ゆで卵とアボカド、ほうれん草をのせたトーストの皿
写真はイメージです

トップ / サプリ・成分

サプリ・成分

カルシウムのサプリで骨折は防げる? 心臓や結石への影響も含めた比較試験のまとめ

結論は、骨折の危険が特に高くない大人では、カルシウムのサプリで骨折が減る幅は小さく、ほとんど差がないと報告されています。心臓や脳卒中が増えるという心配は比較試験のまとめでは確認されていませんが、腎臓の結石がやや増えたという大規模試験があります。

根拠 確立4分で読めます公開 2026.11.05更新 2026.11.05
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 69の比較試験・約15万4,000人のまとめ(2026年)では、カルシウムのサプリで骨折はほとんど減らなかった
  • カルシウムとビタミンDを一緒にとると骨折はわずかに少なかったが、著者は意味のある差とはいえないとしている
  • 心筋梗塞や脳卒中が増えるという心配は、2023年の2本の比較試験のまとめでは確認されなかった
  • 米国の大規模試験では、腎臓の結石ができる割合が1.17倍になった
  • 国の推奨量は30〜74歳の男性で1日750mg、女性で650mg。上限は2,500mg

結論から書くと、カルシウムのサプリで骨折が減る幅は小さく、ほとんど差がないとする研究のまとめが2026年に発表されています。心臓や脳卒中の危険が増えるという心配は、比較試験のまとめでは確認されていませんが、腎臓の結石がやや増えたという大規模試験があります。

ここで紹介するのは、主に比較試験(くじ引きで組に分け、片方にだけサプリを飲んでもらって比べる方法)と、それを集めた解析です。

カルシウムのサプリを飲むと、骨折は減る?

2026年に英国医師会雑誌(BMJ)に載った解析は、カルシウム、ビタミンD、またはその両方をサプリでとる比較試験69本、約15万4,000人をまとめたものです。骨粗しょう症の薬を使っていない大人が対象で、多くは自宅で暮らし、骨折や転倒の危険が特に高いわけではない人でした。

カルシウムだけをとった11試験(9,067人)では、何らかの骨折が起きる割合は、とらない組の0.91倍でした。ただし誤差の幅は0.81〜1.01倍で、差がない可能性も含みます。カルシウムとビタミンDを一緒にとった15試験(5万1,126人)では0.91倍(0.84〜0.99倍)と、わずかに少ない結果でした。著者は、実際に減る人数で見ると意味のある差とはいえず、股関節の骨折や転倒にもほとんど影響がなかったとまとめています。参加した人をさまざまな条件で分けて調べても、結果は大きく変わらなかったとされています。

米国の閉経後の女性3万6,282人が参加した大規模試験(WHI)では、カルシウム1,000mgとビタミンD 400単位を毎日、平均7年続けてもらいました。股関節の骨密度は飲んだ組で1.06%高くなりましたが、股関節の骨折ははっきりとは減りませんでした。途中で飲むのをやめた人を除いて計算し直すと、股関節の骨折は0.71倍と少なくなりましたが、これは試験の後から加えた解析で、確かな結論とはいえません。

サプリで心臓や脳卒中の危険は増える?

以前、カルシウムのサプリで心筋梗塞が増えるのではないかという研究があり、心配が広がりました。その後、偽の薬と比べた比較試験だけを集めた解析が2023年に2本発表されています。

英国オックスフォード大学などの解析は11試験をまとめました。1日平均1gのカルシウムだけをとった組(8,634人)でも、ビタミンDと一緒にとった組(4万6,804人)でも、心筋梗塞や脳卒中、死亡の割合ははっきりとは増えていませんでした。シンガポールの研究チームによる12試験のまとめでも、心筋梗塞や脳卒中、心不全による入院、死亡との関連は見られませんでした。

ほかに気をつけることは?

先のWHIの試験では、腎臓の結石ができる割合が、飲んだ組で1.17倍になっていました。結石ができたことのある方は、サプリを始める前に医師に相談したほうがよいでしょう。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、カルシウムの推奨量を30〜74歳の男性で1日750mg、女性で650mgとしています。1日2,500mgの上限量も決められており、ふだんの食事だけで超えることはまれですが、サプリを使う場合に注意すべき値とされています。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
カルシウムだけで骨折は減るか(11試験・9,067人のまとめ)根拠 確立0.91倍(0.81〜1.01倍)。ほとんど差なし
カルシウムとビタミンDを一緒にとる(15試験・5万1,126人のまとめ)根拠 確立0.91倍(0.84〜0.99倍)。著者は意味のある差ではないと判断
股関節の骨折・転倒(同じまとめ)根拠 確立ほとんど影響なし
心筋梗塞・脳卒中・死亡(11試験のまとめ)根拠 確立はっきりした増加なし
心筋梗塞・脳卒中・心不全・死亡(12試験のまとめ)根拠 確立関連なし
腎臓の結石(閉経後の女性3万6,282人の比較試験)根拠 有望1.17倍に増えた
股関節の骨密度(同じ試験)根拠 有望1.06%高い
まだ分かっていないこと骨折の危険が高い人や、施設で暮らす高齢者については、カルシウムだけをとった試験やビタミンDと一緒にとった試験が少なく、はっきりした結論は出ていません。2026年のまとめは骨粗しょう症の薬を使っている人を対象から外しているため、薬と一緒にとる場合には当てはまりません。心臓への影響を調べた2023年の2本のまとめは、もともと心臓の病気を調べるために計画された試験ではないものを多く含み、資金や利益相反は抄録に書かれていません。WHIの試験は女性だけが対象で、途中で飲むのをやめた人も多く、男性やアジアの人にそのまま当てはまるかは分かっていません。食事からとるカルシウムとサプリでとるカルシウムで、体への影響が違うのかもはっきりしていません。

