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お酒は少しなら体にいい? 「適量」の研究と国の飲酒ガイドライン

結論は、少量のお酒が体によいとは言えない、というのが最近の研究の流れです。少し飲む人が長生きに見えた理由と、比べ方を正したまとめ、日本人に近い東アジアの研究、2024年の国のガイドラインを整理しました。

根拠 初期5分で読めます公開 2026.11.05更新 2026.11.05
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 107の追跡研究・約484万人のまとめでは、1日約24gまでの飲酒で、一度も飲まない人と比べて亡くなる割合に差はなかった
  • 少量の飲酒が体によいように見えたのは、お酒をやめた病気の人が「飲まない人」に混ざるなど、比べ方の偏りの影響と考えられている
  • 遺伝子を使った英国と中国の研究では、高血圧や脳卒中は、飲む量が増えるほどリスクが上がっていた
  • 厚生労働省のガイドライン(2024年)は、お酒の量を純アルコール(g)で把握し、少ないほどリスクが小さいとしている

結論から言うと、少量のお酒が体によいとは言えない、というのが最近の研究の流れです。少量でも長生きの人が多いように見えた昔の研究には、比べ方の偏りがあったと考えられるようになりました。

「少し飲む人のほうが長生き」と言われてきたのはなぜ?

これまで多くの観察研究(暮らしぶりを聞き取り、その後の健康を追う研究)で、少し飲む人は、まったく飲まない人より亡くなる割合が低いと報告されてきました。グラフにするとJの字の形になることから、「Jカーブ」と呼ばれています。

ただし、「飲まない人」の組には、体をこわしてお酒をやめた人が混ざることがあります。また、少し飲む人は、もともと運動や食事に気を配り、暮らしにも余裕がある傾向があります。こうした違いが、お酒そのものの働きのように見えていた可能性が指摘されています。

比べ方を正すと、結果はどう変わった?

2023年に、1980〜2021年に発表された107の追跡研究、約484万人分をまとめた解析が出ました。比べる相手を「一度も飲んだことのない人」にそろえ、研究の質の違いを調整しています。

その結果、たまに飲む人も、1日に純アルコール約24gまで飲む人も、一度も飲まない人と比べて、亡くなる割合に統計的な差はありませんでした。1日45〜64gでは約1.19倍、65g以上では約1.35倍と、量が増えるとはっきり高くなっていました。女性では、男性より少ない量からリスクが上がる傾向が見られています。

同じ研究チームは2024年に、同じ107の研究を研究の設計で分けて比べています。参加者が若いうちから追い、お酒をやめた人を「飲まない人」から外した研究では、少量の飲酒による違いはほぼありませんでした(0.98倍)。その条件を満たさない研究だけが、少量の飲酒で約16%低いリスクを示していました。

心臓や脳の血管には、少しのお酒がいいのでは?

心臓の病気については、今も結論が分かれています。2024年のまとめでは、追跡研究などでは少量から中くらいの飲酒で心筋梗塞などが少ない関連が見られました。一方、遺伝子の違いを使った研究を合わせると、関連はありませんでした。

この遺伝子を使う方法はメンデルのランダム化と呼ばれます。生まれつきお酒に強いか弱いかの遺伝子は、くじ引きのように決まるため、暮らしぶりの違いの影響を受けにくいと考えられています。

英国の約37万人を調べた2022年の研究では、少量から中くらい飲む人は、運動や食事などの生活習慣がよい傾向がありました。それを調整すると、少量の飲酒と心臓の病気が少ない関連は弱まりました。遺伝子を使った分析では、飲む量が多いと予測される人ほど、高血圧は約1.3倍、心臓の血管の病気は約1.4倍起きやすくなっていました。少量でのリスクの上がり方はわずかで、量が増えると急に大きくなっていました。

日本人と同じ東アジアの人では、どうだった?

