨髄由来・臍帯由来の幹細胞が有利と考えられています。
それぞれの幹細胞が持つ再生能力・抗炎症作用・免疫調整機能の違い
幹細胞 | 再生能力 | 抗炎症作用 | 免疫調整作用 | 成長因子分泌量 | 細胞の活性 |
脂肪由来 | 中程度(脂肪・皮膚・軟骨) | 中程度 | 中程度 | 加齢の影響大 | 年齢とともに低下 |
骨髄由来 | 高い(血管・軟骨・骨・筋肉) | 強い | 強い | 比較的多い | ドナーの年齢に依存 |
臍帯由来 | 非常に高い(全身の細胞に作用) | 非常に強い | 非常に強い | 最も多い | 最も高い(新生児由来) |
脂肪由来間葉系幹細胞:
自身の脂肪組織から採取される自家細胞であり、主に皮膚・脂肪組織・軟骨の再生に特化しています。美容目的の治療では、肌のハリや弾力を向上させる効果が期待されますが、細胞の活性は年齢とともに低下するため、高齢者では増殖や成長因子の分泌が十分でないケースもあります。また、抗炎症作用や免疫調整作用はあるものの、骨髄由来・臍帯由来と比較すると劣るとされています。
骨髄由来間葉系幹細胞:
組織の修復能力が高く、特に血管や関節の再生に適しているのが特徴です。血流の改善や組織の修復を促進することで、全身の代謝を活性化し、老化による機能低下を防ぐ働きがあります。また、炎症抑制効果が非常に強く、慢性炎症による老化(炎症老化)を防ぐのに適しています。さらに、免疫調整作用にも優れているため、自己免疫のバランスを整え、加齢による免疫機能の低下を防ぐ効果が期待できます。
臍帯由来間葉系幹細胞:
臍帯由来幹細胞は、生まれたばかりの赤ちゃんのへその緒から採取されるため、この世で最も若く、再生能力が最も高い幹細胞です。成長因子の分泌量が豊富で、皮膚・筋肉・血管・神経・内臓など、あらゆる組織の修復を促す能力を持っています。特に、抗炎症作用や免疫調整作用が非常に強く、老化の原因となる慢性炎症を抑え、全身の細胞の若返りを促進する効果が期待できます。
また、臍帯由来幹細胞は年齢の影響を一切受けず、どの世代にも安定した効果を発揮するのが大きな強みです。アンチエイジング効果を最大限に高めたい場合、最も適した幹細胞と言えます。
幹細胞治療の流れ
幹細胞治療を受ける際の一般的な流れを説明します。国内で自家細胞治療を行う場合と、マレーシアで他家細胞治療を行う場合で大きくプロセスが異なります。基本的な手順は以下の通りです。
国内
専門クリニックで診察を受け、再生医療等提供計画の同意取得など必要な手続きを行います。
次に患者本人から細胞を採取します。脂肪由来なら腹部や腿の皮下脂肪を少量採取します。採取後、ラボで幹細胞を分離培養し、数週間〜1ヶ月ほどかけて所定の細胞数まで増やします。
増殖が完了したら再度クリニックを訪れ、点滴または注射で培養幹細胞を体内に戻します。投与後はしばらく安静にし、副作用がなければそのまま帰宅できます。
効果の実感は個人差がありますが、一般に3ヶ月〜半年ほどかけて徐々に現れると言われます。治療は1回のみの場合もありますが、より効果を高めるため数ヶ月おきに複数回行うケースもあります。
海外(マレーシア)
海外で受けられる幹細胞治療は、他家細胞を使用するため、自家細胞の採取や培養が不要です。
実際には、臍帯(へその緒)などから採取した幹細胞を培養し、安全性試験を経たうえで、幹細胞点滴用の製剤が作られます。
そのため、ご自身の細胞を採取・培養する手間がなく、治療をスムーズに受けられるのが大きなメリットです。
特にマレーシアでの幹細胞治療は、クリニックや病院で点滴を受けるだけで完了します。施術時間はおよそ1時間前後と短く、負担が少ないため、気軽に受けられるのも魅力です。
