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ダンスは脳にいい? 社交ダンスなどの比較試験で分かったこと

社交ダンスやフォークダンスは、体だけでなく記憶や考える力にもよいと言われます。60歳以上を対象にした比較試験のまとめと、1年間続けた大きな試験を分けて、分かっていることを整理しました。

根拠 有望5分で読めます公開 2026.11.02更新 2026.11.02
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 60歳以上の13の比較試験のまとめでは、ダンスで認知機能のテストの点数が上がったが、差は小さかった
  • 5種類のダンスを比べたまとめでは、認知機能がはっきり上がったのは社交ダンスだけだった
  • オーストラリアで530人が1年間参加した試験では、判断の速さのテストにも転倒の回数にも差は出なかった
  • ダンスをする人は認知症になりにくいという報告は観察研究で、原因とまでは言えない

60歳以上の人を対象にした比較試験をまとめると、ダンスを続けた組は、記憶や判断などのテストの点数がわずかに上がっていました。ただし差は小さく、オーストラリアで1年間続けた大きな試験では、はっきりした差は出ていません。

ダンスをする人は、認知症になりにくい?

きっかけの一つは、2003年に米国で発表された追跡調査です。75歳を超える469人の余暇の過ごし方を調べ、中央値で5.1年追いました。その間に124人が認知症と診断されています。

読書やボードゲーム、楽器の演奏と並んで、ダンスをよくする人は認知症になる割合が低くなっていました。一方、ダンス以外も含めた体を動かす活動全体では、はっきりした関連はありませんでした。

これは観察研究(ふだんの暮らしを調べ、その後の健康と見比べる方法)です。もともと元気な人がダンスを続けやすい、という可能性を取り除けません。研究チームも、比較試験で確かめる必要があると書いています。

比較試験では、どのくらいの差が出た?

比較試験(くじ引きで組を分け、片方だけにダンスをしてもらって比べる方法)のまとめが、2024年に米国の研究チームから発表されました。対象は60歳以上で、健康な人か、物忘れが少し出始めた軽度認知障害の人です。13の試験、1,174人の分析で、平均年齢は70.7歳、3分の2が女性でした。

ダンスの組は、認知機能のテストの点数が上がっていました。ただし、統計の目安では「小さい」と分類される差です。気分の落ち込みを測る点数も、中程度に近い改善が報告されています。ダンスの種類や期間によって結果が変わるかも調べられましたが、はっきりした違いは見つかりませんでした。

2025年には、中国の研究チームが28の研究、1,967人を集め、5種類のダンスを比べました。認知機能の点数がはっきり上がったのは、社交ダンスだけでした。タンゴとフォークダンスでは、体のバランスがよくなっていました。

軽度認知障害の55歳以上に限った10の研究、984人のまとめもあります。全体の認知機能や記憶が改善し、3か月を超えて続けた研究ほど差が大きい傾向でした。

大きな試験では、どうだった?

オーストラリアのシドニーでは、高齢者向けの住宅23か所をくじ引きで2つに分けた試験が行われました。参加したのは530人で、平均年齢は78歳です。片方では、フォークダンスか社交ダンスの教室を週2回、1時間ずつ、12か月開きました。

主な目的だった転倒の回数と、判断の速さを測るテストのどちらにも、差は出ませんでした。教室への出席は平均で51%にとどまっています。研究チームは、運動としての要素をもっと加えたプログラムを試す必要があるとしています。

米国では、60〜79歳の健康な180人を、早歩きの組、社交ダンスの組、比較のための対照の組などに分けて6か月続けた試験があります。早歩きとダンスの組では、MRIで見た脳の白質(神経の通り道)の画像の値がよい方向に変わり、対照の組では下がっていました。ただし、記憶のテストとの関連が見られたのは早歩きの組だけでした。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
ダンスをする人は、認知症になりにくいか(米国469人の追跡調査)根拠 初期なる割合が低い関連。原因かは不明
認知機能のテストの点数(60歳以上・13の比較試験のまとめ)根拠 有望上がったが、差は小さい
気分の落ち込み(同じまとめ)根拠 有望中程度に近い改善
ダンスの種類による違い(28研究のまとめ)根拠 有望認知機能ではっきりした差は社交ダンスだけ
判断の速さ・転倒の回数(530人・12か月の比較試験)根拠 有望どちらも差なし
歩く力・持久力(22の比較試験のまとめ)根拠 有望改善。ほかの運動と同じくらい
まだ分かっていないことダンスで認知症になる人が減るかを確かめた比較試験はありません。比較試験のまとめに入った研究は、多くが数十人規模で期間も数か月と短く、使ったテストもまちまちです。踊る組かどうかを参加者に隠せないため、結果に偏りが入る余地もあります。社交ダンスだけに差が出たという結果も、種類ごとの研究数が少なく、確かめが必要です。1年間続けた大きな試験では差が出ず、出席率は51%でした。続けられるかどうかが結果を左右している可能性があります。日本人を対象にした大きな試験は見当たらず、研究の多くは女性が中心です。

体には、どんな変化がある?

