
早食いは太る? ゆっくり食べると量が減るかの研究で分かったこと
早食いの人ほど太っている、という話はよく聞きます。ゆっくり食べると本当に食べる量が減るのか、体重まで変わるのかを、日本の健診データと比較試験から整理しました。
- 日本の健診を受けた約56万人の研究では、肥満が長く続いた人ほど「食べるのが速い」と答える割合が高かった(男性で約2.4倍)
- 食べる速さを実験で変えた22の研究のまとめでは、ゆっくり食べた条件のほうが、その食事で食べた量が少なかった
- 2週間ずつの比較試験では、ゆっくり食べる献立で1日の摂取量が約369kcal少なかったが、体重には差がなかった
- 早食いをやめると体重が減るかを、長い期間で確かめた比較試験はまだない
ゆっくり食べると、その食事で食べる量が少なくなることは、短い実験をまとめた研究と、2週間の比較試験で報告されています。一方で、早食いをやめると体重が減るかは、まだ人の長い試験で確かめられていません。
早食いの人ほど太っている、という関係は、日本の健診のデータなどで繰り返し見つかっています。ただし、これは観察研究(ふだんの暮らしをそのまま調べ、体重と見比べる方法)の結果で、早食いが原因かどうかまでは分かりません。
早食いの人は太っている?
2026年に、日本の健診を受けた約56万人のデータを調べた研究が発表されました。長い期間にわたって肥満が続いていた人は、食べる速さを「速い」と答える割合が高く、男性ではそうでない人の約2.4倍、女性では約1.5倍でした。反対に、やせが続いていた人は「遅い」と答える割合が高くなっていました。食べる速さの答えは、何年たっても変わらない人が7割前後でした。
2型糖尿病のある日本人約6万人を2008〜2013年に追った研究もあります。食べるのが遅い人は、速い人に比べて肥満である割合が低く、オッズ比(なりやすさの比)は0.58でした。同じ人の中で食べる速さが遅くなると、BMIと腹囲がわずかに小さくなる傾向も見られました。
海外を含む研究のまとめ(2021年)でも、早食いではない人のBMIは、早食いの人より低いと報告されています。ただし、どの研究も食べる速さを本人の回答で調べており、何分で食べ終わるかを測ったものではありません。
ゆっくり食べると、食べる量は減る?
食べる速さを実験で変えて、その食事で食べた量を比べた22の研究をまとめた解析があります(2014年)。ゆっくり食べた条件のほうが、食べた量は少なくなっていました。食べ方の変え方(一口の大きさ、噛む回数、食べ物のかたさなど)にかかわらず、同じ傾向でした。一方、食後の空腹感には、はっきりした差がありませんでした。
タイの若い成人41人の試験では、一口を50回噛んだときは、15回のときより食べた量が少なくなっていました。食後の血糖値とインスリンの値には、差が見られませんでした。
数日以上続けても、差は残る?
1回の食事だけでなく、毎日の食事でも差が出るかを調べた比較試験が、2026年に発表されました。オランダの若い成人41人が、同じような加工食品を使いながら、かたさなどで速く食べられる献立と、ゆっくり食べることになる献立を、それぞれ2週間ずつ好きなだけ食べました。
ゆっくり食べる献立のほうが、1日の摂取量は約369kcal少なく、この差は2週間を通じて続いていました。体脂肪は0.43kg減りましたが、体重には差がありませんでした。著者の一部は、食品企業から講演料などを受け取っていたことを開示しています。
東京大学の試験(2024年)では、太り気味の日本人男性9人が、加工の多い食事と少ない食事を1週間ずつ食べました。加工の多い食事の期間は、1日の摂取量が多く、体重も増えていました。このとき、カロリーあたりの噛む回数は少なくなっていました。人数が少なく、噛む回数だけの影響を取り出した試験ではありません。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 早食いの人ほど肥満が多いか(日本の健診・約56万人) | 根拠 初期 | 肥満が長く続いた人で「速い」の割合が高い(男性約2.4倍・女性約1.5倍) |
| 食べる速さと肥満(日本の2型糖尿病の人・約6万人) | 根拠 初期 | 遅い人は速い人より肥満の割合が低い(オッズ比0.58) |
| ゆっくり食べると、その食事の量が減るか(22の実験のまとめ) | 根拠 有望 | 量は少なくなった。空腹感には差なし |
| 2週間続けても摂取量の差が残るか(41人の比較試験) | 根拠 有望 | 1日約369kcal少ない。体脂肪0.43kg減、体重は差なし |
| 早食いをやめて、体重が長く減るか | 根拠 話題 | 長い期間の比較試験はない |
食べる速さを変えるには、どうすればよいか
研究のまとめでは、一口を小さくする、噛む回数を増やす、かたさのある食べ物を選ぶ、といった方法のいずれでも、食べる量が少なくなる傾向が見られました。どの方法が続けやすいか、どの程度ゆっくりにすればよいかは、まだ決まっていません。歯や飲み込みに不安がある方は、無理に噛む回数を増やさず、歯科医に相談してください。
- 一口を小さめにし、口の中のものを飲み込んでから次の一口をとる
- 噛みごたえのある食材(根菜・きのこ・玄米など)を献立に入れる
- テレビやスマートフォンを見ながらではなく、食事の時間を15〜20分ほどとる。この時間は研究で決まった目安ではない
- 歯の痛み、入れ歯の不具合、飲み込みにくさがある方は、噛む回数を増やす前に歯科医に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 日本の健診の約56万人(Nutrients 2026) | 日本の健診データを使った後ろ向きコホート研究、56万4,198人。20代のBMIの経過で、普通体重・やせが続く群・肥満が続く群に分類。肥満の期間が75〜100%の群で「早食い」と答えるオッズ比は男性2.40、女性1.47。やせが続く群では「遅い」と答えるオッズ比が男性2.45、女性1.89。食べる速さの答えは追跡中も約7割が同じ。著者は利益相反なしと開示 |