なぜマレーシアでの幹細胞治療がおすすめなのか?より詳しく知りたい方は<マレーシアの首都クアラルンプールで受ける幹細胞治療のご案内>のページをご覧ください。
メリット
幹細胞治療には、他の治療法と比べて多くのメリットがあります。
全身に作用し根本改善が期待できる:
幹細胞治療は患部だけでなく全身の再生力を高める効果があります。点滴で投与した幹細胞は血液循環によって短時間で全身を巡り、傷んだ箇所にホーミングして集中的に働きかけます。
その結果、全身の様々な臓器・組織に一度に効果を及ぼすことができます。他の美容医療のようにピンポイントの施術では届かない部位や、まだ自覚していない隠れたダメージにも作用するため、体全体を底上げするような改善が期待できます。まさに「細胞から若返る」治療と言えるでしょう。
ダウンタイムがほとんどない:
幹細胞点滴療法は、治療後のダウンタイム(安静が必要な期間)がほぼありません。点滴を受けた当日から日常生活に復帰でき、入院の必要もありません。施術当日に予定があっても問題なくこなせるため、忙しい方でもスケジュールを調整しやすく、定期的な継続治療にも支障が出にくいです。
副作用が少なく安全性が高い:
幹細胞治療は体に元々ある細胞を利用するため、理論的に副作用や拒絶反応が起こりにくい治療です。幹細胞は基本的に免疫寛容な細胞(免疫応答を起こさない)なので炎症などのトラブルが起きにくいのです。
実際、これまで幹細胞治療で重大な副作用報告は非常に稀であり、安全性の高さが確認されています。
幅広い症状に対応できる:
幹細胞治療は一つの療法で複数の効果が期待できる点もメリットです。例えば肌を良くしたいと思って受けた治療で、結果的に関節痛も和らいだり、疲れにくくなったりするケースがあります。間葉系幹細胞は骨・軟骨・皮膚・血管など体の様々な組織の修復に関与できるため、適用範囲が広いのです。このことは再生医療の可能性を大きく広げており、「これにも効くかもしれない」といった新たな発見も期待できます。幹細胞治療一つで美容から内臓、免疫までトータルにケアできるのは他の治療にはない魅力です。
デメリット
治療コストが高い:
最大のハードルは費用面でしょう。幹細胞治療は先端医療であり、保険適用外の自由診療となるケースがほとんどです。一度の治療で数百万円と高額になる場合が多く、気軽に誰もが受けられるものではありません。
特に培養ステップを要する日本での脂肪由来幹細胞治療はコストがかかります。今後、技術の進歩や競争により価格低下が期待されていますが、2025年現在では経済的に余裕のある方向けの治療と言えます。ただ、美容医療や高度先進医療も最初は高額でしたが徐々に普及してきた経緯があるため、幹細胞治療も将来的には手の届きやすい医療になる可能性があります。
受けられる施設が限られる:
幹細胞治療は最先端の再生医療であり、施術できるクリニックや医師がまだ多くありません。国内では法律の関係で提供施設が限られ、地方では通える範囲にクリニックがないこともあります。
海外で他家幹細胞治療を受ける場合は、当然ながら渡航の手間や言葉・文化の違いもある程度克服しなければなりません。マレーシアでの治療の場合、飛行機代やホテル代がかかるほか最低2〜3日程度の時間も必要になります。仕事や家庭の都合をつける必要がある点はデメリットとなり得るかもしれません。
MARUICHIでは、マレーシアの空港〜ホテル・クリニックへのお迎えお送りまでトータルサポートの幹細胞施術パッケージをご案内しております。
効果には個人差がある:
幹細胞治療の効果の現れ方や持続期間には個人差が大きいです。ある人は劇的に改善しても、別の人はわずかな変化しか感じないこともあります。
体質や病状、細胞の状態など様々な要因が関与するため、必ずしも万人に同じ効果が出るとは限りません。
