
日焼け止めを毎日塗ると、ビタミンDが足りなくなる? 比較試験で分かったこと
しみやしわを防ぐために、日焼け止めを毎日塗る人が増えています。一方で、肌でビタミンDを作る力を妨げないかという心配もあります。1年間の比較試験と研究のまとめから、どれくらい影響があるのかを整理しました。
- SPF50+の日焼け止めを1年間毎日塗った組は、自由に使った組よりビタミンDの値が平均5.2nmol/L(約2ng/mL)低かったと、オーストラリアの639人の比較試験で報告された
- 同じ試験で、ビタミンD不足と判定された人は46%対37%と、毎日塗った組で多かった
- SPF15〜17の日焼け止めを使った試験では、ビタミンDの値は塗らない場合と同じ程度に上がっており、生成が完全に止まるわけではない
- 研究チームは日焼け止めをやめることは勧めておらず、検査や食事などでの補給を考えるよう提案している
日焼け止めを毎日しっかり塗ると、血液中のビタミンDの値は塗らない場合より少し低くなると、オーストラリアの1年間の比較試験で報告されました。差は小さいものの、不足と判定される人の割合は増えており、日焼け止めをやめるのではなく、食事などでビタミンDを補う考え方が示されています。
なぜ日焼け止めでビタミンDが減ると考えられている?
ビタミンDは、食べ物からとるほか、日光の紫外線B(UVB)が肌に当たると体の中で作られます。日焼けの主な原因になるのも、同じUVBです。そのため、日焼けを防ぐ日焼け止めは、ビタミンDを作る働きも妨げるのではないかと心配されてきました。
実験室で人工の紫外線を当てた研究では、日焼け止めでビタミンDの生成が大きく抑えられていました。一方、2019年にオーストラリアの研究チームが研究をまとめたところ、ふだんの暮らしを調べた観察研究の多くでは、日焼け止めを使う人の値は低くありませんでした。使う人ほど外にいる時間が長いことも、理由の一つと考えられています。
毎日しっかり塗ると、どれくらい下がる?
2025年に発表されたSun-D試験は、18〜70歳の639人を、くじ引きで2つの組に分けました。片方は、紫外線の強さの予報(UVインデックス)が3以上の日に、毎朝SPF50+の日焼け止めを塗りました。もう片方は、これまでどおり好きなときに使いました。期間は約1年です。
血液中のビタミンDの値(25(OH)D)は、自由に使った組で平均6.8nmol/L上がり、毎日塗った組では1.6nmol/Lの上昇にとどまりました。差は5.2nmol/Lで、ng/mLに直すと約2です。不足(50nmol/L未満)と判定された人は、毎日塗った組で46%、自由に使った組で37%でした。
この差は、住んでいる地域の紫外線の強さや、外で過ごす時間、服で肌を覆う程度で分けて調べても、ほぼ同じでした。言われたとおりに塗っていた人ほど、差は大きくなっていました。期間中にビタミンDのサプリを飲まなかった人に限っても、同じ傾向でした。
2025年には、イタリアの研究チームが22の研究を整理し、そのうち7つ(合わせて9,470人)の数値をまとめています。日焼け止めを使う人の値は、平均で約2ng/mL低いという結果でした。Sun-D試験とほぼ同じ大きさの差です。
SPFが低めなら、影響はない?
1990年代のオーストラリアの比較試験では、40歳以上の113人が夏の間、SPF17の日焼け止めか、日焼け止めの成分を含まないクリームを毎日塗りました。どちらの組でもビタミンDの値は同じ程度に上がり、正常な範囲を外れた人はいませんでした。
日差しの強いスペイン領カナリア諸島での1週間の旅行を調べた研究もあります。SPF15の日焼け止めを十分な厚さで塗った人は、日焼けをせずに、ビタミンDの値が上がっていました。ただし、上がり幅は好きなように使った人より小さめでした。どの研究も、日焼け止めでビタミンDの生成が完全に止まるわけではないことを示しています。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| SPF50+を1年間毎日塗ったときのビタミンDの値(639人の比較試験) | 根拠 有望 | 自由に使った組より平均5.2nmol/L低い |
| ビタミンD不足と判定された人の割合(同じ試験) | 根拠 有望 | 46%対37%で、毎日塗った組で多い |
| 日焼け止めを使う人の値(7研究・9,470人のまとめ) | 根拠 初期 | 平均で約2ng/mL低い |
| SPF17を夏の間毎日塗ったとき(40歳以上113人の比較試験) | 根拠 有望 | 塗らない組と同じ程度に上昇 |
| 日差しの強い旅行でSPF15を十分に塗ったとき(約80人) | 根拠 初期 | 日焼けを防ぎつつ値は上昇。上がり幅はやや小さい |
日本の中高年は、どう考えればよい?
