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物忘れを防ぐ食事はある? MIND食の比較試験と追跡研究で分かったこと

脳のためによいとされる食べ方に「MIND食」があります。よく守っている人ほど認知症になりにくいという報告がある一方、比較試験でははっきりした差が出ませんでした。観察研究と比較試験を分けて、分かっていることを整理しました。

根拠 初期5分で読めます公開 2026.10.27更新 2026.10.27
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • MIND食に近い食事の人ほど、認知症になる危険が17〜21%低いと、追跡研究のまとめで報告されている
  • 米国の604人の比較試験では、3年間の認知機能と脳のMRIの変化に、ふつうの食事の組との差はなかった
  • 日本でも、日本の食事に近い人ほど認知症になる危険が低いという追跡研究があるが、いずれも観察研究である

MIND食(マインド食)をよく守っている人ほど、その後に認知症になる割合が低いことが、世界の追跡研究で報告されています。ただし、米国で3年間行われた比較試験では、MIND食の組と、ふつうの食事を少し減らした組で、記憶や考える力の変化に差はありませんでした。

MIND食とは、どんな食べ方?

MIND食は、米国のラッシュ大学の研究チームが考えた食べ方です。地中海食と、血圧を下げるために作られたDASH食を組み合わせ、認知症との関係が報告されてきた食品を重視しています。研究では、食べる頻度の質問票から0〜15点で点数を付け、点数が高いほどMIND食に近いとみなします。

後で紹介する比較試験では、オリーブオイルとブルーベリー、ナッツを中心となる食品として参加者に配っていました。

きっかけになったのは、2015年に発表された米国の観察研究です。平均4.7年、960人を追ったところ、MIND食の点数が高い3分の1の人たちは、低い3分の1の人たちより、記憶や考える力の落ち方が小さくなっていました。その差は、年齢にすると7.5歳分に当たると計算されています。

MIND食に近い人は、認知症になりにくい?

2023年には、英国と米国の3つの追跡研究、合わせて約1万8,000人の分析が発表されました。点数が3点高いごとに、認知症になる危険は17%低くなっていました。同じ論文で11の追跡研究、約22万4,000人をまとめると、点数が最も高い組の危険は、最も低い組より17%低い結果でした。

2026年10月には、韓国の研究チームが21本の論文、約59万人をまとめた解析を発表しました。7つの食べ方を比べたなかで、MIND食をよく守る人は認知症になる危険が21%低くなっていました。一方、地中海食やDASH食では、はっきりした差は出ていません。

ただし、どれも観察研究(ふだんの食事を調べ、その後の健康と見比べる方法)です。食事に気を配る人は、運動や通院の習慣など、ほかの点でも違う可能性があります。また、2024年に40本の論文を整理したオランダのまとめでは、認知症との関連は10の研究のうち7つで見られた一方、認知機能が落ちる速さとの関連は7つのうち2つにとどまりました。関連が見られた研究の多くは北米のもので、ほかの地域の人に当てはまるかははっきりしないとされています。

比較試験では、どんな結果が出た?

食事が原因と言えるかを確かめるには、比較試験(くじ引きで組を分けて比べる試験)が必要です。米国の2か所で行われた試験の結果が、2023年に発表されました。

対象は、家族に認知症の人がいて、肥満ぎみで、食事の内容に改善の余地がある65〜84歳の604人です。認知機能に問題のない人だけが参加しました。片方の組はMIND食、もう片方の組はふだんの食事のままで、どちらの組も摂取カロリーを少し減らし、体重を落とすための支援を受けました。

3年後、12種類のテストから計算した認知機能の点数は、両方の組で上がっていました。上がり方の差は小さく、統計的にはっきりした差ではありませんでした。脳のMRIで見た変化も、2つの組で同じような結果でした。参加者の93.4%が最後まで続けています。

