こんにちは、ReverseAging.Techを運営するMARUICHI PTE LTD の薬剤師、安藤です。
「若返り」や「健康維持」の新たな選択肢として注目されている幹細胞点滴。
たくさんのお客様からお問い合わせをいただきますが、その中でも多くの方が口にされるのが「他人の細胞(他家細胞)を入れても本当に大丈夫なのか?」という安全性への不安です。
ご自身の体に入れるものですから、慎重になるのは当然のことです。
そこで今回は、他家由来の間葉系幹細胞がなぜ安全だと言えるのか、その根拠を「免疫」「がん化リスク」「細胞の質」という3つのポイントに絞って解説します。
なぜ他人の細胞でも拒絶反応が起きないのか?生体との「高い適合性」を支える科学的根拠

他家由来幹細胞点滴において、多くの方が懸念される「拒絶反応」。通常、輸血や臓器移植ではドナーと受ける方の型(HLA)を厳密に照合する必要がありますが、間葉系幹細胞(MSC)は、「生体親和性」が極めて高いことが医学的に解明されています。
1. 免疫応答を誘発しない「ニュートラル」な細胞特性
人間の免疫システムは、細胞表面にある「HLAクラスII」というマーカーを検知して攻撃の可否を判断します。
しかし、間葉系幹細胞はこのマーカーをほとんど発現していません。
そのため、体内の免疫系を刺激することなく、生体内で「ニュートラル(中立)」な状態で存在できるという特性があります。刺激を与えないからこそ、防御反応も起こさないという合理的な仕組みです。
2. 生体環境を最適化する「自律的な調整機能」
間葉系幹細胞は、体内のダメージや炎症を検知すると、それに応答して免疫バランスを整える物質(PGE2やIL-10など)を分泌します。
これを「免疫調節能」と呼びます。
単に異物として排除されないだけでなく、過剰な免疫反応を鎮め、生体内環境を本来の健康な状態へと最適化する働きを自律的に行います。
がん化リスクを正しく理解する:iPS/ES細胞と「間葉系幹細胞」の決定的な違い

幹細胞治療を検討し、入念に情報収集された方たちが、懸念するのが「細胞が体内でがん化(無秩序に増殖)しないか」という点です。
特にiPS細胞やES細胞に関するニュースでこのリスクを耳にすることが多いため、不安に感じるのは自然なことです。
しかし、医学的にはiPS/ES細胞と、私たちが扱う間葉系幹細胞とでは、がん化のリスクにおいて明確な違いがあります。
1. 「多能性」(何にでもなれること)の表裏一体のリスク
iPS細胞やES細胞は、理論上「体のあらゆる細胞」になれる能力(多能性)を持っています。この非常に高い増殖力と変化の力は画期的ですが、一方で制御が極めて難しく、意図しない増殖(腫瘍形成)を引き起こす可能性が常に課題とされています。
2. 間葉系幹細胞は「役割が決まっている」
一方、間葉系幹細胞は、分化できる先が「骨・軟骨・脂肪・筋肉」など特定の組織に限定されています。
- 増殖のブレーキ: 多能性幹細胞とは異なり、一定回数増殖すると自然にそのサイクルを止める性質を持っています。
- 腫瘍を作らない特性: これまでの臨床試験において、間葉系幹細胞自体が体内でがん化したという報告は極めて稀であり、医学的には非常に制御しやすい、安全性の高い細胞として分類されています。
3. 「天然の細胞」としての安定性
iPS細胞は人工的に遺伝子を操作して作られる細胞ですが、間葉系幹細胞は私たちの体の中に元々存在している「天然の幹細胞」です。
自然な生体メカニズムに沿って機能するため、人工的な細胞に比べて遺伝子情報の安定性が高く、予期せぬ変異が起こりにくいという特徴があります。
最新のメタアナリシス(Wang et al., 2021)でも、過去15年間の臨床データにおいて、間葉系幹細胞治療ががん化(悪性腫瘍)を誘発したという有意な関連性は認められていません。iPS細胞などの研究途上のリスクと、すでに確立されつつあるMSCの安全性を、明確に分けて考えることが大切です。
Wang et al., Stem Cell Research & Therapy, 2021 “The safety of MSC therapy over the past 15 years: a meta-analysis”
細胞の「老化」とリスク:なぜ若いドナーの細胞が選ばれるのか

ここまで解説した通り、間葉系幹細胞(MSC)は本来がん化リスクが低い細胞ですが、その安全性をさらに確固たるものにする鍵が「細胞の年齢」です。
ご自身の細胞(自家)を用いる場合、加齢に伴い蓄積されたDNAの損傷や、細胞分裂時のコピーミスといったリスクを完全に排除することは困難です。
対して、厳格に管理された20代ドナーや臍帯(0歳)由来の細胞(他家)は、遺伝子情報が非常にクリアで変異が起こりにくく、医学的にも極めて安定しています。
「自分自身の細胞の方が安心」という直感とは異なる、科学的な「若さ」のメリットについては、こちらの記事で詳しく掘り下げています。あわせてご覧いただくことで、他家細胞が選ばれる真の理由をご理解いただけるはずです。

正しい知識が、後悔しない「幹細胞選び」の第一歩になります

今回は、他家由来の間葉系幹細胞(MSC)が持つ高い生体適合性や、iPS細胞等とのがん化リスクの違いについて解説してきました。
「他人の細胞を入れる」という心理的なハードルは、決して低いものではありません。しかし、10年以上に及ぶ大規模なメタ解析データが示す通り、厳格に管理された若いドナーの細胞(他家MSC)を用いることは、現代の再生医療において非常に合理的で安全な選択肢となっています。
大切なのは、イメージや直感だけで判断せず、科学的な根拠に基づいた「正しい知識」を持つことです。安全性の基準を正しく理解していれば、ご自身の体にとって本当に価値のある治療を見極めることができるようになります。
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