こんにちは、ReverseAging.Techを運営する MARUICHI PTE LTD の薬剤師、安藤です。
前編では、幹細胞が年齢とともに老化し、SASPを通じて体内の修復環境そのものに影響を与える可能性があることを見てきました。

では、その老化は、幹細胞の「働き」にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?
後編では、治療の質を左右すると考えられている免疫調節、移動能力、増殖力という3つの機能に注目し、細胞の若さがなぜ重要視されるのかを整理します。
なぜ細胞の若さが重要なのか? | 老化による3つの変化

幹細胞を点滴などで体内に取り入れる際、その効果を左右する要素のひとつが「細胞の若さ」です。
0歳の臍帯由来幹細胞や20代の骨髄由来幹細胞といった他家由来の若い細胞ではなく、自家細胞のように加齢した幹細胞をそのまま利用する場合、細胞本来のポテンシャルを十分に発揮できないケースがあると考えられています。
これは安全性という意味ではなく、若い細胞と比較したときの働き方の違いが生まれやすい、というニュアンスです。
幹細胞を点滴などで体内に取り入れる際には、その細胞の「質」、つまり細胞の若さと機能性が、治療効果に関わる重要な視点になります。
では、幹細胞は加齢によって具体的にどのような働きが低下していくのでしょうか。この後は、特に注目される3つの機能低下ポイントを取り上げ、年齢を重ねた幹細胞で起こりやすい特徴をひもといていきます。
機能低下①:体内の炎症をしずめる「免疫調節能」の低下
幹細胞には、本来「炎症をしずめる」働きがあります。
組織が損傷すると炎症反応が一時的に高まりますが、幹細胞は
- 必要以上に働く免疫細胞を抑える
- 修復に必要な細胞を呼び寄せる
といった調整を行い、体内の状態を安定へ導きます。
この働きが免疫調節能です。
しかし、幹細胞が加齢によって変化すると、この免疫調節能も影響を受ける可能性があります。研究では、年齢を重ねた幹細胞ほど、次のような傾向が見られると報告されています。
- 炎症を抑えるシグナルが減少しやすい
- 逆に、炎症を促す物質が増える場合がある
- 周囲の免疫細胞との情報伝達が鈍くなる
といった傾向が報告されています。
こうした変化はすぐに大きな問題につながるものではありませんが、若い幹細胞と比べると、炎症を落ち着かせるまでに時間がかかる場合があるといった働き方の違いが生じる可能性があります。
機能低下②:目的部位への遊走能力やホーミング効果の減退

幹細胞には、体内で修復が必要な場所を見つけ出し、そこへ移動する能力があります。
この働きは大きく、
- 動き出す力(遊走能)
- 正しい場所へたどり着く精度(ホーミング能力)
の2つに分けられ、再生医療の効果を左右する重要な要素です。
若い幹細胞は、損傷部位から放出されるシグナルを敏感に察知し、効率よく目的地まで移動します。
加齢とともに、これらの能力が低下しやすくなることが研究で報告されています。具体的には、
- 損傷部位からのシグナルに反応しにくくなる
- 細胞膜の受容体の働きが弱まり、方向感覚が鈍る
- ミトコンドリア機能低下により「移動の体力」が落ちる
- 到着までに時間がかかり、修復プロセスの初期が遅れやすくなる
といった傾向が指摘されています。
これらの変化はすぐに問題になるものではありませんが、幹細胞の移動能力やホーミング精度の違いにより、若い幹細胞と比較すると、老化した幹細胞は修復が必要な部位へたどり着くスピードが遅いと理解するとよいでしょう。
「修復が動き出すスピード」 が重要視される理由のひとつが、この移動能力とホーミング精度の違いです。細胞がより早く修復部位に集まれるほど、再生プロセスがスムーズに始まる可能性があります。
機能低下③:必要な数を確保する力(増殖能力)の低下

幹細胞には、修復に必要な細胞数を確保するために自ら増える力があります。
この増殖能力は、損傷部位へ十分な数の細胞を届けるための土台となる重要な機能です。
しかし、加齢とともに細胞内部で起きる変化は、この増殖能力にも影響を与えることが知られています。研究では、加齢した幹細胞に次のような変化が起こりやすいと報告されています。
- テロメアの短縮により、細胞分裂できる回数が減少する
- ミトコンドリア機能の低下により、増殖に必要なエネルギーが不足しやすくなる
- DNA損傷の蓄積により、細胞分裂のスピードが遅くなる
こうした変化がすぐに問題になるわけではありませんが、若い幹細胞と比べると、必要な細胞数がそろうまでに時間がかかる場合があるという、働き方の違いにつながる可能性があります。
そのため、「細胞の若さ」は、幹細胞が本来持つポテンシャルを最大限に引き出すうえで重要な要素のひとつとされています。
結論:幹細胞点滴では「どの細胞を選ぶか」が結果を左右する
ここまで、幹細胞が年齢とともにどのように変化し、なぜ「細胞の若さ」が治療の質に影響するのかを見てきました。
老化そのものは自然な現象ですが、免疫調整・移動精度・増殖能力といった重要な働きにおいて、若い幹細胞と年齢を重ねた幹細胞のあいだには大きな違いがあります。
そのため、幹細胞点滴を検討する際には、
「どの細胞ソースを使うのか」
という視点が、方針を決めるうえで非常に重要になります。
特に、自家細胞を用いる場合は、自分自身の細胞年齢が治療の前提条件となります。一方、若いドナーから採取された他家由来細胞を用いる場合は、細胞自体の機能性が比較的維持されている可能性があります。
どちらが良い/悪いという単純な話ではなく、それぞれの特徴を理解して選択することが大切 です。
もし治療を将来の投資として考えるのであれば、
まずは“どの細胞を使うのか”という視点から比較すること。
ここが、治療選択の大きな分岐点になります。
治療を「投資」と捉えるなら、選ぶべきは「若さ」という資産

幹細胞治療では、治療に用いる細胞がどれだけ本来の機能を発揮できるかが、期待できる反応に大きく関わります。
若い幹細胞は、炎症を整える力や修復部位へ向かう能力、必要な細胞数を確保するための増殖力が比較的保たれていることが多く、治療後の反応がスムーズに立ち上がりやすいと考えられています。
一方、自家細胞では、自分の年齢と同じ時間を積み重ねてきた細胞を用いるため、若い細胞と比較すると、免疫調整機能・移動能力・増殖能力などで働き方に違いが生じる可能性があります。
そのため治療を検討する際は、こうした細胞の特性を踏まえたうえで、臍帯由来/若年ドナー骨髄由来/自家脂肪細胞などのうち、どの細胞ソースを選ぶのかを考えることが重要になります。
後悔しない治療選びのために | 日本 vs マレーシア で問われる細胞の鮮度
ReverseAging.Tech では、臍帯由来幹細胞(0歳) と 若年ドナー由来の骨髄幹細胞(20代) を使用しています。これらは加齢の影響をほとんど受けていないため、幹細胞本来の働きが保たれやすい点が特徴です。
一方、日本では法律上の理由から自家細胞が中心であり、自分自身と同じ年齢の幹細胞を利用することになります。マレーシアでは、適切に管理された若いドナー由来の細胞を治療に用いる選択肢が認められています。
細胞が年齢とともに変化していくことを考えると、どのような年齢の細胞を使うか は治療における重要な視点になります。ただし、どちらが良い・悪いという話ではなく、国ごとに制度や提供できる治療の枠組みが異なることが背景にあります。
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