
コーヒーや緑茶で認知症は防げる? 1日何杯までか、追跡研究のまとめ
結論は、コーヒーや緑茶をよく飲む人ほど認知症が少ない傾向はあるものの、飲めば防げるとはまだ言えない、ということです。米国の13万人を最長43年追った研究や日本の研究では、コーヒーは1日2〜3杯の人で関連が最もはっきりしていました。飲んで試した比較試験では、主な問いで差は出ていません。
- 米国の13万1,821人を最長43年追った研究で、カフェイン入りのコーヒーを最も多く飲む組は、認知症になる危険が18%低かった。カフェインを抜いたコーヒーでは関連がなかった
- 研究のまとめでは、お茶は飲むほど危険が低い形、コーヒーは1日2〜3杯で最も低く、3杯を超えると上がる可能性も示された
- 新潟県の1万3,660人の研究では、緑茶を多く飲む組で危険が25%低かったが、緑茶とコーヒーの両方を多く飲む人では関連がなかった
- 抹茶を1年間とる99人の比較試験では、主な問いだった認知機能のテストに差がなかった
- どれも観察研究が中心で、飲めば防げると確かめた研究はまだない
コーヒーや緑茶をよく飲む人は、認知症になる割合がやや低いという関連が、各国の追跡研究で報告されています。ただし、これは観察研究の結果で、飲めば防げると確かめた比較試験はまだありません。
コーヒーをよく飲む人は、認知症になりにくい?
2026年に、米国の看護師と医療職の男性、合わせて13万1,821人を最長43年追った研究が発表されました。飲み物の量は、2〜4年ごとの食事の質問票で調べています。追跡の間に、1万1,033人が認知症と診断されました。
カフェイン入りのコーヒーを最も多く飲む組では、最も少ない組に比べて、認知症になる危険が18%低くなっていました。1年に10万人あたりで見ると、141人と330人の違いです。物忘れを自分で感じる人の割合も、7.8%と9.5%で、多く飲む組のほうが低い結果でした。
一方、カフェインを抜いたコーヒーでは、こうした関連は見られませんでした。関連が最もはっきりしたのは、カフェイン入りのコーヒーで1日2〜3杯、お茶で1日1〜2杯の人たちです。女性の参加者では電話で認知機能のテストも行っており、多く飲む組の点数がわずかに高い結果でしたが、差はごく小さなものでした。
研究をまとめると、どうなる?
研究をまとめた解析では、結果が少し分かれています。2024年のまとめは、38の追跡研究、約75万人分です。お茶を最も多く飲む組では、認知症の危険が16%低くなっていました。コーヒーでは5%低い傾向でしたが、偶然の差と区別できませんでした。研究チームは、どちらの結果も確かさは低いと評価しています。アルツハイマー病に限ると、カフェインを多くとる組で危険が高いという結果もありましたが、2つの研究だけに基づくもので、確かさは非常に低いとされました。
2026年のまとめ(10研究、45万人以上、平均11.5年の追跡)では、お茶は飲む量が増えるほど危険が下がる形でした。コーヒーはU字の形で、1日2〜3杯(約300〜450mL)で最も低くなりました。1日3杯を超えると、かえって危険が上がる可能性も示されています。
日本の研究では、どうだった?
新潟県村上市の40〜74歳、1万3,660人を12年追った研究があります。認知症の発症は、介護保険の記録で調べました。緑茶を最も多く飲む組は、最も少ない組に比べて、認知症になる危険が25%低くなっていました。1杯(150mL)増えるごとに、約5%低い計算です。
ただし、緑茶とコーヒーの両方を多く飲む人では、危険が低いという関連は見られませんでした。研究チームは、両方を大量に飲むことは勧められないと書いています。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| カフェイン入りのコーヒーを多く飲む人は、認知症になりにくいか(米国13万人の追跡研究) | 根拠 初期 | 最も多い組で危険が18%低い。カフェインを抜いたコーヒーでは関連なし |
| お茶を多く飲む人は、認知症になりにくいか(38研究のまとめ) | 根拠 初期 | 最も多い組で16%低い。確かさは低い |
| コーヒーを多く飲む人は、認知症になりにくいか(同じまとめ) | 根拠 初期 | 5%低い傾向だが、偶然の差と区別できない |
| コーヒーの量との関係(10研究のまとめ) | 根拠 初期 | 1日2〜3杯で最も低く、3杯を超えると上がる可能性 |
| 緑茶を多く飲む人は、認知症になりにくいか(新潟県の1万3,660人) | 根拠 初期 | 最も多い組で25%低い。緑茶とコーヒーの両方が多い人では関連なし |
| 抹茶を1年間とると、認知機能のテストは変わるか(99人の比較試験) | 根拠 初期 | 主な問いでは差なし。小規模で、企業の社員が著者に含まれる |
飲んで試した比較試験はある?
