
スマホやパソコンの光で、肌のシミや老化は進む? ブルーライトの研究で分かったこと
画面から出る青い光が肌に悪いという話を見かけます。人に光を当てた実験と光の量の試算、細胞の実験を分けて、ふだんのスマホやパソコンの使い方で何が分かっているかを整理しました。
- 強い青紫の光を人の皮膚に当てた小規模な実験では、肌の色がやや濃い人で色素が濃くなり、最長3か月続いた
- 室内の照明の光は量が少なく、色素の変化の目安に届くまで0.5〜20か月かかると試算され、画面の光にも対策は要らないと結論されている
- 細胞の実験では老化の目印が増えたが、ふだんの画面の光で人の肌が変わるという根拠は見つかっていない
- 日光に含まれる可視光については、色のついた日焼け止めを使うとシミが薄くなりやすかったという比較試験がある
スマホやパソコンの画面から出る青い光(ブルーライト)が、肌のシミや老化を進めるという話を目にすることがあります。人の皮膚に強い青紫の光を当てた小規模な実験では色素が濃くなると報告されていますが、画面の光は量がずっと少なく、ふだんの使い方で肌が変わるという人での根拠は、いまのところ見つかっていません。
ここでは、人に光を当てた実験、光の量の試算、細胞の実験、日焼け止めの比較試験を分けて整理しました。
強い青紫の光を当てると、肌はどうなる?
青い光は、目に見える光(可視光、波長400〜700nm)のうち、紫外線に近い側の光です。日光にも室内の照明にも含まれ、画面からも出ています。
2010年に米国で、肌の色がやや濃い〜濃い人(スキンタイプIV〜VI。日焼けで赤くなりにくく黒くなりやすい肌の分類)20人の腰に、可視光と、紫外線のうち波長の長いUVA1を当てて比べた研究があります。どちらでも色素が濃くなりましたが、可視光による色素のほうが濃く、長く残っていました。色白で赤くなりやすいスキンタイプIIの人では、色素は濃くなりませんでした。
2014年にはフランスで、健康な人に波長415nmの青紫の光と630nmの赤い光を当てる実験が行われました。スキンタイプIIIとIVの人で、青紫の光は当てる量に応じて色素を濃くし、その色は最長3か月続きました。赤い光では色素は濃くなりませんでした。一方、皮膚の細胞の傷み(壊れた細胞や、DNAの傷に反応するたんぱく質)は、紫外線のUVBのほうが目立っていました。
スマホやパソコンの光でも、同じことが起きる?
上の実験は、医療用などの強い光源で、短時間に多くの光を当てたものです。ノルウェーの放射線の公的機関の研究者らは2021年に、これまでの研究から、人の皮膚に変化が出る青紫の光の量を見積もりました。一貫して報告されていた変化は色素が濃くなることだけで、その目安は約65J/cm²でした。
実際に光の量を測ると、室内の照明などの光源では、この量に届くまでに0.5〜20か月かかる計算でした。医療用の光源では0.5分〜45時間です。屋外では、どの季節でも、紫外線で肌が赤くなる目安のほうが先に来ていました。研究チームは、家庭の照明や画面、日光に対して、青紫の光だけを防ぐ対策は必要ないと結論しています。ただし、光に過敏になる病気がある人や、光に反応しやすくなる薬を使っている人では、役立つ可能性があるとしています。
フランスの研究チームは2020年に、肝斑(頬などに左右対称に出る薄茶色のシミ)がある人に、短時間、電子機器の青い光を当てても、肝斑は悪化しなかったと報告しています。短い報告で、人数や期間はごく限られます。
一方、2026年には英国の研究チームが、培養した人の皮膚の細胞(線維芽細胞)に青い光を当てると、細胞の老化の目印が増えたと報告しました。皿の上の細胞に多くの光を当てた実験で、人の肌で同じことが起きるかは確かめられていません。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 強い青紫の光で、色素が濃くなるか(健康な人に光を当てる小規模な実験) | 根拠 初期 | スキンタイプIII〜VIで濃くなった。IIでは変化なし |
| 室内の照明などの光の量で、変化の目安に届くか(光の量の試算) | 根拠 初期 | 0.5〜20か月かかる計算。画面や照明への対策は不要と結論 |
| 電子機器の青い光で、肝斑が悪化するか(短い報告) | 根拠 初期 | 悪化しなかったと報告 |
| 青い光で、皮膚の細胞の老化の目印が増えるか(細胞の実験) | 根拠 動物 | 増えた。人の肌では未確認 |
| 可視光も防ぐ日焼け止めで、肝斑が薄くなりやすいか(68人の比較試験) | 根拠 有望 | 紫外線だけ防ぐ日焼け止めより改善が大きかった |
日光の対策では、目に見える光も気にしたほうがいい?
