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ポールを持って歩くと、普通に歩くよりいい? ノルディックウォーキングの研究

2本のポールを使って歩くノルディックウォーキングは、中高年の運動として知られています。普通のウォーキングと比べて何が違うのか、膝の負担は軽くなるのかを、人の研究から整理しました。

根拠 有望5分で読めます公開 2026.10.30更新 2026.10.30
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 平均約62歳・22の比較試験のまとめで、体重や腹囲、血圧、コレステロールの数値の改善が報告されている
  • 普通に歩く運動と比べると、歩きながらのバランスなどで上回った一方、持久力は普通に歩くほうがやや伸びていた
  • ポールを強く突くほど運動の強さが上がる。膝の負担が軽くなるかは、7人の研究では差がなかった

ポールを持って歩くノルディックウォーキングは、平均約62歳の人を対象にした比較試験のまとめで、体重や血圧、コレステロールの数値の改善が報告されています。ただし、普通に歩く運動より明らかに優れているかは、直接比べた研究が少なく、項目によって結果が分かれています。

ノルディックウォーキングは、スキーのストックに似た2本のポールを左右の手に持ち、地面を後ろへ突きながら歩く運動です。北欧で広まった歩き方で、腕や肩も使うのが特徴です。

ポールを使うと、運動の強さは変わる?

韓国の研究チームは、健康な若い男性15人に、ポールあり・なしの両方でランニングマシンの上を歩いてもらいました。速さは時速3〜5km、傾斜は0〜7%で、同じ条件で比べています。ポールを使うと、体が取り込む酸素の量が約16%多く、心拍数も約8%高くなっていました。腕の筋肉の働きも大きくなっていました。

ポールの使い方で差が出ることも報告されています。鹿屋体育大学などの研究では、中高年17人に12分間、できるだけ速く歩いてもらいました。ポールを強く、長く突いている人ほど、歩いた距離がのび、運動の強さも上がっていました。参加者は趣味で続けている人と指導者で、人数の少ない研究です。

続けると、体の数値はどう変わる?

2025年に韓国の漢陽大学のチームが、高齢者を対象にした比較試験22本をまとめました。参加者は合わせて1,271人で、平均年齢は約62歳です。ノルディックウォーキングを続けた組では、体重が平均1.76kg、腹囲が2.21cm減り、体脂肪率も1.54ポイント下がっていました。

上の血圧(収縮期血圧)は平均2.92mmHg低くなり、LDLコレステロールや中性脂肪の数値も下がっていました。65歳以上に限ると、下の血圧(拡張期血圧)が5.26mmHg低くなっていました。持久力の目安になる最大酸素摂取量(体が取り込める酸素の最大量)も上がっています。いずれも数値の変化を調べたもので、心臓や血管の病気が減るかまでは確かめていません。

普通に歩くのと比べて、どちらがよい?

2018年にイタリアのパドバ大学などのチームが、60〜92歳を対象にした15の研究をまとめています。運動をしない人と比べると、持久力や手足の筋力、歩きながらのバランスが改善していました。一方で、立ったまま姿勢を保つバランスは、かえって低い結果でした。

普通に歩く運動と比べた研究では、歩きながらのバランスや下半身の柔らかさ、生活の質(暮らしの満足度)で、ノルディックウォーキングが上回っていました。持久力は、普通に歩く運動のほうがやや大きく伸びていました。どちらかがはっきり優れているという結果ではありません。

考える力については、2025年に北京体育大学などのチームが、8つの研究・327人(平均約71歳)をまとめました。物事の段取りや切り替えに関わる実行機能では改善が見られましたが、記憶や全体の認知機能では、はっきりした差はありませんでした。改善が目立ったのは、持病のある人や、運動をしない組と比べた場合でした。

ポールを使えば、膝の負担は軽くなる?

ポールで体を支えるので膝にやさしい、と言われることがあります。デンマークの研究では、指導者の女性7人の歩き方を詳しく測り、ポールあり・なしで膝にかかる力を比べました。膝を押しつける力にも、ずらす力にも、差は見られませんでした。

7人だけの研究なので、これで結論は出せません。少なくとも、ポールで膝の負担が軽くなるとは、現時点では言えません。膝に痛みのある方は、ポールがあれば安心と考えず、医師に相談してから始めると安心です。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
体重・腹囲・体脂肪率(平均約62歳・22の比較試験のまとめ)根拠 確立体重−1.76kg、腹囲−2.21cm、体脂肪率−1.54ポイント
血圧・コレステロール(同じまとめ)根拠 確立上の血圧−2.92mmHg。LDL・中性脂肪も低下。65歳以上は下の血圧−5.26mmHg
持久力(同じまとめ)根拠 確立最大酸素摂取量が中程度に向上
普通に歩く運動との比較(60〜92歳・15の研究のまとめ)根拠 有望歩きながらのバランス・柔軟性・生活の質で上回る。持久力は普通に歩くほうがやや上
考える力(平均約71歳・8研究のまとめ)根拠 有望実行機能は改善。記憶や全体の認知機能は差なし
運動の強さ(若い男性15人)根拠 初期酸素の取り込みが約16%多い
ポールの突き方(中高年17人)根拠 初期強く長く突く人ほど速く、強度も高い
膝にかかる力(指導者7人)根拠 初期ポールあり・なしで差なし
まだ分かっていないこと体重や血圧などの数値が改善したという報告で、心臓や血管の病気、死亡が減るかは確かめられていません。22試験のまとめは1試験あたりの人数が平均60人ほどと小さく、比べる相手もまちまちです。普通に歩く運動と直接比べた研究は一部で、2018年のまとめは研究の数も限られています。考える力のまとめは8研究・327人で、運動をしない組と比べた場合に差が目立っており、普通に歩く運動より優れているとは言えません。運動の強さを測った研究は若い男性15人、膝の負担を測った研究は指導者の女性7人が対象で、初心者や膝に痛みのある人に当てはまるかは分かっていません。2018年のまとめと膝の研究は、抄録に資金や利益相反の記載がありません。