では、どうすればよいか

骨折を防ぐ目的で、骨折の危険が高くない方が毎日カルシウムのサプリを飲むことは、研究からは勧めにくいとされています。まずは乳製品や大豆製品、小魚、青菜など、ふだんの食事から推奨量に近づけることが基本です。骨粗しょう症の治療中で、医師からカルシウムやビタミンDをとるよう言われている方は、自己判断でやめずに医師に相談してください。

今日からできること
  • 乳製品や大豆製品、小魚、青菜など、ふだんの食事から推奨量(30〜74歳の男性750mg、女性650mg)に近づける
  • サプリを使う場合は、食事と合わせて1日2,500mgの上限を超えないようにする
  • 腎臓の結石ができたことのある方、腎臓の持病がある方は、サプリを始める前に医師に相談する
  • 骨粗しょう症の治療中で医師からカルシウムやビタミンDを勧められている方は、自己判断でやめずに医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
カルシウム・ビタミンDと骨折のまとめ(BMJ 2026)比較試験69本・15万3,902人。骨粗しょう症の薬を使っていない18歳以上が対象で、87%が自宅で暮らし、73%が骨折や転倒の危険が高くない人。何らかの骨折: カルシウム単独11試験・9,067人でリスク比0.91(95%信頼区間0.81〜1.01、確からしさ中)、ビタミンD単独36試験・9万2,045人で1.00(0.95〜1.06、確からしさ高)、併用15試験・5万1,126人で0.91(0.84〜0.99、確からしさ高)。股関節・脊椎などの骨折や転倒にもほとんど影響なし。企業からの資金なし。掲載料は著者の所属病院の薬剤部が負担。一部の著者は骨粗しょう症などの教育活動で企業以外の団体から謝礼を受けたと開示
カルシウムのサプリと心臓・脳卒中のまとめ(Curr Dev Nutr 2023)偽の薬などと比べた比較試験11本。カルシウム単独(7比較・8,634人、1日平均1g): 心筋梗塞のリスク比1.15(0.88〜1.51)、脳卒中1.15(0.90〜1.46)、いずれも有意差なし。ビタミンD併用(6比較・4万6,804人): 心筋梗塞1.09(0.95〜1.25)、脳卒中1.02(0.89〜1.17)。死亡とも関連なし。年0.3〜0.5%を超える危険の増加は否定できたとしている。英国オックスフォード大学など。資金・利益相反は抄録に記載なし
カルシウムのサプリと心臓・脳卒中のまとめ(Heart Lung Circ 2023)2021年8月までの比較試験12本。心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院、心臓・血管の病気による死亡、全死亡のいずれとも関連なし。ビタミンD併用の有無、女性、追跡期間、地域で分けても結果は同じ。シンガポール国立大学。資金・利益相反は抄録に記載なし
WHIのカルシウム・ビタミンD試験(N Engl J Med 2006)米国の閉経後の女性3万6,282人(50〜79歳)。炭酸カルシウム1,000mgとビタミンD3 400単位を毎日、または偽の薬。平均7.0年追跡。股関節の骨密度は1.06%高い。股関節骨折のハザード比0.88(0.72〜1.08)、全骨折0.96(0.91〜1.02)で有意差なし。腎臓の結石は1.17(1.02〜1.34)。飲み続けた人に限ると股関節骨折は0.71(0.52〜0.97)だが、事後の解析
日本人の食事摂取基準(2025年版・厚生労働省)カルシウムの推奨量(1日): 男性30〜74歳750mg、女性18〜74歳650mg、75歳以上は男性750mg・女性600mg。耐容上限量は18歳以上で2,500mg。上限量は摂取の目標ではなく、ふだんの食品で超えることはまれだが、サプリなどを使う場合に注意すべき値。フレイル予防のための量は、根拠が足りず設定を見送り
出典
  1. Massé O, et al. Calcium, vitamin D, or combined supplementation to prevent fractures and falls: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2026. PMID 42161415
  2. Huo X, et al. Calcium Supplements and Risk of CVD: A Meta-Analysis of Randomized Trials. Curr Dev Nutr. 2023. PMID 37181938
  3. Sim MG, et al. Association Between Calcium Supplementation and the Risk of Cardiovascular Disease and Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis. Heart Lung Circ. 2023. PMID 37743221
  4. Jackson RD, et al. Calcium plus vitamin D supplementation and the risk of fractures. N Engl J Med. 2006. PMID 16481635
  5. 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント. 2025. リンク
無料動画セミナーのサムネイル
動画 約15分
特集・無料動画セミナー若返り研究の最前線にある「幹細胞」。いま、どこまで来ている?

15分の無料動画で、幹細胞の仕組みと最新の研究、受けられる場所や費用の考え方までお伝えします。

この記事は役に立ちましたか?

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。

次に読む

ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

よく読まれている記事

  1. シューマッハ氏の近況報道と、幹細胞治療について分かっていること
  2. マレーシアで受ける幹細胞点滴のご案内
  3. 半月板の再生医療「セイビスカス注」承認、誰がいつ受けられる?
  4. Muse細胞はいまどうなっている?開発中止の背景と研究の現在地
  5. 自分の脂肪から採る幹細胞、利点と限界は?自家と他家の比べ方
健康長寿のニュースを、メールで

世界の研究と話題から、編集部が選んだ記事をお届けします。