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検査と数値

健診の貧血、ヘモグロビンはいくつから? 数値の読み方と、認知症・フレイルとの関係

結論は、成人ではヘモグロビンが女性で約12.0、男性で約13.5g/dLを下回ると「貧血」の目安になる、ということです。世界保健機関(WHO)は2024年に、貧血の基準についての指針を出しています。貧血と認知症・フレイル(心身の衰え)との関連は観察研究の段階で、原因を調べることが先になります。

根拠 初期5分で読めます公開 2026.11.08更新 2026.11.08
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • ヘモグロビンの下限の目安は、18〜65歳の女性で約12.0g/dL、男性で約13.5g/dL。WHOの資金で8か国のデータから計算し直された値
  • 65歳を超える人については、基準を決めるのに十分なデータがまだない
  • 英国の約31万人の追跡では、貧血のある人は認知症になる割合が56%高かった。観察研究で、貧血が原因とは言い切れない
  • 日本の特定健診の約20万人の追跡では、赤血球が大きいタイプの貧血が、その後の死亡と関連していた
  • 貧血の原因は鉄不足だけでなく、腎臓の働きの低下や慢性の炎症などさまざま。数値だけで自己判断せず、原因を確認することが大切

健診の結果票で、ヘモグロビンが成人女性で約12.0g/dL、成人男性で約13.5g/dLを下回ると、貧血の目安になります。貧血のある高齢者は認知症やフレイルが多いと報告されていますが、いずれも観察研究で、貧血が原因かどうかはまだ分かっていません。

ヘモグロビンは何を表す?

ヘモグロビンは赤血球の中にあるたんぱく質で、肺で受け取った酸素を全身に運んでいます。この量が少ない状態が貧血です。結果票には、赤血球の数やMCV(赤血球1個の平均の大きさ)も並んでいることが多く、貧血の種類を見分ける手がかりになります。

いくつから貧血? 基準は変わった?

WHOの貧血の基準は、50年以上前に決められた数字が使われてきました。2024年、オーストラリアの研究チームが、米国・英国・中国など8か国のデータから、病気のない人のヘモグロビンの下位5%の値を計算し直しました。18〜65歳では、妊娠していない女性で119.7g/L(約12.0g/dL)、男性で134.9g/L(約13.5g/dL)でした。祖先の違いによって基準を変える根拠は見つからなかったと報告されています。

この解析はWHOの資金で行われ、WHOは同じ2024年に、貧血の基準についての指針を出しました。ただし、65歳を超える人については、基準を決めるのに十分なデータがありませんでした。健診の結果票の基準範囲は施設によって少しずつ違うため、まずは結果票に書かれた範囲と見比べてください。

貧血は、認知症やフレイルと関係がある?

英国の約31万人を平均9年追跡した研究では、6,833人が認知症になりました。貧血のある人は、ない人より認知症になる割合が56%高くなっていました。遺伝子の情報を使った解析では、ヘモグロビンとアルツハイマー病との間に因果関係を示唆する結果も出ています。

フレイルについては、19の研究をまとめた解析があります。貧血のある人では、フレイルの割合が24%、その手前の状態が49%でした。フレイルである見込みは、貧血のない人の2倍以上でした。ただし、19のうち17は一時点だけを調べた研究で、時間を追った2つの研究は結果が分かれていました。

赤血球の大きさも見たほうがいい?

日本の特定健診を受けた約20万人を4年間追跡した研究では、赤血球が大きいタイプの貧血(大球性貧血)が2.3%の人に見られました。このタイプの貧血は、その後の死亡と関連していました。腎臓の働きが落ちている人ほど貧血が多いことも分かっています。研究チームは、早めに注意を向ける目印になる可能性があるとしています。

原因は鉄不足だけ?

米国血液学会の雑誌に載った総説によると、年をとってからの貧血の原因は、鉄やビタミンの不足、腎臓の病気、慢性の炎症、骨髄の病気など幅広く、原因がはっきりしない人もいます。軽い貧血でも、体の動きや考える力、暮らしの質に影響することがあるとされています。

鉄については、月経のある女性を対象にした67の比較試験のまとめがあります。毎日の鉄の補給で、貧血の人の割合は減り、ヘモグロビンは平均5.3g/L上がりました。一方で、便秘や下痢などおなかの症状は約2倍に増えていました。鉄不足以外の原因で起きている貧血もあるため、鉄を自己判断でとり続けることは勧められません。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
成人の貧血の基準値(8か国のデータの解析)根拠 有望女性 約12.0g/dL、男性 約13.5g/dL。65歳超はデータ不足
貧血と認知症(英国の約31万人の追跡)根拠 初期貧血のある人で56%高い
貧血とフレイル(19の研究のまとめ)根拠 初期フレイルの見込みが2倍以上。多くは一時点の調査
大球性貧血と死亡(日本の特定健診の約20万人)根拠 初期死亡との関連あり
月経のある女性への鉄の補給(67の比較試験のまとめ)根拠 確立貧血の割合が減り、ヘモグロビンが上昇。おなかの症状は増加
まだ分かっていないこと貧血を治すことで、認知症やフレイルを防げるかを確かめた比較試験はありません。認知症やフレイルとの関連は観察研究によるもので、貧血の背景にある別の病気が両方に関わっている可能性もあります。フレイルの解析は19のうち17が一時点だけの調査で、時間を追った研究は結果が分かれていました。65歳を超える人に、若い成人と同じ基準を当てはめてよいかは、データが足りず決まっていません。日本の特定健診の研究は追跡が4年と短く、大球性貧血の原因までは調べていません。鉄の補給の比較試験のまとめは月経のある女性が対象で、多くの試験は質の評価に必要な情報が不十分でした。