東アジアには、お酒を分解する酵素が生まれつき弱い人が多くいます。中国の約51万人を約10年追った研究は、この体質の遺伝子を使って調べました。

本人の申告による飲酒量で見ると、週に約100g(1日1〜2杯)飲む男性は、飲まない人や多く飲む人より、脳卒中や心筋梗塞が少ないように見えました。ところが遺伝子から予測した飲酒量で見ると、このJの字は消えました。脳卒中は飲む量が増えるほどまっすぐ増え、脳出血では週280gあたり約1.58倍、脳梗塞では約1.27倍でした。心筋梗塞には、はっきりした関連はありませんでした。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
少量の飲酒で亡くなる割合は低くなるか(107研究のまとめ、一度も飲まない人と比較)根拠 初期1日約24gまでは差なし。45g以上で高くなる
研究の設計で分けると(同じ107研究)根拠 初期偏りの少ない研究では差なし(0.98倍)
少量の飲酒と心臓の血管の病気(追跡研究と遺伝子の研究のまとめ)根拠 初期追跡研究では少ない関連、遺伝子の研究では関連なし。結論は分かれる
飲酒量と高血圧・心臓の病気(英国37万人、遺伝子を使った分析)根拠 初期量が多いほど高くなる。少量では上がり方がわずか
飲酒量と脳卒中(中国51万人、遺伝子を使った分析)根拠 初期量が増えるほど高くなる。心筋梗塞とははっきりした関連なし
少量の飲酒が健康によいかを、くじ引きで組を分けて確かめた長期の比較試験—調べた範囲では見つからなかった

国のガイドラインは、どれくらいを目安にしている?

厚生労働省は2024年2月に「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。お酒の量を、含まれる純アルコール量(g)で考えることを勧めています。計算は「飲む量(ml)×度数÷100×0.8」で、ビール500ml(5%)なら20gです。

ガイドラインでは、高血圧や男性の食道がん、女性の脳出血などは、少量でも飲酒そのものがリスクを上げるとする研究があると紹介しています。国の健康づくりの計画では、1日の純アルコールが男性40g以上、女性20g以上を「生活習慣病のリスクを高める量」としています。ただし、これは「ここまでなら飲んでよい量」を示したものではないと明記されています。

高齢になると、同じ量でも酔いやすくなります。量が増えると、認知症や転倒・骨折、筋肉の減少の危険が高まることも挙げられています。

まだ分かっていないことここで紹介した研究は、どれも観察研究か遺伝子を使った分析で、くじ引きで飲む組と飲まない組を分けて長く追った比較試験ではありません。遺伝子を使う方法にも、遺伝子がお酒以外の道を通って健康に関わっていれば結果がずれる、という限界があります。心臓の病気については、方法によって結果が分かれたままです。107研究のまとめは、アルコールの健康への害を研究してきたチームによるもので、著者の一部は北欧やカナダの政府系の酒類販売機関や、飲酒を減らす活動をする団体からの資金・支援を開示しています。研究の多くは欧米のもので、日本人にそのまま当てはまるかは分かっていません。

では、どう付き合えばよいか

健康のためにお酒を飲み始める理由は、今の研究からは見当たりません。飲む場合は、量を純アルコールで把握し、少ないほどリスクも小さいと考えるのが、ガイドラインに沿った付き合い方です。持病がある方や薬を飲んでいる方は、かかりつけの医師に相談してください。