では、どうすればよいか

ノルディックウォーキングは、普通のウォーキングに腕の動きを加えて、運動の強さを少し上げる方法と考えられます。ポールの突き方で強さが変わるので、始めるときは講習会などで使い方を習っておくと、研究で調べられた歩き方に近づけます。普通のウォーキングが続いている方は、無理に切り替える必要はありません。

今日からできること
  • 普通のウォーキングが続いている方は、そのまま続けてよい。変化をつけたいときの選択肢としてポールを使う
  • 始めるときは、講習会や指導者のもとでポールの長さと突き方を確かめる
  • 運動量は、WHOの目安(中くらいの強さで週150〜300分)を参考にする
  • 膝や腰に痛みがある方、心臓や血圧の持病がある方は、始める前に医師に相談する。歩いている途中に痛みや息苦しさが出たら中止する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
22の比較試験のまとめ(Arch Gerontol Geriatr 2025)高齢者を対象にしたランダム化比較試験22本・1,271人、平均62.21歳。BMI −0.67、体重 −1.76kg、腹囲 −2.21cm、体脂肪率 −1.54%、最大酸素摂取量 標準化平均差0.60、収縮期血圧 −2.92mmHg、LDL・総コレステロール・中性脂肪も低下。65歳以上で拡張期血圧 −5.26mmHg。著者は利益相反なしと開示。韓国・漢陽大学
60〜92歳・15研究のまとめ(Rejuvenation Res 2018)運動をしない組と比べ、動的バランス・機能的バランス・上下肢の筋力・持久力・脂質などが改善(効果量0.23〜0.92)、静的バランスは低下(−0.72)。普通の歩行と比べ、動的バランス(0.30)・下半身の柔軟性(0.47)・生活の質(0.53)で上回り、持久力は歩行のほうが上(−0.21)。抄録に資金・利益相反の記載なし。イタリア・パドバ大学など
考える力・8研究のまとめ(Front Aging Neurosci 2025)2014〜2024年の8研究・327人、平均71.19歳。実行機能に有意な改善(Hedges' g 0.89)。全体の認知機能・記憶・注意などは有意差なし。持病のある人と、運動をしない対照と比べた場合に改善。介入時間の合計が長いほど効果量が大きい。著者は利益相反なしと開示。北京体育大学など
運動の強さのクロスオーバー試験(BMC Sports Sci Med Rehabil 2021)健康な若い男性15人(平均23.7歳)。時速3〜5km・傾斜0〜7%のランニングマシンで比較。ポールありで酸素摂取量 +15.8%、換気量 +17.0%、心拍数 +8.4%、収縮期血圧 +7.7%。上肢の筋活動が増加。著者は利益相反なしと開示。韓国・江原大学
ポールの突き方の研究(PLoS One 2018)非ランダム化試験。趣味で続ける中高年8人(平均63.7歳)と指導者9人(平均57.5歳)が12分間の速歩。ポールの最大荷重と力積が、歩行距離・速さ(r=0.67)や運動強度(METs、r=0.66)の伸びと相関。著者は利益相反なしと開示。鹿屋体育大学など
膝にかかる力の研究(Scand J Med Sci Sports 2008)経験のある女性指導者7人の3次元歩行解析。ポールあり・なしで膝の圧縮力・せん断力に差なし。ポールありで膝の曲がりと股関節の可動域が大きい。抄録に資金・利益相反の記載なし。デンマーク
WHOの指針(Br J Sports Med 2020)成人は週150〜300分の中強度、または75〜150分の高強度の有酸素運動。すべての年代に定期的な筋トレを推奨
出典
  1. Liu J, Kim JH. The effects of nordic walking on the cardiovascular risk factors in older adults: A systematic review and meta-analysis. Arch Gerontol Geriatr. 2025. PMID 39476525
  2. Bullo V, et al. Nordic Walking Can Be Incorporated in the Exercise Prescription to Increase Aerobic Capacity, Strength, and Quality of Life for Elderly: A Systematic Review and Meta-Analysis. Rejuvenation Res. 2018. PMID 28756746
  3. Li H, et al. The effects of Nordic walking on cognitive function in older adults: a systematic review and meta-analysis. Front Aging Neurosci. 2025. PMID 41040812
  4. Baek S, Ha Y. Estimation of energy expenditure of Nordic walking: a crossover trial. BMC Sports Sci Med Rehabil. 2021. PMID 33608046
  5. Fujita E, et al. Proficiency in pole handling during Nordic walking influences exercise effectiveness in middle-aged and older adults. PLoS One. 2018. PMID 30481199
  6. Hansen L, et al. Nordic Walking does not reduce the loading of the knee joint. Scand J Med Sci Sports. 2008. PMID 18208430
  7. Bull FC, et al. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Br J Sports Med. 2020. PMID 33239350
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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