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健診のeGFR、60を切ったら? 年齢と腎臓の数値の読み方と研究

健診の結果に並ぶeGFRは、腎臓の働きを表す数字です。60を下回ると何が起こりやすいのか、年齢とともに下がるのは自然なことなのかを、世界と日本の研究から整理しました。

根拠 初期5分で読めます公開 2026.10.29更新 2026.10.29
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • eGFRは腎臓のろ過の働きを推定した数字で、60未満や尿たんぱくが3か月以上続くと慢性腎臓病と判断される
  • 約2,750万人の解析では、eGFRが低いほど心臓や血管の病気、入院などが多く、45〜59の軽い段階から差が見られた
  • 日本の健診の約12万人では、eGFRの低下は平均で年0.36。高血圧や尿たんぱくがあると速かった
  • 65歳以上の45〜59で尿のアルブミンが少ない人は、同年代の人と経過が変わらなかったという研究もあり、年齢に合わせた読み方が議論されている

健診のeGFRが60を下回ると、腎臓の働きが落ちているしるしとされ、数値が低いほど心臓や血管の病気、入院が多いことが、2,750万人を対象にした解析で報告されています。一方で、eGFRは年齢とともに少しずつ下がるので、65歳以上の45〜59では、その後の経過が同じ年代の人と変わらなかったという研究もあり、年齢に合わせた読み方が議論されています。

ここで紹介する研究は、どれも観察研究(ふだんの暮らしや検査の値を記録し、その後の健康と見比べる方法)です。数値と将来の関係を示すもので、原因まで確かめたものではありません。

eGFRは何を表している?

eGFRは、腎臓が1分間に血液をどれだけろ過できるかを、血液検査の値から推定した数字です。健診では、筋肉から出る老廃物であるクレアチニンの値と、年齢・性別から計算します。単位はmL/分/1.73m²で、大きいほど腎臓がよく働いていることを表します。

腎臓の病気の国際的な指針(KDIGO)は、2024年に12年ぶりに改訂されました。一般に、eGFRが60未満の状態や、尿にたんぱく(アルブミン)が出る状態が3か月以上続くと、慢性腎臓病と判断されます。1回の健診の値だけで決まるものではありません。

60を切ると、何が起こりやすい?

2023年に、世界114の研究集団、約2,750万人のデータをまとめた解析が報告されました。参加者の平均年齢は54歳、平均4.8年の追跡です。eGFRが低いほど、また尿のアルブミンが多いほど、腎不全や心臓・血管の病気、入院など調べた10の項目すべてで起こる割合が高くなっていました。

差は、軽い段階から見られました。尿のアルブミンが少ない人に限っても、eGFRが45〜59の人は90〜104の人より入院が多く、1,000人あたり年に161件と79件でした。

年をとると、下がるのは自然なこと?

日本の健診を受けた40歳以上の約12万人を10年間追った研究では、eGFRの下がり方は平均で年0.36でした。高血圧のある50〜79歳の男性や、尿たんぱくが出ている人では、下がり方が速くなっていました。尿たんぱくがある人では、ない人の2倍以上の速さでした。

カナダの研究では、60を一律の目安にした場合と、年齢で目安を変えた場合(40歳未満は75、40〜64歳は60、65歳以上は45)を比べています。60の目安だけで慢性腎臓病とされた約7万3,000人のうち、75%は65歳以上でeGFRが45〜59、尿のアルブミンが少ない人でした。この人たちの5年間の腎不全や死亡の割合は、腎臓の病気がないとされた同年代の人と同じくらいでした。

2025年の総説は、両方の考え方を整理しています。年齢で目安を変えると、高齢者の過剰な診断を減らせる可能性があります。ただ、45〜59の高齢者でも、尿のアルブミンがなくても心臓や血管の病気が多いという報告もあり、一律に問題なしとは言えないとしています。著者らは、年齢や尿の検査などを合わせて一人ひとりの危険を見積もる方法を提案しています。

筋肉の量で、数値は変わる?

クレアチニンは筋肉から出るので、筋肉が少ない人ではeGFRが実際より高く出ることがあります。米国の平均84歳の男性490人の研究では、クレアチニンから求めたeGFRは平均68、別の血液の値であるシスタチンCから求めたeGFRは平均52でした。両者の差は筋肉の量と関係していました。

日本の85歳以上の約1,900人を調べた研究でも、シスタチンCから求めたeGFRのほうが、その後の死亡との関係がはっきりしていました。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
eGFRが低いほど、心臓・血管の病気や入院が多いか(114の研究集団・約2,750万人)根拠 初期10の項目すべてで多い。45〜59の段階から差
日本人で、年齢とともにどれくらい下がるか(健診の約12万人・10年)根拠 初期平均で年0.36。高血圧・尿たんぱくで速い
65歳以上の45〜59(尿のアルブミンが少ない)は、その後の経過が悪いか(カナダ)根拠 初期5年の腎不全・死亡は同年代と同程度
筋肉の量でクレアチニンのeGFRは変わるか(米国の高齢男性490人)根拠 初期シスタチンCより高く出て、差は筋肉の量と関連
まだ分かっていないこと紹介した研究はすべて観察研究で、eGFRが低いこと自体が病気の原因になっているかは分かりません。年齢で目安を変えるべきかは、専門家のあいだでも意見が分かれています。日本の約12万人の研究は1988〜2003年のデータで、計算式も現在とは異なります。2,750万人の解析は多くの研究者が製薬企業などから報酬を受けたことを開示しており、2026年に訂正が出ています。米国の490人の研究は高齢男性だけが対象で、女性や若い世代に当てはまるかは分かりません。