どちらの組もカロリーを減らし、食事の相談を受けていたので、そのこと自体が両方の点数を押し上げた可能性もあります。MIND食に意味がないと決まったわけではありませんが、3年間ではっきりした差は確かめられませんでした。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
MIND食に近い人は、認知症になりにくいか(11の追跡研究のまとめ)根拠 初期最も高い組で17%低い
同じ問い(21本の論文・約59万人のまとめ、2026年)根拠 初期21%低い。地中海食・DASH食でははっきりしない
認知機能が落ちる速さとの関連(40本の論文の整理)根拠 初期7つの研究のうち2つで関連。結果は分かれる
MIND食で、3年間の認知機能の変化は変わるか(604人の比較試験)根拠 有望差なし。脳のMRIも差なし
地中海食にオリーブオイルやナッツを加えた場合(スペインの比較試験)根拠 有望オリーブオイルの組で総合点が保たれた。小規模で訂正あり
日本の食事に近い人は、認知症になりにくいか(日本の追跡研究2本)根拠 初期20%低い(大崎市)など

地中海食や、日本の食事ではどうか

スペインでは、心臓病の危険が高い平均67歳の447人を対象にした比較試験があります。地中海食にオリーブオイル(週1リットル)を加えた組、ナッツ(1日30g)を加えた組、脂肪を減らすよう助言した組に分けました。約4年後、オリーブオイルの組は、認知機能の総合点が助言の組より保たれていました。ただし、再検査を受けたのは334人で、この論文には2018年に訂正が出ています。

日本の研究もあります。宮城県大崎市の65歳以上、約1万4,000人を約6年追った研究では、日本の食事に多い食品をよくとる型の人ほど、認知症になる危険が低くなっていました。最も多い4分の1の組は、最も少ない組より20%低い結果でした。愛知県の1,504人を最長20年追った研究でも、日本の食事に近い人ほど認知症になる危険が低いと報告されています。どちらも観察研究です。

まだ分かっていないことMIND食と認知症の関連は、ほとんどが観察研究によるもので、食事が原因なのか、食事に気を配る人のほかの生活習慣の違いなのかは区別できません。食事は本人が質問票に答えたもので、記憶違いも入ります。比較試験は全体で差がなく、追跡は3年と短く、参加者は家族に認知症の人がいて肥満ぎみの米国の高齢者に限られていました。どちらの組も摂取カロリーを減らしていたため、比べたのは「カロリーを減らしたMIND食」と「カロリーを減らしたふつうの食事」です。関連が見られた研究の多くは北米のもので、日本人にそのまま当てはまるかは分かっていません。日本の2つの研究は観察研究で、日本の食事が認知症を減らすと確かめたものではありません。

では、どうすればよいか

特定の食べ方で物忘れを防げると言えるだけの根拠は、まだありません。それでも、オリーブオイルやナッツ、ブルーベリーを取り入れる食事や、日本の食事に近い食事の人ほど認知症が少ないという報告は、国や研究をまたいで出ています。無理のない範囲で、いまの食事を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