地域で暮らす高齢者の22の比較試験をまとめた2023年の解析では、ダンスで歩く力や持久力がよくなっていました。ほかの運動と比べると、同じくらいの結果でした。ダンスを特別な方法と考えるより、楽しく続けやすい運動の一つとして見るのが実際的です。

では、どうすればよいか

ダンスで認知症を防げると言えるだけの根拠は、まだありません。それでも、認知機能のテストや気分、歩く力に小さな改善が報告されており、続けやすい運動の一つとして選ぶことはできそうです。膝や腰に不安がある人、転びやすい人は、始める前に医師に相談してください。

今日からできること
  • 地域の公民館やスポーツ教室で、社交ダンスやフォークダンスなど、続けられそうな教室を探してみる
  • ウォーキングなどほかの運動と組み合わせ、週2回ほどから無理なく始める
  • 膝や腰に痛みがある人、転びやすい人は、始める前に医師に相談する
  • 物忘れが気になるときは、運動を始めることとは別に、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
余暇の活動と認知症の追跡調査(N Engl J Med 2003)米国、75歳超・認知症なしの469人を中央値5.1年追跡し、124人が認知症を発症。読書・ボードゲーム・楽器・ダンスが発症の少なさと関連。頭を使う活動の点数は関連あり(ハザード比0.93)、体を動かす活動の点数全体は関連なし(1.00)。資金・利益相反は抄録に記載なし
健康な高齢者のダンスと認知機能・うつのまとめ(Med Sci Sports Exerc 2025)60歳以上・健康または軽度認知障害。17の比較試験を検討し、13試験・1,174人(平均70.7歳、女性66.3%)をメタ解析。認知機能 g=0.27(95%信頼区間0.05〜0.50)、うつ g=0.43(0.06〜0.80)。種類などの要因で効果の違いは説明できず。資金・利益相反は抄録に記載なし
5種類のダンスのネットワーク・メタ解析(Arch Gerontol Geriatr 2025)60歳以上の28研究・1,967人。認知機能が有意に改善したのは社交ダンスのみ(標準化平均差0.89)。バランスはタンゴ(1.62)とフォークダンス(1.43)、精神的な健康はスクエアダンスで改善。著者は利益相反なしと開示
軽度認知障害とダンスのまとめ(BMC Geriatr 2023)55歳以上の軽度認知障害、10研究・984人。全体の認知機能・記憶・実行機能・注意・言語・うつ症状が改善。処理速度・空間認知・生活の質ははっきりしない。3か月を超える介入で全体の認知機能の改善が大きい。利益相反なし
社交ダンスと転倒のクラスター比較試験(PLoS Med 2016)シドニーの高齢者向け住宅23か所・530人(平均78歳、女性85%)。週2回1時間のフォークダンスか社交ダンスを12か月。出席率51%。転倒率に差なし(発生率比1.19、95%信頼区間0.83〜1.71)、実行機能のテスト(TMT-B)も差なし。著者1人が評価に使った測定器具の開発者。登録: ACTRN12612000889853
早歩き・ダンスと脳の白質の比較試験(Neuroimage 2021)米国、60〜79歳の健康な180人。6か月の早歩き・社交ダンス・対照の組。早歩きとダンスで白質の画像指標がよい方向に変化、対照では低下。記憶の改善との関連は早歩きの組のみ。利益相反なし。登録: NCT01472744
地域の高齢者のダンスと体の機能のまとめ(Arts Health 2023)2007〜2020年の22の比較試験(うち19をメタ解析)。何もしない組と比べて歩く力と持久力が改善、ほかの運動とは同等。資金・利益相反は抄録に記載なし
出典
  1. Verghese J, et al. Leisure activities and the risk of dementia in the elderly. N Engl J Med. 2003. PMID 12815136
  2. Jaldin MA, et al. Systematic Review and Meta-Analysis of the Effects of Dance on Cognition and Depression in Healthy Older Adults. Med Sci Sports Exerc. 2025. PMID 39480190
  3. Zhang H, et al. Effects of dance interventions on cognitive function, balance, mobility, and life quality in older adults: A systematic review and Bayesian network meta-analysis. Arch Gerontol Geriatr. 2025. PMID 39923448
  4. Huang CS, et al. Effects of dance therapy on cognitive and mental health in adults aged 55 years and older with mild cognitive impairment: a systematic review and meta-analysis. BMC Geriatr. 2023. PMID 37880590
  5. Merom D, et al. Social Dancing and Incidence of Falls in Older Adults: A Cluster Randomised Controlled Trial. PLoS Med. 2016. PMID 27575534
  6. Mendez Colmenares A, et al. White matter plasticity in healthy older adults: The effects of aerobic exercise. Neuroimage. 2021. PMID 34174392
  7. Clifford AM, et al. The effect of dance on physical health and cognition in community dwelling older adults: A systematic review and meta-analysis. Arts Health. 2023. PMID 35969880
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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