新潟県の40〜74歳の約8,300人を調べた研究では、血液中のビタミンDの平均は50.1nmol/Lでした。不足の目安とされる値に近い水準です。この研究では、値が低い人ほど、その後の追跡中に亡くなる割合が高い傾向もありました。ただし観察研究で、ビタミンDが低いことが原因かどうかは分かっていません。
日焼け止めは、日焼けやしみを防ぐために勧められている方法です。Sun-D試験の研究チームも、日焼け止めを使い続けたうえで、ビタミンDの検査や補給を考えることを勧めています。魚やきのこ、卵など、ビタミンDを含む食べ物を意識してとることも一つの方法です。
- しみや日焼けを防ぐための日焼け止めは、これまでどおり使う
- 鮭やさばなどの魚、きのこ、卵など、ビタミンDを含む食べ物を食事に取り入れる
- 骨が気になる方、外に出る機会が少ない方は、ビタミンDの値を調べるかどうかを医師に相談する
- サプリを考えるときは、量や持病との関係を医師や薬剤師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| Sun-D試験(Br J Dermatol 2025) | オーストラリアの18〜70歳639人(解析628人、年齢の中央値52歳、女性66%)。ふだん日焼け止めを使わず、ビタミンDのサプリも飲んでいない人。UVインデックス3以上の日にSPF50+を毎朝塗る組と、自由に使う組に分け、約1年間。25(OH)Dの変化は+1.6対+6.8nmol/Lで差は−5.2(95%信頼区間−7.2〜−3.2)。不足(50nmol/L未満)は45.7%対36.9%(有病率比1.33)。非盲検。豪州NHMRCの研究費。著者の一部は日焼け止めの販売収入がある団体の職員で、製薬会社や日焼け止めの会社から支援を受ける団体の代表も含む |
|---|---|
| 日焼け止めと25(OH)Dのまとめ(Endocr Pract 2025) | 22研究を整理し、7研究・9,470人を統合。日焼け止めの使用で25(OH)Dが平均2ng/mL低い(95%信頼区間−3〜−1)。研究間のばらつきは大きくない(I²=37%)。観察研究を含む。著者は利益相反なしと開示 |
| 日焼け止めとビタミンDのレビュー(Br J Dermatol 2019) | 実験研究4本、野外の試験3本(比較試験2本)、観察研究69本。人工の紫外線を使った実験では生成が大きく抑えられたが、SPF16前後の比較試験では差がなかった。観察研究の多くは関連なし、または使う人ほど値が高い。SPFの高い日焼け止めの試験はないと指摘 |
| SPF17の比較試験(Arch Dermatol 1995) | オーストラリアの40歳以上113人(全員に日光角化症あり)。夏の間、SPF17の日焼け止めか、成分を含まないクリームを毎日塗る二重盲検の比較試験。25(OH)Dの上昇幅は同程度(+11.8対+12.8)。基準範囲を外れた人はいなかった |
| 日差しの強い旅行での研究(Br J Dermatol 2019) | テネリフェ島での1週間の休暇。ポーランドの健康な成人に、UVAの防御が高いSPF15と低いSPF15を各20人。自由に使う組22人、旅行しない組17人と比較。25(OH)D3は自由に使う組で+28.0、日焼け止めの組で+19.0と+13.0nmol/L。日焼け止めの組は日焼けを防げた。著者に日焼け止めを販売する企業の社員を含む |
| 日本の約8,300人の追跡研究(Br J Nutr 2025) | 新潟県の40〜74歳8,285人を11年追跡。25(OH)Dの平均50.1nmol/L。値が最も低い5分の1の組は、最も高い組より亡くなる割合が高い(ハザード比1.46)。観察研究 |
- Tran V, et al. Effect of daily sunscreen application on vitamin D: findings from the open-label randomized controlled Sun-D Trial. Br J Dermatol. 2025. PMID 40927943
- Gatta E, Cappelli C. Sunscreen and 25-Hydroxyvitamin D Levels: Friends or Foes? A Systematic Review and Meta-Analysis. Endocr Pract. 2025. PMID 40246233
- Neale RE, et al. The effect of sunscreen on vitamin D: a review. Br J Dermatol. 2019. PMID 30945275
- Marks R, et al. The effect of regular sunscreen use on vitamin D levels in an Australian population. Results of a randomized controlled trial. Arch Dermatol. 1995. PMID 7726582
- Young AR, et al. Optimal sunscreen use, during a sun holiday with a very high ultraviolet index, allows vitamin D synthesis without sunburn. Br J Dermatol. 2019. PMID 31069787
- Kitamura K, et al. Plasma 25-hydroxyvitamin D concentrations, vitamin D deficiency and mortality in community-dwelling Japanese adults. Br J Nutr. 2025. PMID 41063361

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










