
ナイアシンアミドの化粧品は、シミやしわに意味がある? 比較試験で分かったこと
美容液の成分としてよく目にするナイアシンアミド(ビタミンB3の一種)。顔に塗ったときにシミや小じわがどう変わるかを、比較試験と皮膚科の医師の合意から整理しました。小規模な試験では変化が報告されていますが、人数や期間、資金の面で限界もあります。
- 2〜5%のナイアシンアミドを顔の片側に塗った比較試験で、4〜12週間でシミや小じわが目立たなくなったと報告されている
- 試験は18〜120人と小規模で、多くは化粧品会社の研究者によるもの。シミに差が出なかった試験もある
- 米国の皮膚科の医師62人の合意では、ナイアシンアミドは「赤み」と「シミ」に勧める成分とされ、小じわには入っていない
- シミを増やさない土台は紫外線を防ぐこと。日焼け止めと組み合わせて使うのが研究の条件に近い
ナイアシンアミドを5%ほど含むクリームを顔の片側に塗った比較試験では、塗らなかった側より、シミや小じわが目立たなくなったと報告されています。ただし、試験は数十人規模で12週間までのものが中心で、多くは化粧品会社の研究者が行ったものです。
ナイアシンアミドは、ビタミンB3の一種です。化粧品の成分表示では「ナイアシンアミド」と書かれ、美容液や乳液に広く使われています。ここでは、顔に塗る使い方について、人で行われた研究を整理しました。飲むサプリの話は扱いません。
シミは薄くなる?
2002年に、日本人の女性を対象にした試験が報告されています。シミのある18人が、5%のナイアシンアミドを含む保湿剤と、成分を除いた同じ保湿剤を、顔の左右で使い分けました。もう一つの試験では、日焼けした120人が、何も含まない保湿剤、日焼け止め入り、日焼け止めに2%のナイアシンアミドを加えたものの3種類のうち2種類を使いました。
どちらの試験でも、4週間でナイアシンアミドを塗った側のシミが目立たなくなり、肌も明るくなったと報告されています。顔の写真をコンピューターで解析し、専門家の目でも評価しています。培養した細胞の実験では、色素を作る細胞から周りの細胞へ色素が渡るのを抑える働きが見られました。
しわやたるみはどうなる?
米国では、40〜60歳の白人女性50人が、5%のナイアシンアミド入りの保湿剤を顔の片側に、成分を除いた保湿剤をもう片側に、1日2回、12週間塗った試験があります。どちらがどちらか分からないようにした比較試験(くじ引きで左右を決めて比べる方法)です。ナイアシンアミドの側で、小じわ、シミ、赤いまだら、肌の黄ぐすみが目立たなくなったと報告されています。同じ設計の別の報告では、肌の弾力の測定値も上がっていました。
台湾の大学が52人を対象に行った同じような試験では、4%のナイアシンアミドで、毛穴と肌のむらの数値が8週目に、しわの数値が12週目に下がっていました。一方、この試験でナイアシンアミドだけを塗った組では、シミの数値に意味のある差は出ていません。結果は試験によって一様ではないことが分かります。
皮膚科の医師はどう見ている?
2025年に、米国の皮膚科の医師62人が、肌の悩みごとに勧める成分を話し合いで絞り込んだ結果が発表されました。ナイアシンアミドは「赤み」と「シミ」に勧める成分として合意が得られました。小じわについて合意が得られたのは、レチノイド(ビタミンAの仲間)、ビタミンC、鉱物系の日焼け止めで、ナイアシンアミドは入っていません。
2024年には、7人の国際的な専門家が、年代や肌の状態の異なる8つの場面を想定して検討しています。どの場面でも勧められたのは、紫外線のA波とB波を防ぐ日焼け止め、ナイアシンアミド、ほかの抗酸化成分でした。どちらも専門家の意見をまとめたもので、新しい試験の結果ではありません。
肌への刺激は?
