ブルーライトカット眼鏡で、目の疲れは減る? 比較試験のまとめで分かったこと
パソコンやスマホを見続けると、目が疲れる、かすむと感じる方は少なくありません。ブルーライトを減らす眼鏡にその疲れを軽くする働きがあるのか、比較試験とそのまとめで分かっていることを整理しました。
- 画面を見続けて目が疲れる人は多く、103の調査のまとめでは約7割に当たると推定されている
- 17の比較試験をまとめたコクラン・レビューでは、ブルーライトカット眼鏡で目の疲れが軽くなるという結果は得られなかった
- 120人の比較試験でも、2時間のパソコン作業のあとの目の疲れは、普通の透明なレンズと差がなかった
- 画面から目を離して休む方法は、2週間で症状が軽くなったという小規模な試験がある一方、差がなかった試験もある
ブルーライトカット眼鏡で、画面による目の疲れが軽くなるという結果は、比較試験のまとめでは得られていません。根拠の確かさは「低い」とされており、目の疲れには、画面から目を離して休む時間をとる方法が、厚生労働省の指針でも示されています。
画面による目の疲れは、どれくらい多い?
パソコンやスマホを長く見たあとに出る目の疲れ、かすみ、乾き、肩や首のこりは、デジタル眼精疲労(コンピュータビジョン症候群とも呼ばれます)としてまとめて扱われています。
2023年に、世界の103の調査、6万6,577人分をまとめた解析が発表されました。目の疲れなどの症状がある人の割合は、全体で69.0%と推定されています。女性では71.4%、男性では61.8%で、コンタクトレンズを使う人でも高い傾向がありました。ただし、調査ごとの割合は12.1%から97.3%まで大きく異なり、症状の定め方がそろっていないことも指摘されています。
ブルーライトカット眼鏡の比較試験では、どんな結果が出た?
ブルーライトは、画面や太陽の光に含まれる、波長の短い青い光です。これを減らすレンズは広く販売されており、目の疲れや眠り、目の奥の網膜を守る働きがうたわれることがあります。
2023年のコクラン・レビュー(医療の研究を厳しい基準で集めて評価する国際的なまとめ)は、大人を対象に、ブルーライトカットのレンズと普通のレンズを比べた17の比較試験を集めました。1本の試験の人数は5〜156人で、期間は1日未満から5週間です。
目の疲れの点数は、1週間未満の期間では差がない可能性があり、根拠の確かさは「低い」と判定されました。視力にもほとんど差はありませんでした。眠りについては、よくなったという試験と差がなかったという試験が3本ずつで、結論は出ていません。網膜への影響を調べた試験はありませんでした。
「効果があると思い込む」影響も調べられている?
2021年にオーストラリアで行われた試験では、画面による目の疲れを感じている120人が、ブルーライトカット眼鏡か、見た目の同じ透明なレンズの眼鏡をかけて、2時間のパソコン作業をしました。どちらの眼鏡か、参加者にも測る人にも分からないようにしています。
さらに、眼鏡を勧める説明の動画と勧めない動画を分けて見せ、思い込みの影響も調べました。作業のあとの目の疲れの点数にも、目の疲れを客観的に測る検査(光のちらつきを見分ける力)にも、眼鏡の種類による差はありませんでした。説明の仕方による差もみられていません。
2022年には、画面による目の疲れへの対策を調べた45の比較試験、4,497人分のまとめも出ています。ブルーライトカット眼鏡(3試験)では、目の疲れは軽くなりませんでした。目の疲れをうたうベリー類の抽出物のサプリ(7試験)も、偽薬と差がなかったと報告されています。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 画面による目の疲れがある人の割合(103調査・6万6,577人のまとめ) | 根拠 初期 | 約69%。調査ごとの差が大きい |
| ブルーライトカット眼鏡で目の疲れは軽くなるか(17試験のコクラン・レビュー) | 根拠 有望 | 差がない可能性。根拠の確かさは低い |
| 同じ眼鏡で視力は変わるか(同じレビュー・156人の試験) | 根拠 有望 | ほとんど差なし |
| 同じ眼鏡で眠りはよくなるか(同じレビュー・6試験) | 根拠 初期 | よくなった3試験、差なし3試験で結論なし |
| 2時間のパソコン作業のあとの目の疲れ(120人の二重盲検の比較試験) | 根拠 有望 | 透明なレンズと差なし |
| 20-20-20ルールの休憩の知らせ(29人・2週間) | 根拠 初期 | 目の疲れと乾きの症状が軽くなった。やめると元に戻った |
| 20秒の休憩の間隔を変えた試験(30人) | 根拠 初期 | 休憩なしと差なし |
画面から目を離して休むと、疲れは軽くなる?
