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カカオのフラバノールは血管や脳にいい? 大規模試験COSMOSで分かったこと

カカオに含まれるフラバノールは、血管や脳の働きとの関係で注目されてきた成分です。2万人規模の比較試験と、試験をまとめた解析から、分かっていることを整理しました。

根拠 有望5分で読めます公開 2026.10.27更新 2026.10.27
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 米国の約2万1,000人の比較試験(COSMOS)では、カカオ抽出物で心臓や血管の病気全体の起こり方に、はっきりした差は出なかった
  • 同じ試験で、3年間の記憶や考える力の変化にも差はなかった
  • 25の比較試験のまとめでは、上の血圧が平均2.7mmHgほど低かったと報告されている。差は小さく、まとめた研究者は食品会社の社員
  • チョコレートには砂糖や脂肪も含まれるため、試験の結果をそのまま食べる量に当てはめることはできない

カカオのフラバノールについては、小さな試験で血圧や血管の働きの数値がわずかに改善したと報告されています。一方、高齢者2万人以上の大規模な比較試験では、心臓や血管の病気全体の起こり方や、記憶や考える力に、はっきりした差は出ていません。

カカオのフラバノールとは?

フラバノールは、カカオ豆や緑茶、りんごなどに含まれるポリフェノールの一種です。カカオでは、エピカテキンという成分が代表的です。

小さな試験で血管の働きとの関係が報告されてきたため、より大きな試験で確かめる研究が行われました。それが米国のCOSMOSです。

2万人の比較試験では、どんな結果が出た?

COSMOSは、心臓や血管の大きな病気のない、65歳以上の女性と60歳以上の男性、合わせて2万1,442人が参加した比較試験(くじ引きで組を分けて比べる試験)です。片方の組はカカオ抽出物の錠剤を、もう片方は成分を含まない偽の錠剤を毎日飲みました。カカオ抽出物には、1日500mgのフラバノールが含まれていました。

およそ3.6年の追跡で、心筋梗塞や脳卒中などをまとめた心臓や血管の病気は、カカオの組で410人、偽の錠剤の組で456人に起きました。差は統計的にははっきりせず、試験の主な問いへの答えは「差なし」です。

ただし、心臓や血管の病気で亡くなった人に限ると、カカオの組で27%少なくなっていました。これは主な問いではないため、研究チームも、さらに研究が必要だとしています。安全性の面での問題は報告されていません。

同じ試験で、高血圧のなかった8,905人を約3.4年追った分析もあります。高血圧になる割合は、2つの組でほとんど変わりませんでした。試験の始めに上の血圧が120未満だった人に限ると、カカオの組で24%低くなっていました。これも一部の人に限った分析です。

記憶や考える力は、どうだった?

COSMOSに参加した2,262人(平均73歳)には、電話で毎年、記憶や考える力のテストを受けてもらいました。3年間の変化に、カカオの組と偽の錠剤の組で差はありませんでした。

573人には、対面で11種類の詳しいテストも行いました。2年間の変化はやはり差がありませんでした。もともとの食事の質が低かった人では効果の可能性が見られましたが、偶然の可能性を除ききれない分析です。

一方、16の比較試験、2,847人分をまとめた2026年の解析もあります。ダークチョコレートやココアを続けてとると、線をたどる速さや、言葉を思い浮かべるテストの成績が、わずかによくなっていました。物忘れの程度をみる検査(MMSE)では、差は見られませんでした。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
心臓や血管の病気全体の起こり方(2万1,442人の比較試験)根拠 有望差なし
心臓や血管の病気で亡くなる割合(同じ試験の副次的な分析)根拠 初期27%少ない。確認が必要
高血圧になる割合(同じ試験の8,905人)根拠 有望全体では差なし
記憶や考える力の3年間の変化(2,262人の比較試験)根拠 有望差なし
注意や言葉のテストの成績(16試験のまとめ)根拠 有望わずかによくなった。物忘れの検査では差なし
血圧の数値(25試験のまとめ)根拠 有望上が平均2.7mmHg、下が1.8mmHg低い

血圧の数値は変わる?

2026年に、25の比較試験、1,167人分をまとめた解析が発表されました。フラバノールの量は1日10.6〜1,680mgと、試験によって大きく異なります。

カカオのフラバノールをとった組では、上の血圧が平均2.7mmHg、下の血圧が平均1.8mmHg低かったと報告されています。血管の広がりやすさの数値にも改善が見られました。上の血圧の結果の確かさは「中程度」とされています。

血圧が高めの人と正常な人のどちらでも、同じ方向の結果でした。とる量が多いほど差が大きくなる傾向もありましたが、どのくらいの量から差が出るかという目安は示されていません。

ただし、この解析を行ったのは、カカオを含む食品を研究・開発している日本の食品会社の社員です。差の大きさも小さなものです。

まだ分かっていないこと大規模な比較試験は、主な問いではいずれも差がありませんでした。差が見られたのは、副次的な分析や一部の人に限った分析で、偶然の可能性が残ります。COSMOSの参加者は米国の60歳以上で、記憶の試験では約9割が白人でした。日本人や、もっと若い世代に当てはまるかは分かっていません。追跡は3〜4年ほどで、それより長い影響も分かっていません。COSMOSでは、チョコレートを作る会社から研究費と試験用の錠剤の提供を受けており、研究者の一部に企業との関係が開示されています。血圧のまとめは食品会社の社員によるもので、試験ごとの量や期間、参加者もまちまちです。チョコレートやココアを食べることで、試験と同じ結果になるかは確かめられていません。

