
飲む日焼け止めは効果ある? 塗る日焼け止めの代わりになるかを比較試験で確かめる
結論は、飲む日焼け止めの比較試験では肌が赤くなるまでの紫外線の量が2〜3割増えたと報告されていますが、塗る日焼け止めの代わりになる強さではありません。シダの抽出物やトマトのリコピンなどを調べた研究を、試験の人数・期間・資金とあわせて整理しました。
- 人を対象にした47本の研究のまとめでは、ポリフェノール・カロテノイド・シダの抽出物で、紫外線から肌を守る働きの根拠が比較的多いとされている
- 比較試験で報告された差は、赤くなるまでの紫外線の量が2〜3割増える程度で、塗る日焼け止めとは大きな開きがある
- 紫外線による遺伝子の傷は減らなかった試験もあり、トマトやリコピンの結果も分かれている
- 毎日塗る日焼け止めは、4.5年の比較試験で肌の老化の進み方が小さかったと報告されている
結論から言うと、飲む日焼け止めと呼ばれるサプリの比較試験では、肌が赤くなるまでの紫外線の量が2〜3割ほど増えたと報告されています。ただし塗る日焼け止めの代わりになる強さではなく、研究の多くは人数が少なく期間も短いので、塗るものに足す位置づけで考えるのが妥当です。
ここでいう飲む日焼け止めは、シダ植物の一種(ポリポディウム・レウコトモス)の抽出物や、トマトに多いリコピンなどの成分を飲んで、紫外線への反応を調べたものを指します。
飲む日焼け止めは、どこまで調べられている?
2025年に米国の皮膚科の研究者が、人を対象にした47本の研究をまとめました。調べられていた成分は、カロテノイド(トマトやにんじんの色素の仲間)、ポリフェノール、シダの抽出物、ビタミン、オメガ3脂肪酸などです。
紫外線から肌を守る働きの根拠が比較的多かったのは、ポリフェノール、カロテノイド、シダの抽出物でした。ビタミンやコエンザイムQ10を単独で飲んだ研究では、根拠は最も弱いとされています。著者は、どの研究も人数が少なく期間が短いため、量や飲む期間はまだ決められないとしています。
比較試験では、どれくらいの差が出た?
試験では多くの場合、最小紅斑量(肌がうっすら赤くなる最小の紫外線の量)を測ります。この値が大きくなるほど、赤くなりにくくなったことを意味します。
2025年にスロベニアで行われた試験では、色白の54人を2組に分け、片方にはシダの抽出物と赤オレンジの抽出物、ビタミンA・C・D・Eを含むシロップを、もう片方には偽のシロップを8週間飲んでもらいました。成分入りの組では最小紅斑量が23.8%増え、紫外線を当てた後の赤みは46.2%小さくなりました。2週間の時点では差ははっきりせず、日焼けで肌が黒くなる程度は偽の組と変わりませんでした。この試験は、シロップを作る企業の資金で行われています。
2026年のデンマークの試験では、健康な50人がシダの抽出物(1日480mg)か、ビタミンB3の一種のニコチンアミド(1日2,000mg)を30日間飲みました。どちらの組でも、紫外線A(UVA)で赤くなるまでの量が26%増えています。一方で、紫外線で皮膚の細胞の遺伝子にできる傷の量は、皮膚でも尿でも減っていませんでした。偽の薬を飲む組はなく、飲む前と後を比べた試験です。
トマトやリコピンでも同じことが言える?
英国の試験では、21〜47歳の女性20人が、トマトペースト55g(リコピン16mg)をオリーブオイルと一緒に12週間食べ、オリーブオイルだけの組と比べられました。最小紅斑量そのものには2組の差がなかった一方、肌の赤みを機械で測った値や、コラーゲンを分解する酵素の増え方には差が出たと報告されています。
ブラジルで20人を対象に、リコピンのカプセルとトマトペーストを10週間比べた試験では、どちらでも最小紅斑量は変わりませんでした。トマトについては、結果が分かれていると考えるのが妥当です。
塗る日焼け止めの代わりになる?