画面の光とは別に、日光に含まれる可視光は量が多く、シミの悩みとの関係が研究されています。メキシコでは、肝斑がある68人を2組に分け、8週間の比較試験が行われました。全員が同じ美白の治療を受けたうえで、片方は紫外線だけを防ぐ日焼け止め、もう片方は可視光も防ぐ酸化鉄(色のついた粉)入りの日焼け止めを使いました。どちらもSPF50以上です。酸化鉄入りの組では、肝斑の重さの点数が15%、肌の色の測定値が28%、それぞれ紫外線だけの組より大きく改善していました。
2025年には、世界の皮膚科医10人が、シミなど色素の悩みへの対応をまとめた国際的な合意を発表しました。広い範囲の光を防ぐことを特に重視し、色つきの日焼け止めが国や地域によって手に入りにくいことも課題として挙げています。2026年の米国の総説も、可視光と波長の長いUVA1が重なると、色素が濃くなったり赤みが出たりすると整理しています。ただし、この総説は系統的な質の評価を行っていない、研究の要約です。
では、どうすればよいか
ふだんスマホやパソコンを使う程度の光で肌のシミや老化が進むという根拠は、いまのところありません。画面の光を心配するよりも、日中の外出時に日光を防ぐほうが、研究の裏付けがあります。シミが気になる方は、色のついた日焼け止めを選ぶことも考えられます。
- 画面の光のために、肌の対策を新しく足す必要はないと考えてよい。目の疲れや寝る前の使い方は、別に考える
- 日中の外出時は、日焼け止めや帽子、日陰を使って日光を防ぐ
- シミが気になる方は、色のついた日焼け止めを選ぶことも考えられる
- 光で肌が赤くなりやすい病気がある方や、光に反応しやすくなる薬を使っている方、シミが急に増えたり形が変わったりした方は、皮膚科の医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 可視光とUVA1の比較(J Invest Dermatol 2010) | 米国。スキンタイプIV〜VIの20人の腰にUVA1(340〜400nm)と可視光(400〜700nm)を照射し、2週間で7回評価。どちらでも色素沈着が起き、可視光による色素のほうが濃く持続した。スキンタイプIIでは色素沈着なし。資金・利益相反は抄録に記載なし |
|---|---|
| 波長ごとの色素沈着(Pigment Cell Melanoma Res 2014) | フランス。健康な人に415nm(青紫)と630nm(赤)を量を変えて照射し、UVBと比較。415nmはスキンタイプIII・IVで量に応じた色素沈着を起こし、UVBより強く最長3か月持続。630nmでは色素沈着なし。表皮細胞の壊死とp53の増加はUVBで有意に多かった。人数は抄録に記載なし |
| 青紫の光の量の試算(Photochem Photobiol Sci 2021) | ノルウェー放射線・原子力安全局などの研究者。文献から、人の皮膚で一貫して報告された反応(色素沈着)の目安を約65J/cm²と設定。室内の光源では到達に0.5〜20か月、医療用の光源では0.5分〜45時間。屋外では全季節で紫外線の紅斑の目安(1SED)のほうが先に到達。家庭の照明・画面・日光に対する青紫光の防御は不要と結論。光線過敏の病気や光感作性の薬の使用者では有用な可能性 |
| 電子機器の青い光と肝斑(J Am Acad Dermatol 2020) | フランス・ニース大学病院などの短い報告(レター)。短時間の電子機器の青い光への曝露で肝斑は悪化しなかったと報告。抄録なし |
| 皮膚線維芽細胞への青い光(FASEB Bioadv 2026) | 英国ニューカッスル大学と企業の研究所。培養した新生児の皮膚線維芽細胞に青い光を照射。50J/cm²でp21の遺伝子発現が15倍、25J/cm²以上で老化関連β-ガラクトシダーゼの活性が有意に増加。著者は利益相反なしと開示。著者の一部は企業(化粧品・日用品メーカー)の所属 |
| 可視光も防ぐ日焼け止めの比較試験(Photodermatol Photoimmunol Photomed 2014) | メキシコ。肝斑の68人を2組に分け8週間(完了61人)。全員が同じ美白の外用治療を受け、酸化鉄入りで可視光も防ぐ日焼け止め、または紫外線だけを防ぐ日焼け止め(いずれもSPF50以上)を使用。可視光も防ぐ組でMASI(肝斑の重さの点数)15%、測色値28%、メラニンの組織評価4%、改善が大きかった。二重盲検 |
| 色素の悩みへの国際的な合意(J Eur Acad Dermatol Venereol 2026) | アフリカ・アジア・欧州・米州の皮膚科医など10人が、文献の検討とデルファイ法で合意を作成。肝斑やそばかす、日光による色素沈着などが対象。広い範囲の光を防ぐことを重視し、色つきの日焼け止めの入手しにくさを課題とした。多くの著者が化粧品・医薬品企業からの謝礼などを開示 |
| 紫外線から可視光までの光防御の総説(Photodermatol Photoimmunol Photomed 2026) | 米国ヘンリー・フォード病院の研究者による、系統的な質の評価を行わない総説。波長の長いUVA1(370〜400nm)と可視光は相乗的に紅斑と持続する色素沈着を起こすと整理。色つきのミネラル日焼け止めの色の幅の広がりなどを紹介。紫外線吸収剤の環境への影響や長期の安全性に研究が必要としている |
- Mahmoud BH, et al. Impact of long-wavelength UVA and visible light on melanocompetent skin. J Invest Dermatol. 2010. PMID 20410914
- Duteil L, et al. Differences in visible light-induced pigmentation according to wavelengths: a clinical and histological study in comparison with UVB exposure. Pigment Cell Melanoma Res. 2014. PMID 24888214
- Christensen T, et al. Violet-blue light exposure of the skin: is there need for protection? Photochem Photobiol Sci. 2021. PMID 33893982
- Duteil L, et al. Short-term exposure to blue light emitted by electronic devices does not worsen melasma. J Am Acad Dermatol. 2020. PMID 31887321
- McNish H, et al. Blue Light Exposure Induces Changes Associated With Senescence and Skin Aging in Human Dermal Fibroblasts. FASEB Bioadv. 2026. PMID 42775285
- Castanedo-Cazares JP, et al. Near-visible light and UV photoprotection in the treatment of melasma: a double-blind randomized trial. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2014. PMID 24313385
- Passeron T, et al. Global consensus on the management of melanin hyperpigmentation disorders. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2026. PMID 41362125
- Mohammed H, et al. From Ultraviolet to Visible Light: Emerging Concepts in Comprehensive Photoprotection. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2026. PMID 42163070

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