原因と言えるかを確かめるには、比較試験(くじ引きで組を分けて比べる試験)が必要です。日本で、物忘れを自覚している人や軽度認知障害(認知症の手前の段階)の人、99人が参加した試験があります。抹茶の粉2gと、見た目が同じ偽の粉を、それぞれ毎日1年間とりました。
試験の主な問いだった認知機能のテストと、日常の動作の点数には、差がありませんでした。表情から気持ちを読み取るテストでは抹茶の組がよく、睡眠の質はよくなる傾向でしたが、どちらも主な問いではありません。著者には緑茶飲料の会社の社員が含まれています。
では、どう飲めばよいか
コーヒーや緑茶を飲む習慣は、認知症のなりにくさと関連していますが、飲めば防げるとまでは言えません。いま飲んでいる人は、1日2〜3杯程度を目安に続けてよいと考えられます。飲まない人が、認知症を心配して新しく飲み始める根拠は、まだありません。
- コーヒーや緑茶を飲む習慣がある人は、1日2〜3杯程度を目安にして、量を増やしすぎない
- カフェインは眠りに影響するので、夕方以降は控えめにするか、カフェインを抜いたものにする
- 飲まない人が、認知症の心配から無理に飲み始める必要はない
- 妊娠中・授乳中の人や、心臓の病気・不眠などで医師にかかっている人は、カフェインの量を医師に相談する
- 物忘れが気になるときは、飲み物で様子を見ずに、かかりつけ医や物忘れ外来で相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 米国の看護師・医療職男性の追跡研究(JAMA 2026) | NHS(女性8万6,606人)とHPFS(男性4万5,215人)、計13万1,821人。開始時の平均年齢46.2歳・53.8歳。最長43年(中央値36.8年)追跡、認知症1万1,033人。カフェイン入りコーヒーの最多と最少の4分の1を比べたハザード比0.82(95%信頼区間0.76〜0.89)、10万人年あたり141人と330人。主観的な認知機能の低下7.8%と9.5%。カフェインを抜いたコーヒーは関連なし。関連が最も強いのはコーヒー1日2〜3杯、お茶1日1〜2杯。資金は抄録に記載なし。著者1人が研究支援を受けたと申告 |
|---|---|
| お茶・コーヒー・カフェインと認知症のまとめ(Food Funct 2024) | 追跡研究38件、75万1,824人、認知症1万3,017人。最多と最少の比較で、お茶0.84(0.74〜0.96)、コーヒー0.95(0.87〜1.02)、カフェイン0.94(0.70〜1.25)。GRADEの確かさはいずれも低い。コーヒーは1日1〜3杯で関連があるU字に近い形、お茶は1杯ごとに0.96。アルツハイマー病ではカフェインで1.34(2研究、確かさは非常に低い) |
| お茶・コーヒーと認知症の量反応のまとめ(J Epidemiol Popul Health 2026) | 追跡研究など10件、開始時45万人以上、平均11.5年。お茶は量に比例して危険が低下(緑茶だけでも同様)。コーヒーはU字で1日2〜3杯(約300〜450mL)で最も低く、3杯以上で認知症全体とアルツハイマー型認知症の危険が上がる可能性。利益相反なし |
| 村上コホート研究(J Nutr Health Aging 2025) | 新潟県村上市の40〜74歳、1万3,660人(平均59.0歳)。2011〜2013年に質問票、12年追跡、認知症は介護保険の記録で把握。緑茶の最多の4分の1は最少に比べ調整ハザード比0.75。1杯(150mL)ごとに0.952(0.92〜0.99)。緑茶とコーヒーの両方が多い人では低下なし(交互作用p=0.0210)。利益相反なし |
| 抹茶の比較試験(PLoS One 2024) | 日本、主観的な認知機能の低下64人と軽度認知障害35人の計99人。抹茶2g(49人)と偽の粉(50人)を毎日12か月、二重盲検。主要評価項目(MoCA、ADCS-ADL)は差なし。表情認知のテストで改善(p=0.028)、睡眠の質は改善傾向(p=0.088)。外部資金なし。著者に緑茶飲料の会社と検査関連の会社の社員を含む |
- Zhang Y, et al. Coffee and Tea Intake, Dementia Risk, and Cognitive Function. JAMA. 2026. PMID 41661604
- Li F, et al. Tea, coffee, and caffeine intake and risk of dementia and Alzheimer's disease: a systematic review and meta-analysis of cohort studies. Food Funct. 2024. PMID 39054894
- Mazzoleni E, et al. Coffee and tea consumption and risk of dementia: a dose-response meta-analysis of cohort and cohort-nested case-control studies. J Epidemiol Popul Health. 2026. PMID 41687346
- Kaise R, et al. Green tea consumption and dementia risk in community-dwelling Japanese people aged 40-74 years: A 12-year cohort study. J Nutr Health Aging. 2025. PMID 40561856
- Uchida K, et al. Effect of matcha green tea on cognitive functions and sleep quality in older adults with cognitive decline: A randomized controlled study over 12 months. PLoS One. 2024. PMID 39213264

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