|---|---|
| 日本の2型糖尿病の約6万人(BMJ Open 2018) | 健康保険組合の請求データと健診データ(2008〜2013年)、2型糖尿病の日本人5万9,717人。速く食べる人に比べ、肥満(BMI25以上)のオッズ比は遅い人0.58、普通の人0.71。固定効果モデルで、食べる速さが遅くなるとBMIと腹囲が小さくなる傾向(BMIの係数は遅い−0.11、普通−0.07)。著者は利益相反なしと開示。九州大学 |
| 成人の研究のまとめ(Healthcare 2021) | 縦断研究6本と横断研究15本を検討し、8本でメタ解析。早食いではない人のBMIは早食いの人より有意に低く、腹囲とも関連。食べる速さの測り方を標準化する必要があると著者が指摘。著者は利益相反なしと開示 |
| 22の実験のまとめ(Am J Clin Nutr 2014) | 食べる速さを実験で変え、その食事の摂取量や空腹感を測った研究22本。ゆっくり食べた条件で摂取量が少ない(標準化平均差0.45)。操作の方法によらず同じ傾向だが、研究間のばらつきが大きい。食事の終わりや3.5時間後までの空腹感には有意な差なし。著者の1人は当時食品企業の研究所に所属 |
| 2週間ずつの比較試験(Am J Clin Nutr 2026) | オランダ、若い成人41人(平均27歳、BMI平均23.4)、単盲検のクロスオーバー試験。加工食品中心で、かたさにより速く食べる献立とゆっくり食べる献立を各14日、好きなだけ食べる。ゆっくりの献立で1日の摂取量が369kcal少なく(95%信頼区間221〜517)、差は14日間で一定。体脂肪は0.43kg減、体重は前後・献立間とも差なし。著者の一部が食品企業などから講演料・旅費を受領と開示。NCT06113146 |
| 加工の多い食事の比較試験(Diabetes Obes Metab 2024) | 東京大学医学部附属病院、太り気味・肥満の日本人男性9人、各1週間のクロスオーバー試験。加工の多い食事の期間に体重が1.1kg多く増え、1日の摂取量が813.5kcal多い。カロリーあたりの噛む回数は少ない(事前に決めた副次評価項目) |
| 噛む回数の試験(Nutr Diet 2019) | タイ、若い成人41人のクロスオーバー試験。一口50回噛んだときは15回のときより摂取量が少ない。食後の血糖値とインスリンには有意な差なし。太り気味の人は一口あたりの噛む回数が少なかった |
- Iizuka K. Self-Reported Eating Speed Is Dose-Dependently and Bidirectionally Associated with Long-Term Underweight- and Obesity-Related Weight-History Groups. Nutrients. 2026. PMID 42588035
- Hurst Y, Fukuda H. Effects of changes in eating speed on obesity in patients with diabetes: a secondary analysis of longitudinal health check-up data. BMJ Open. 2018. PMID 29440054
- Kolay E, et al. Self-Reported Eating Speed Is Associated with Indicators of Obesity in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. Healthcare (Basel). 2021. PMID 34828605
- Robinson E, et al. A systematic review and meta-analysis examining the effect of eating rate on energy intake and hunger. Am J Clin Nutr. 2014. PMID 24847856
- Forde CG, et al. Eating rate has sustained effects on energy intake from ultraprocessed diets: a 2-week ad libitum dietary randomized controlled crossover trial. Am J Clin Nutr. 2026. PMID 41314613
- Hamano S, et al. Ultra-processed foods cause weight gain and increased energy intake associated with reduced chewing frequency: A randomized, open-label, crossover study. Diabetes Obes Metab. 2024. PMID 39267249
- Borvornparadorn M, et al. Increased chewing reduces energy intake, but not postprandial glucose and insulin, in healthy weight and overweight young adults. Nutr Diet. 2019. PMID 29767425

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