では、どうすればよいか

結果票でヘモグロビンが基準を下回っていたら、MCVなどほかの数値もあわせて確認し、健診を受けた医療機関で原因を相談してください。疲れやすさや息切れ、立ちくらみがある方、急に数値が下がった方は、早めに受診することが大切です。

今日からできること
  • 健診の結果票で、ヘモグロビンとMCV(赤血球の大きさ)を、結果票に書かれた基準範囲と見比べる
  • 前の年の結果と比べて、数値が下がってきていないかを確かめる
  • 基準を下回っていたら、鉄のサプリなどを自己判断で始める前に、健診を受けた医療機関で原因を相談する
  • 疲れやすさ・息切れ・立ちくらみがある方、急に数値が下がった方は、早めに医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
8か国のデータからみた貧血の基準(Lancet Haematol 2024)米国・英国・オーストラリア・中国・オランダ・カナダ・エクアドル・バングラデシュの8つのデータ源・18のデータセット(1998〜2020年)から、ヘモグロビンを下げる病気のない人を選んで下位5%値を算出。18〜65歳の妊娠していない女性3,640人で119.7g/L、男性2,377人で134.9g/L。65歳超はデータ不足。祖先による違いの根拠なし。資金: WHO・ゲイツ財団。責任著者はWHOの指針作成グループの共同議長で、製薬会社(鉄剤)の顧問を開示
WHOの貧血の基準の指針(Lancet 2024)WHOが2024年に出した、ヘモグロビンの測定と貧血の定義についての指針の解説。著者はWHOの職員と指針作成グループの共同議長。共同議長は製薬会社の顧問などを開示
英国の約31万人の追跡(Alzheimers Dement 2023)UKバイオバンクの31万3,448人を平均9.03年追跡し、6,833人が認知症に。貧血は認知症全体の56%高い危険と関連。メンデルランダム化解析で、ヘモグロビンと赤血球の大きさのばらつき(RDW)がアルツハイマー病と因果的に関連。中国・復旦大学などのチーム
貧血とフレイルのまとめ(J Nutr Health Aging 2018)観察研究19本(一時点の調査17本、追跡2本)。貧血のある人のフレイル前段階の割合49%、フレイル24%。フレイルのオッズ比2.24(95%信頼区間1.53〜3.30)。研究間のばらつきが大きい(I²=91.8%)。追跡研究2本は結果が分かれた。利益相反なし
日本の特定健診の約20万人(Sci Rep 2024)2008〜2011年の特定健診の受診者20万3,280人を4年間追跡、死亡2,819人。大球性貧血は2.3%。正球性・大球性の貧血は慢性腎臓病の段階が進むほど多い。大球性貧血は全死亡・がん・心血管病による死亡と有意に関連。山形大学などのチーム。利益相反なし
高齢者の貧血の総説(Blood 2018)高齢者の貧血の原因は、骨髄の病気、慢性腎臓病、栄養の不足、加齢に伴う炎症などにわたり、原因不明の例もある。軽い貧血でも身体・認知の能力や生活の質に影響しうる。腎臓でのエリスロポエチンの産生など、加齢による臓器の働きの変化も関わる
月経のある女性への鉄の補給(Cochrane 2016)比較試験67本・8,506人。鉄の毎日の補給で、終了時の貧血のリスク比0.39、ヘモグロビンは平均5.30g/L上昇、鉄欠乏のリスク比0.62。消化器症状のリスク比1.99、便秘2.07、下痢2.13。低い偏りのリスクと評価された試験は10本だけ。著者の一部は血液事業や鉄剤メーカーからの研究費との関係を開示
出典
  1. Braat S, et al. Haemoglobin thresholds to define anaemia from age 6 months to 65 years: estimates from international data sources. Lancet Haematol. 2024. PMID 38432242
  2. Pasricha SR, et al. Measuring haemoglobin concentration to define anaemia: WHO guidelines. Lancet. 2024. PMID 38493792
  3. Qiang YX, et al. Associations of blood cell indices and anemia with risk of incident dementia: A prospective cohort study of 313,448 participants. Alzheimers Dement. 2023. PMID 37102212
  4. Palmer K, et al. The Relationship between Anaemia and Frailty: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies. J Nutr Health Aging. 2018. PMID 30272101
  5. Otaki Y, et al. Macrocytic anemia, kidney dysfunction, and mortality in general population: Japan specific health checkup study. Sci Rep. 2024. PMID 39738456
  6. Stauder R, et al. Anemia at older age: etiologies, clinical implications, and management. Blood. 2018. PMID 29141943
  7. Low MS, et al. Daily iron supplementation for improving anaemia, iron status and health in menstruating women. Cochrane Database Syst Rev. 2016. PMID 27087396
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ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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