では、どうすればよいか

試験で使われたのは、フラバノールの量をそろえた錠剤です。チョコレートには砂糖や脂肪も含まれており、たくさん食べれば、とる量も増えます。カカオを楽しむなら、食べすぎない範囲にとどめるのが無理のない付き合い方です。

今日からできること
  • チョコレートやココアは、砂糖と脂肪の量を気にしながら、楽しむ範囲でとる
  • フラバノールは緑茶やりんごなどにも含まれるので、いろいろな食品からとる
  • 血圧が気になる方は、家庭で測った数値を記録し、健診の結果とあわせて医師に相談する
  • サプリを使う場合は、持病のある方や薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中の方は、医師や薬剤師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
COSMOS 心臓と血管の病気(Am J Clin Nutr 2022)米国、65歳以上の女性1万2,666人と60歳以上の男性8,776人、計2万1,442人。カカオ抽出物(フラバノール500mg/日、うちエピカテキン80mg)と偽薬の二重盲検比較試験(マルチビタミンとの2×2要因デザイン)。追跡の中央値3.6年。主要評価項目の心血管イベントは410人対456人(ハザード比0.90、95%信頼区間0.78〜1.02、p=0.11)。副次評価項目の心血管死0.73(0.54〜0.98)、全死亡0.89(0.77〜1.03)。安全性の懸念なし。登録: NCT02422745
COSMOS 高血圧の発症(Hypertension 2025)試験開始時に高血圧のなかった8,905人、平均71.1歳、追跡の中央値3.4年。発症は100人年あたり7.1対7.4(ハザード比0.96、0.88〜1.05)。開始時の上の血圧120未満の人では0.76(0.64〜0.90)、120〜139では1.05。研究者の一部が、チョコレートを作る会社の研究部門から研究費と錠剤の提供、サプリ会社などから研究費・講演料を受けたと開示
COSMOS-Mind(Alzheimers Dement 2023)2,262人、平均73歳、女性60%、89%が非ヒスパニック系白人。電話で毎年認知機能を評価。3年間の全般的な認知機能の変化に差なし(平均zスコア0.03、95%信頼区間−0.02〜0.08、p=0.28)。資金: 米国国立老化研究所。企業は試験の設計や解析に関与せず。著者は利益相反なしと開示
COSMOS 対面の認知機能テスト(Am J Clin Nutr 2024)対面で11種類の検査を受けた573人(2年後の評価は492人)、平均69.6歳。2年間の全般的な認知機能(差−0.01)、記憶、実行機能・注意のいずれも差なし。食事の質が低い人で効果の可能性(多重比較の補正なし)
チョコレート・ココアと認知機能のまとめ(Nutr Rev 2026)比較試験16本・2,847人。トレイルメイキングテストA(−4.51秒)・B(−13.1秒)、言語流暢性テスト(+3.15)で改善。フラバノール500mg/日以上・8週以上で効果が大きい傾向。作業記憶・言語記憶は結果が一貫せず、MMSEでは差なし。研究者は確かさを中程度〜高と評価
カカオのフラバノールと血圧・血管のまとめ(J Nutr Health Aging 2026)比較試験25本・1,167人(高血圧の人と血圧の正常な人を含む)。フラバノール10.6〜1,680mg/日。上の血圧−2.73mmHg、下の血圧−1.85mmHg、血流依存性血管拡張反応+1.31%、脈波伝播速度−0.20m/s。上の血圧の確かさは中程度、その他は限定的。著者はカカオを含む食品を研究開発する日本の食品会社などの社員
出典
  1. Sesso HD, et al. Effect of cocoa flavanol supplementation for the prevention of cardiovascular disease events: the COcoa Supplement and Multivitamin Outcomes Study (COSMOS) randomized clinical trial. Am J Clin Nutr. 2022. PMID 35294962
  2. Hamaya R, et al. Long-Term Effect of Cocoa Extract Supplementation on Incident Hypertension. Hypertension. 2025. PMID 40832703
  3. Baker LD, et al. Effects of cocoa extract and a multivitamin on cognitive function: A randomized clinical trial. Alzheimers Dement. 2023. PMID 36102337
  4. Vyas CM, et al. Effect of cocoa extract supplementation on cognitive function: results from the clinic subcohort of the COSMOS trial. Am J Clin Nutr. 2024. PMID 38070683
  5. Arabpour Z, et al. Effect of Chronic Dark Chocolate or Cocoa Intake on Cognitive Function: A Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation (GRADE)-Assessed Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Nutr Rev. 2026. PMID 42641106
  6. Sakuda M, et al. Impact of cocoa flavanols on blood pressure and vascular function: an updated systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Nutr Health Aging. 2026. PMID 42679502
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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