また、効果が出るまでに時間がかかることもデメリットと言えます。治療後すぐに劇的変化が起こるわけではなく、数ヶ月単位でゆっくり改善していくケースが多いため、即効性を求める方にはもどかしく感じられるかもしれません。
適応外の人もいる:
残念ながら幹細胞治療を受けられないケースもあります。例えば現在がん治療中の方や妊娠中の方、重篤な感染症にかかっている方などは安全面から基本的に適応外とされています。
安全性
幹細胞治療の安全性については、多くの研究と実績によって裏付けられつつあります。
まず、間葉系幹細胞は腫瘍化(がん化)のリスクが低いと報告されています。
先述の通り、ES細胞やiPS細胞のように無制限に増殖する能力を持つ細胞はがん化のリスクがありますが、体性幹細胞である間葉系幹細胞は分裂にも自己抑制的なメカニズムが働いており、安全域で増殖が止まる性質があります。
また、他家細胞を使用する場合でも免疫反応のリスクが低いことが確認されています。国際細胞治療学会(ISCT)の基準においても、間葉系幹細胞は特定の細胞表面マーカーを持ち、免疫に関与する分子(HLA-DRなど)を発現しないことで定義されており、これが免疫拒絶を起こしにくい理由です。
過去に他家骨髄由来MSCを投与した研究では、投与後に重篤な拒絶反応やGVHDが起きなかったとの報告が多数あります。むしろMSCは炎症を抑える作用があるため、移植医療の副作用の治療にも使われるほどです。
危険性(リスク)
幹細胞治療は比較的安全な治療法ですが、いくつか念頭に置くべきリスクや注意点があります。
感染症や注射部位のリスク:
幹細胞を体内に戻す方法としては点滴静注や局所への注射が一般的ですが、その際の針刺しによる感染リスクはゼロではありません。無菌操作で行われますが、微小な菌の混入により血液感染症を起こす可能性があります。また、点滴針を刺した部位が腫れたり内出血したりすることもあります。
極めて稀に、細胞の懸濁液が血管で血栓を生じるリスクも指摘されていますが、現在のところ重大な報告はありません。
免疫反応・アレルギーのリスク:
間葉系幹細胞は免疫原性が低いとはいえ、完全に体内で無反応という保証はありません。ごく稀にですが、投与中に発熱や蕁麻疹などアレルギー症状を示すケースや、血圧低下などのショック症状が起きたとの報告もあります(頻度は非常に低いです)。
そのため治療中はバイタルサイン(脈拍・血圧・酸素飽和度など)を監視し、異常があればすぐに対処できる体制で行われます。幸いこれまで命に関わるような免疫合併症は報告されていませんが、アナフィラキシーなど急性反応のリスクはゼロではありません。
ReverseAging.Techがご案内する幹細胞点滴
幹細胞治療は、老化や疾患に対する革新的なアプローチとして注目される再生医療です。特に、マレーシアで受けられる若い他家幹細胞の点滴は、細胞レベルからのアンチエイジングや健康維持に優れた効果をもたらす可能性を秘めています。
自家細胞を用いる治療と比較して、大きくメリットがあるため、適切に活用することで、美容・健康の向上や生活の質の向上につながるでしょう。特に、50代以上で若々しさを維持したい方にとって、幹細胞治療は体の内側からリフレッシュする有望な選択肢の一つです。
ReverseAging.Techを運営するMARUICHI PTE. LTD. では、幹細胞治療に関する最新情報を提供し、皆さまが最適な選択をできるようサポートしています。幹細胞治療に興味のある方は、ぜひ最新の研究や治療の実態を知り、より健康で若々しい未来を手に入れましょう。
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