紹介した試験では、ナイアシンアミドは肌によくなじみ、問題になる刺激は少なかったと報告されています。総説でも、塗って使う場合は肌に受け入れられやすい成分とされています。ただし、どの試験も人数が少なく、期間も最長12週間です。赤みやかゆみが出る人がいないわけではありません。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| シミが目立たなくなるか(日本人女性・4週間の比較試験) | 根拠 有望 | 塗った側でシミが減り、肌が明るくなったと報告 |
| 小じわ・黄ぐすみ・赤いまだら(米国の女性50人・12週間) | 根拠 有望 | 塗った側で目立たなくなったと報告 |
| 毛穴・しわ・シミ(台湾の52人・12週間) | 根拠 有望 | 毛穴・むら・しわの数値は低下。シミは差なし |
| 皮膚科の医師が勧める悩み(62人の合意・2025年) | 根拠 初期 | 赤みとシミで合意。小じわでは合意なし |
| 肌への刺激(各試験) | 根拠 有望 | 問題になる刺激は少ないと報告。期間は最長12週間 |
では、どうすればよいか
研究で使われた濃度は2〜5%で、毎日、数週間から12週間続けて変化が見られています。シミを増やさないためには、紫外線を防ぐことが土台になります。ナイアシンアミドを使うなら、日焼け止めと組み合わせ、2〜3か月は様子を見るのが研究の条件に近い使い方です。
- シミ対策の土台として、紫外線のA波とB波を防ぐ日焼け止めを毎日使う
- ナイアシンアミドを使うなら、研究と同じ2〜5%程度のものを選び、2〜3か月続けて様子を見る
- 初めて使うときは、腕の内側などで少量を試し、赤みやかゆみが出たら使うのをやめる
- 急に濃くなったシミ、形がいびつなシミ、かゆみや出血のあるシミは、化粧品で様子を見ずに皮膚科の医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 日本人女性のシミの試験(Br J Dermatol 2002) | シミのある18人が5%ナイアシンアミド入り保湿剤と基剤を顔の左右で使い分け、日焼けした120人が基剤・日焼け止め・2%ナイアシンアミド+日焼け止めのうち2種類を使用。4週間で基剤より色素沈着が減り、肌が明るくなった。培養細胞の実験で色素の受け渡しを35〜68%抑制。著者の多くが化粧品会社の研究所に所属 |
|---|---|
| 米国の女性50人の試験(Int J Cosmet Sci 2004) | 40〜60歳の白人女性50人。5%ナイアシンアミド入り保湿剤と基剤を顔の左右に12週間。二重盲検。小じわ、色素沈着、きめ、赤いまだら、黄ぐすみが基剤より改善したと報告。刺激は少なかった。著者は化粧品会社の所属 |
| 米国の女性50人の試験(Dermatol Surg 2005) | 顔の光老化のある白人女性50人。5%ナイアシンアミドと基剤を顔の左右に1日2回・12週間。二重盲検。小じわ、色素沈着、赤いまだら、黄ぐすみが減り、弾力の測定値が上がったと報告。著者は化粧品会社の所属 |
| 台湾の52人の試験(J Cosmet Dermatol 2007) | 台湾大学。52人を2組に分け、0.03%カイネチン+4%ナイアシンアミド、または4%ナイアシンアミドを顔の片側、偽薬をもう片側に12週間。ナイアシンアミドだけの組では8週目に毛穴とむら、12週目にしわの数値が低下。シミの数値は組み合わせの組でだけ低下 |
| 皮膚科の医師の合意(J Am Acad Dermatol 2025) | 318の成分から17人の皮膚科医が83に絞り、43施設の62人が2回のデルファイ法で合意。23成分で合意し、ナイアシンアミドは赤みとシミ。小じわはレチノイド、ビタミンC、鉱物系の日焼け止め。一部の著者に化粧品会社などとの利益相反あり |
| 国際的な専門家の合意(J Drugs Dermatol 2024) | 7人の専門家が8つの想定場面でRAND/UCLA法により17成分を評価。広域の日焼け止め、ナイアシンアミド、ほかの抗酸化成分がすべての場面で推奨された。抄録に資金の記載はない |
- Hakozaki T, et al. The effect of niacinamide on reducing cutaneous pigmentation and suppression of melanosome transfer. Br J Dermatol. 2002. PMID 12100180
- Bissett DL, et al. Topical niacinamide reduces yellowing, wrinkling, red blotchiness, and hyperpigmented spots in aging facial skin. Int J Cosmet Sci. 2004. PMID 18492135
- Bissett DL, et al. Niacinamide: A B vitamin that improves aging facial skin appearance. Dermatol Surg. 2005. PMID 16029679
- Chiu PC, et al. The clinical anti-aging effects of topical kinetin and niacinamide in Asians: a randomized, double-blind, placebo-controlled, split-face comparative trial. J Cosmet Dermatol. 2007. PMID 18047609
- Alvarez GV, et al. Skincare ingredients recommended by cosmetic dermatologists: A Delphi consensus study. J Am Acad Dermatol. 2025. PMID 40233838
- Draelos ZD, et al. International Consensus on Anti-Aging Dermocosmetics and Skin Care for Clinical Practice Using the RAND/UCLA Appropriateness Method. J Drugs Dermatol. 2024. PMID 38206152
- Boo YC. Mechanistic Basis and Clinical Evidence for the Applications of Nicotinamide (Niacinamide) to Control Skin Aging and Pigmentation. Antioxidants (Basel). 2021. PMID 34439563

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