よく紹介される方法に「20-20-20ルール」があります。20分ごとに、約6m先を20秒以上見るというものです。
スペインの試験では、目の疲れを感じている29人のパソコンに、このルールで休憩を知らせるソフトを入れました。2週間使うと、目の疲れと乾きの症状が軽くなりました。ただし、知らせをやめて1週間たつと元に戻り、涙の量など目の表面の検査には変化がありませんでした。
一方、米国で若い30人を対象にした試験では、40分の読む作業の途中に、20秒の休憩を5・10・20分ごとにとっても、休憩なしと比べて症状に差は出ませんでした。20秒という短い休憩だけでは足りない可能性も考えられます。
日本では、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が、職場での目安を示しています。続けて画面を見る作業は1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の休止をとり、その間にも1〜2回、1〜2分程度の小休止を入れるよう示しています。
では、どうすればよいか
ブルーライトカット眼鏡を、目の疲れを減らす目的で新たに用意する根拠は、いまのところ弱いと考えられます。すでに使っていて違和感がなければ、使い続けても差し支えはありません。目の疲れが続くときは、休憩のとり方を見直し、眼鏡の度が合っているかを眼科で確認されることをおすすめします。
- 画面を続けて見るのは1時間までを目安にし、その間にも1〜2分、遠くを見て目を休める
- 画面との距離や明るさを見直し、まばたきが減っていないか意識する
- 眼鏡やコンタクトレンズの度が今の見え方に合っているか、しばらく測っていなければ眼科で確認する
- 目の痛み、急な見えにくさ、強い乾きが続くときは、眼鏡を替える前に眼科の医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| コンピュータビジョン症候群の有病率のまとめ(J Optom 2024) | 横断研究103本・6万6,577人。有病率69.0%(95%信頼区間62.3〜75.3%)、研究ごとに12.1〜97.3%。女性71.4%・男性61.8%、コンタクトレンズ使用者73.1%。著者は商業的な利益相反なしと開示 |
|---|---|
| ブルーライトカット眼鏡のコクラン・レビュー(Cochrane Database Syst Rev 2023) | 大人を対象にした比較試験17本、1試験5〜156人、期間1日未満〜5週間。メタ解析は実施できず。目の疲れの点数は差がない可能性(120人の試験で平均差9.76、95%信頼区間−33.95〜53.47、低い確実性)。視力の差0.00 logMAR(156人、中等度の確実性)。睡眠は6試験148人で結果が分かれた(非常に低い確実性)。有害事象として頭痛・かけ心地の悪さ・気分の落ち込みなどが少数報告。著者2人が含まれた試験の研究者で、その評価には不参加 |
| ブルーライトカット眼鏡の二重盲検の比較試験(Am J Ophthalmol 2021) | 画面による目の疲れがある120人。ブルーライトカットか透明なレンズに割り付け、医師が勧める・勧めない動画でも割り付け。2時間のパソコン作業の前後で、目の疲れの点数(p=0.394)と光のちらつきを見分ける力(p=0.304)に差なし。有害事象なし。資金は抄録に記載なし |
| 画面による目の疲れの対策のまとめ(Ophthalmology 2022) | 比較試験45本・4,497人。ブルーライトカット眼鏡(3試験)で目の疲れは減らなかった(低い確実性)。ベリー類の抽出物(7試験)は偽薬と差なし(標準化平均差−0.27、95%信頼区間−0.70〜0.16)。確実性の高い根拠のある対策は見つからなかった |
| 20-20-20ルールの休憩の知らせの試験(Cont Lens Anterior Eye 2023) | 目の疲れがある29人。ノートパソコンのカメラで休憩とまばたきを記録し、ルールに沿って知らせた。2週間で休憩の回数が増え、目の疲れと乾きの症状が軽くなった(p≤0.045)。知らせをやめて1週間後には差が残らず、目の表面と涙の検査は変化なし。対照の組はない。利益相反なし |
| 休憩の間隔を変えた試験(Optom Vis Sci 2023) | 若い30人。タブレットで40分の読む作業を4回行い、20秒の休憩を5・10・20分ごと、または休憩なし。症状(p=0.70)、読む速さ、正確さに差なし。利益相反なし |
| 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(厚生労働省 2019年・2021年一部改正) | 一連続作業時間は1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の作業休止、作業時間内に1〜2回程度の小休止(1〜2分程度)を設けるよう示している |
- Ccami-Bernal F, et al. Prevalence of computer vision syndrome: A systematic review and meta-analysis. J Optom. 2024. PMID 37866176
- Singh S, et al. Blue-light filtering spectacle lenses for visual performance, sleep, and macular health in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2023. PMID 37593770
- Singh S, et al. Do Blue-blocking Lenses Reduce Eye Strain From Extended Screen Time? A Double-Masked Randomized Controlled Trial. Am J Ophthalmol. 2021. PMID 33587901
- Singh S, et al. Interventions for the Management of Computer Vision Syndrome: A Systematic Review and Meta-analysis. Ophthalmology. 2022. PMID 35597519
- Talens-Estarelles C, et al. The effects of breaks on digital eye strain, dry eye and binocular vision: Testing the 20-20-20 rule. Cont Lens Anterior Eye. 2023. PMID 35963776
- Johnson S, et al. 20-20-20 Rule: Are These Numbers Justified? Optom Vis Sci. 2023. PMID 36473088
- 厚生労働省. 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて(基発0712第3号、2021年12月一部改正). リンク

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。