健診で60を下回っていたら、どうすればよいか

1回の値で判断せず、数年分の結果を並べて下がり方を見ることが大切です。あわせて、尿たんぱくの結果と血圧も確かめてください。60未満が続く方、尿たんぱくが陽性の方、1年で大きく下がった方は、医師に相談してください。

今日からできること
  • 健診の結果を数年分並べ、eGFRが1年でどれくらい下がっているかを確かめる
  • eGFRだけでなく、尿たんぱくの結果と血圧もあわせて見る
  • 筋肉が少ない方や高齢の方は、クレアチニンだけの値が実際より高く出ることがあると知っておく
  • 60未満が続く方、尿たんぱくが陽性の方、1年で大きく下がった方は、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
114の研究集団のまとめ(JAMA 2023)CKD Prognosis Consortiumによる個人データのメタ解析。クレアチニンのeGFRは114集団・2,750万3,140人(平均54歳、平均追跡4.8年)。eGFRが低いほど、尿アルブミンが多いほど、腎不全・全死亡・心血管死・急性腎障害・入院・冠動脈疾患・脳卒中・心不全・心房細動・末梢動脈疾患の10項目すべてで危険が高い。尿アルブミン10mg/g未満でeGFR45〜59の入院はeGFR90〜104と比べハザード比1.3(1,000人年あたり161件と79件)。多数の著者が製薬企業などからの報酬を開示。2026年に訂正あり
日本の健診の10年追跡(Hypertens Res 2008)年1回の健診を受けた40歳以上12万727人、1988〜1993年と1998〜2003年を比較。eGFRの低下は平均で年0.36mL/分/1.73m²。50〜79歳の男性では高血圧があると低下が速い。尿たんぱくがあると男女とも2倍以上速い。もとのeGFRが低い人でも低下が速い
年齢で目安を変える比較(JAMA Intern Med 2021)カナダ・アルバータ州の検査データ。60で一律の目安では12万7,132人、年齢別の目安(40歳未満75、40〜64歳60、65歳以上45)では8万1,209人が慢性腎臓病に。60の目安だけで該当した7万2,703人のうち75%は65歳以上・eGFR45〜59・尿アルブミン正常〜軽度で、5年の腎不全・死亡の危険は対照と同程度(腎不全は0.12%以下)
年齢別の目安をめぐる総説(Clin Kidney J 2025)年齢に合わせた目安を支持する立場と、一律の目安を支持する立場を整理。45〜59の高齢者では尿アルブミンがなくても腎不全・心血管病・死亡の危険が高いとの報告がある一方、過剰な診断のおそれもあるとして、個別の危険の見積もりを提案。著者は同誌の編集長・編集委員
シスタチンCとクレアチニンの差(J Am Geriatr Soc 2024)米国MrOS研究の男性490人(平均84歳)の横断研究。クレアチニンのeGFR平均68、シスタチンCのeGFR平均52。差が1標準偏差大きいごとに全身の筋肉量が1.4kg多い。差が大きい人は虚弱が少ないが、筋肉量で調整すると関連は弱まった。著者は利益相反なしと開示
日本の超高齢者の研究(Geroscience 2026)東京・川崎などの3つの研究の1,918人(85歳以上〜105歳以上)。シスタチンCのeGFRは死亡と一貫して関連し、クレアチニンのeGFRは関連が弱かった。予後の目安は85〜89歳で約45と推定。著者の一人が食品企業などからの研究支援を開示
出典
  1. Writing Group for the CKD Prognosis Consortium; Grams ME, et al. Estimated Glomerular Filtration Rate, Albuminuria, and Adverse Outcomes: An Individual-Participant Data Meta-Analysis. JAMA. 2023. PMID 37787795
  2. Imai E, et al. Slower decline of glomerular filtration rate in the Japanese general population: a longitudinal 10-year follow-up study. Hypertens Res. 2008. PMID 18497462
  3. Liu P, et al. Accounting for Age in the Definition of Chronic Kidney Disease. JAMA Intern Med. 2021. PMID 34459844
  4. Delanaye P, et al. Age-adapted versus age-independent eGFR thresholds to diagnose CKD: integrating the debate and charting a balanced path forward. Clin Kidney J. 2025. PMID 41244637
  5. Yuan JH, et al. Difference between kidney function by cystatin C versus creatinine and association with muscle mass and frailty. J Am Geriatr Soc. 2024. PMID 38819605
  6. Kurata H, et al. Kidney function and all-cause mortality in the oldest-old population: a three-cohort longitudinal study. Geroscience. 2026. PMID 41661396
  7. Levin A, et al. Executive summary of the KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease: known knowns and known unknowns. Kidney Int. 2024. PMID 38519239
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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