今日からできること
  • 魚や大豆製品、野菜、ナッツなど、日本の食事にもなじむ食品を、いまの食事に少しずつ増やしてみる
  • ナッツやオリーブオイルはエネルギーが多いので、量はほどほどにする
  • 持病で食事の制限がある方、腎臓の病気や食物アレルギーのある方は、食事を変える前に医師に相談する
  • 物忘れが気になるときは、自己判断せずに医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
MIND食の比較試験(N Engl J Med 2023)米国2施設、認知障害がなく、認知症の家族歴があり、BMI25超で食事の質が低い65〜84歳の604人(MIND食301人・対照303人)。両群とも軽いカロリー制限と減量の支援。3年後の全般的認知機能の変化はMIND食0.205、対照0.170(差0.035、95%信頼区間−0.022〜0.092、P=0.23)。MRIの白質病変・海馬の体積なども差なし。完了率93.4%。資金: 米国国立老化研究所。オリーブオイル・ブルーベリー・ナッツを配布。登録: NCT02817074
3つの追跡研究と11研究のまとめ(JAMA Psychiatry 2023)英国Whitehall II 8,358人、米国HRS 6,758人、フラミンガム子孫研究3,020人。認知症775人。点数3点ごとのハザード比0.83(0.72〜0.95)。11の追跡研究・22万4,049人(認知症5,279人)のまとめで、最高3分位と最低3分位のハザード比0.83(0.76〜0.90)。著者1人が対象外の研究費を開示
7つの食べ方と認知症のまとめ(Psychiatry Res 2026)前向きコホート研究21本、59万29人、認知症1万9,401人。MIND食のハザード比0.79(0.73〜0.85)、地中海食0.90(0.78〜1.05)、健康的な植物性食品の指標0.85。DASH食・HEI・西洋型などは有意な関連なし。利益相反なし
MIND食と脳の老化の系統的レビュー(Adv Nutr 2024)40歳以上を対象にした40本(32コホート)。認知症の予防的な関連は10コホート中7、全般的認知機能は4中3、全般的認知機能の低下の速さは7中2。北米のコホートが多い。著者1人が同誌の編集者
MIND食の最初の観察研究(Alzheimers Dement 2015)米国Memory and Aging Projectの960人、平均4.7年。点数の最高3分位と最低3分位の認知機能の低下の差は、年齢7.5歳分に相当。利益相反なし
スペインの地中海食の比較試験(JAMA Intern Med 2015)PREDIMED試験のバルセロナ参加者447人(平均66.9歳、心血管病の危険が高い)。オリーブオイル週1L追加・ナッツ1日30g追加・低脂肪の助言に割り付け。再検査334人、中央値4.1年。全般的認知機能の複合点はオリーブオイル群0.05、対照−0.38(P=.005)。2018年に訂正。登録: ISRCTN35739639
大崎コホート2006(J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2016)宮城県大崎市の65歳以上1万4,402人、5.7年追跡。認知症の発生は介護保険の認定で把握(9.0%)。日本型の食事パターンの最高4分位のハザード比0.80(0.66〜0.97)。動物性食品型・乳製品型は関連なし
NILS-LSA(Eur J Nutr 2023)愛知県の65〜82歳1,504人、中央値11.4年追跡、認知症225人。3日間の食事記録から日本食の指標を計算。1点高いごとに認知症の危険が5%低い。利益相反なし
出典
  1. Barnes LL, et al. Trial of the MIND Diet for Prevention of Cognitive Decline in Older Persons. N Engl J Med. 2023. PMID 37466280
  2. Liu X, et al. Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay (MIND) study: Rationale, design and baseline characteristics of a randomized control trial of the MIND diet on cognitive decline. Contemp Clin Trials. 2021. PMID 33434704
  3. Chen H, et al. Association of the Mediterranean Dietary Approaches to Stop Hypertension Intervention for Neurodegenerative Delay (MIND) Diet With the Risk of Dementia. JAMA Psychiatry. 2023. PMID 37133875
  4. Kim Y, et al. The association of seven dietary patterns and the risk of dementia: a systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. Psychiatry Res. 2026. PMID 42896464
  5. van Soest AP, et al. The Mediterranean-Dietary Approaches to Stop Hypertension Intervention for Neurodegenerative Delay (MIND) Diet for the Aging Brain: A Systematic Review. Adv Nutr. 2024. PMID 38311314
  6. Morris MC, et al. MIND diet slows cognitive decline with aging. Alzheimers Dement. 2015. PMID 26086182
  7. Valls-Pedret C, et al. Mediterranean Diet and Age-Related Cognitive Decline: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2015. PMID 25961184
  8. Tomata Y, et al. Dietary Patterns and Incident Dementia in Elderly Japanese: The Ohsaki Cohort 2006 Study. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2016. PMID 27356978
  9. Zhang S, et al. Twenty-year prospective cohort study of the association between a Japanese dietary pattern and incident dementia: the NILS-LSA project. Eur J Nutr. 2023. PMID 36808562
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ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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