なりません。比較試験で報告された差は、赤くなるまでの紫外線の量が1.2〜1.3倍ほどになる程度です。日焼け止めのSPFも同じ考え方の倍率で表されており、SPF30やSPF50と比べると大きな開きがあります。
塗る日焼け止めについては、オーストラリアで55歳未満の903人を4.5年追った比較試験があります。毎日塗った組は、ときどき塗った組に比べて、肌の老化の進み方が24%小さかったと報告されています。同じ試験で、βカロテン30mgのサプリを飲んだ組には、全体として差が見られませんでした。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 飲む成分で紫外線から肌を守れるか(人の47研究のまとめ) | 根拠 有望 | ポリフェノール・カロテノイド・シダの抽出物で根拠が比較的多い。いずれも小規模・短期間 |
| シダの抽出物などのシロップ8週間(54人・偽のシロップと比較) | 根拠 有望 | 赤くなるまでの量が23.8%増、赤みは46.2%減。日焼けの黒さは差なし |
| シダの抽出物かニコチンアミド30日間(50人) | 根拠 初期 | UVAで赤くなるまでの量が両組とも26%増。遺伝子の傷は減らず |
| トマトペースト12週間(女性20人) | 根拠 有望 | 最小紅斑量は差なし。機械で測った赤みなどには差 |
| リコピンのカプセルとトマトペースト10週間(20人) | 根拠 初期 | どちらも最小紅斑量は変わらず |
| 毎日塗る日焼け止め(903人・4.5年) | 根拠 有望 | 肌の老化の進み方が24%小さい。βカロテンのサプリは全体で差なし |
- 日差しの強い時間に外へ出るときは、塗る日焼け止めと帽子・日傘を基本にする
- 飲むサプリを試す場合も、塗る日焼け止めを減らす理由にはしない
- トマトや緑黄色野菜は、ふだんの食事の一部としてとる
- 妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、サプリを始める前に医師や薬剤師に相談する
- ニコチンアミドを1日2,000mgのような多い量で自己判断で飲まない
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 飲む成分と紫外線のまとめ(J Med Food 2025) | 人を対象にした47本の研究の系統的レビュー(2023年2月までに検索)。カロテノイド・ポリフェノール・シダの抽出物・ビタミン・コエンザイムQ10・オメガ3/6脂肪酸など。根拠が最も多いのはポリフェノール・カロテノイド・シダの抽出物、最も弱いのはビタミン単独とコエンザイムQ10。人数が少なく期間が短いことが限界。資金は抄録に記載なし |
|---|---|
| シダの抽出物・赤オレンジ抽出物・ビタミンのシロップ(Nutrients 2025) | スロベニア。肌のタイプI〜IIIの54人を27人ずつ、成分入りと偽のシロップに分けた二重盲検の比較試験、8週間。最小紅斑量が0.447から0.553 J/cm²へ23.8%増、紫外線後の赤みが46.2%減。2週時点は有意差なし。色素の増え方は偽の組と差なし。製造する企業の資金 |
| シダの抽出物とニコチンアミド(Photochem Photobiol Sci 2026) | デンマーク。健康な50人(肌のタイプI〜III)をニコチンアミド1日2,000mgかシダの抽出物1日480mgに1対1で分け、30日間。UVAの最小紅斑量が両組とも26%増。皮膚と尿のチミンダイマー(紫外線による遺伝子の傷)は減らず。偽の薬の組はない。著者は利益相反なしと開示 |
| トマトペースト(Br J Dermatol 2011) | 英国。健康な女性20人(中央値33歳、21〜47歳、肌のタイプI/II)。トマトペースト55g(リコピン16mg)とオリーブオイル、またはオリーブオイルのみを12週間。最小紅斑量は2組で有意差なし。機械で測った赤みの指標、コラーゲン分解酵素MMP-1の増加、ミトコンドリアDNAの欠失で差 |
| リコピンのカプセルとトマトペースト(Arch Dermatol Res 2015) | ブラジル。20人を10人ずつカプセルとトマトペーストに分けて10週間。3人が4週後に脱落。どちらの組でも最小紅斑量は変わらず。偽の組はない |
| 毎日の日焼け止めとβカロテン(Ann Intern Med 2013) | オーストラリア。55歳未満の903人、4.5年の比較試験。毎日塗った組は、ときどき塗った組より肌の老化の進み方が24%小さい(相対オッズ0.76)。βカロテン30mgは全体として差なし。オーストラリア国立保健医療研究評議会の資金 |
- Natarelli N, et al. Oral Supplements and Photoprotection: A Systematic Review. J Med Food. 2025. PMID 39804624
- Keršmanc P, et al. Effects of Eight-Week Supplementation Containing Red Orange and Polypodium leucotomos Extracts on UVB-Induced Skin Responses: A Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Trial. Nutrients. 2025. PMID 40218997
- Faisal A, et al. Changes in ultraviolet a radiation-induced thymidine dimers and erythema after oral nicotinamide or polypodium leucotomos extract in healthy volunteers: a randomized intraindividual trial. Photochem Photobiol Sci. 2026. PMID 41838346
- Rizwan M, et al. Tomato paste rich in lycopene protects against cutaneous photodamage in humans in vivo: a randomized controlled trial. Br J Dermatol. 2011. PMID 20854436
- Sokoloski L, et al. Lycopene not in pill, nor in natura has photoprotective systemic effect. Arch Dermatol Res. 2015. PMID 26024575
- Hughes MC, et al. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013. PMID 23732711

15分の無料動画で、幹細胞の仕組みと最新の研究、受けられる場所や費用の考え方までお伝えします。
この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