今日からできること
  • よく飲むお酒の純アルコール量を「飲む量(ml)×度数÷100×0.8」で一度計算しておく
  • 飲む前に、その日に飲む量を決めておく
  • 食事と一緒に飲み、合間に水や炭酸水を飲む
  • 1週間のうち、飲まない日をつくる
  • 持病がある方、薬を飲んでいる方、少量で顔が赤くなる方は、飲み方を医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
飲酒量と全死亡のまとめ(JAMA Netw Open 2023)1980〜2021年の追跡研究107本、483万8,825人・死亡42万5,564人。一度も飲まない人と比べ、たまに飲む(1日1.3g未満)相対リスク0.96、少量(1.3〜24g)0.93(P=.07)で有意差なし。25〜44gで1.05(有意差なし)、45〜64gで1.19、65g以上で1.35。女性の飲酒者で1.22。利益相反: 著者の1人がフィンランドの酒類販売機関などから個人報酬、1人がカナダ物質使用・依存症センターから研究費
研究の設計による偏りの検討(J Stud Alcohol Drugs 2024)同じ107研究・724の推定値。参加者の平均年齢が55歳以下で始まり55歳以降まで追い、やめた人とたまに飲む人を比較の組から除いた研究では、少量(週1杯〜1日2杯)の相対リスク0.98。それ以外の研究では0.84。非喫煙者の集団では1.16(有意差なし)。利益相反: 著者の一部が北欧・カナダの政府系酒類販売機関からの研究費、飲酒を減らす活動をするNGOからの旅費支援を開示
飲酒と虚血性心疾患のまとめ(Nat Commun 2024)追跡研究・症例対照研究・メンデルのランダム化研究を再評価。追跡研究などでは少量〜中等量の飲酒で虚血性心疾患・心筋梗塞が少ない関連。メンデルのランダム化研究をまとめると関連なし。資金: ビル&メリンダ・ゲイツ財団
英国バイオバンクの飲酒と心血管病(JAMA Netw Open 2022)37万1,463人、平均57歳、平均週9.2杯。少量〜中等量の飲酒者は生活習慣がよく、調整すると少量飲酒の見かけの利点は弱まった。遺伝的に予測した飲酒量が1標準偏差多いと、高血圧1.3倍、冠動脈疾患1.4倍。非線形の分析では、少量で上昇はわずか、多いと急に上昇。著者の一部に製薬企業などとの関係を開示
中国カドゥーリー・バイオバンク(Lancet 2019)51万2,715人を約10年追跡。16万1,498人でお酒の分解に関わる遺伝子(ALDH2・ADH1B)を測定。男性の33%が週に飲酒、女性は2%。申告の飲酒量では週約100gで脳卒中・心筋梗塞が少ないU字の関連。遺伝子から予測した飲酒量ではU字は見られず、週280gあたり脳出血1.58倍、脳梗塞1.27倍、心筋梗塞0.96倍(有意差なし)。資金: 中国科学技術部、カドゥーリー慈善基金、英国心臓財団、英国医学研究会議、ウェルカム・トラスト、グラクソ・スミスクラインなど
世界の疾病負担研究の飲酒(Lancet 2022)204の国と地域、15〜95歳以上、22の健康への影響を合わせて推計。15〜39歳では、健康へのリスクが最も小さい量は1日0〜0.6杯(標準的な1杯)。40歳以上ではJの字の形で、その量は地域により1日0.1〜1.9杯と幅があった。資金: ビル&メリンダ・ゲイツ財団
健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚生労働省 2024年2月)純アルコール量(g)での把握を推奨。高血圧、男性の食道がん、女性の脳出血などは少量でもリスクが上がるとする研究を紹介。健康日本21(第三次)は1日男性40g以上・女性20g以上を生活習慣病のリスクを高める量とし、個々人の許容量ではないと明記。高齢者の認知症・転倒・筋肉の減少の危険にも言及
出典
  1. Zhao J, et al. Association Between Daily Alcohol Intake and Risk of All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-analyses. JAMA Netw Open. 2023. PMID 37000449
  2. Stockwell T, et al. Why Do Only Some Cohort Studies Find Health Benefits From Low-Volume Alcohol Use? A Systematic Review and Meta-Analysis of Study Characteristics That May Bias Mortality Risk Estimates. J Stud Alcohol Drugs. 2024. PMID 38289182
  3. Carr S, et al. A burden of proof study on alcohol consumption and ischemic heart disease. Nat Commun. 2024. PMID 38744810
  4. Biddinger KJ, et al. Association of Habitual Alcohol Intake With Risk of Cardiovascular Disease. JAMA Netw Open. 2022. PMID 35333364
  5. Millwood IY, et al. Conventional and genetic evidence on alcohol and vascular disease aetiology: a prospective study of 500 000 men and women in China. Lancet. 2019. PMID 30955975
  6. GBD 2020 Alcohol Collaborators. Population-level risks of alcohol consumption by amount, geography, age, sex, and year: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2020. Lancet. 2022. PMID 35843246
  7. 厚生労働省. 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン. 2024. リンク
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ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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