
健診のγ-GTPが高いのはお酒のせい? 51と101の目安と、飲まない人が高いとき
結論から言うと、γ-GTPはお酒で上がる代表的な数値ですが、肥満や喫煙でも上がり、飲まない人でも高くなることがあります。厚生労働省の判定値は51 U/L以上が保健指導、101 U/L以上が受診勧奨です。高い人ほど病気や死亡が多いという関連は観察研究で報告されていますが、原因かどうかは分かっていません。
- 厚生労働省の健診の判定値は、γ-GTPが51 U/L以上で保健指導、101 U/L以上で受診勧奨
- お酒のほか、BMIが高いこと、喫煙でもγ-GTPが高くなりやすいと日本の研究で報告されている
- 900万人以上の追跡研究のまとめでは、γ-GTPが高い人ほど追跡中に亡くなる割合が高かった(関連のみ)
- 飲酒について助言した比較試験のまとめでは、飲酒量が減り、γ-GTPが平均約20 U/L多く下がった
健診のγ-GTPは、51 U/L以上で生活習慣の見直しの対象、101 U/L以上で医療機関の受診を勧める値とされています。お酒が上げる代表的な数値ですが、太り気味や喫煙でも上がることが報告されており、飲まない人でも高くなることがあります。
γ-GTPが高い人ほど、その後の心臓や血管の病気、亡くなる割合が高いという関連も報告されています。ただし、ほとんどは観察研究で、数値そのものが原因かどうかは分かっていません。
γ-GTPは何を表している?
γ-GTP(ガンマ・グルタミルトランスペプチダーゼ。検査ではγ-GTとも書かれます)は、肝臓などの細胞の表面にある酵素です。細胞を酸化から守るグルタチオンという物質の分解と再利用に関わっています。肝臓や胆管に負担がかかると、血液中の量が増えます。
厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム」では、γ-GTPが51 U/L以上を保健指導判定値、101 U/L以上を受診勧奨判定値としています。101以上の場合は、健診の結果を持って医療機関を受診するよう案内する文例が示されています。
高いのは、お酒のせい?
お酒はγ-GTPを上げる代表的な原因です。2025年にイタリアの研究チームがまとめた総説では、1日60g以上のアルコール(日本酒でおよそ3合)を5週間以上飲み続けた人の約75%で、γ-GTPが高くなっていたと紹介されています。一方で、γ-GTPだけで飲みすぎを見分けることはできず、問診や質問票と組み合わせて判断するのがよいとしています。
厚生労働省のプログラムも、γ-GTPが高く飲酒の習慣がある人には、アルコールによる肝臓の障害の疑いがあるとして、減酒を勧める文例を載せています。脳梗塞や心筋梗塞の危険が高まる目安として、1日あたり男性40g以上、女性20g以上という量が挙げられています。
お酒を飲まなくても高くなる?
高くなることがあります。大阪の40〜59歳の男性会社員1,176人を調べた研究では、γ-GTPが60以上になりやすい要因として、飲酒のほかに、BMI(体格指数)が高いこと、喫煙、間食が挙がりました。コーヒーを飲む人は、γ-GTPが高い人が少ない傾向でした。
肥満などに伴って肝臓に脂肪がたまる脂肪肝でも、γ-GTPは上がります。また、関西の男性約9,300人を11年追った研究では、γ-GTPが最も高い組(71以上)は最も低い組(25以下)に比べ、尿たんぱくが続けて出るようになる危険が約3.4倍でした。お酒を飲まないのにγ-GTPが高い人で、危険が最も高くなっていました。一方、腎臓の働きを示すeGFRの低下とは関係が見られませんでした。
γ-GTPが高いと、何が起きやすい?
2014年に、一般の人を対象にした19の追跡研究、合わせて900万人以上をまとめた解析が発表されました。γ-GTPが最も高い3分の1の人は、最も低い3分の1の人に比べ、追跡中に亡くなる割合が1.6倍でした。γ-GTPが5 U/L高いごとに、亡くなる割合は約7%高くなっていました。
2013年の7つの研究、約27万人のまとめでは、心臓や血管の病気で亡くなる割合が、最も高い組で約1.5倍でした。ただし、アジアの研究に限ると、はっきりした差は出ていません。
2025年には、フィンランドの健康な中年の人約5,400人のデータから、肝臓の数値の基準の上限を計算し直した研究も発表されました。約2万人の別の集団で確かめたところ、γ-GTPが上限の3倍を超えた人では、10年以内に肝硬変などの重い肝臓の病気が起きる危険が5%を超えていました。肝臓の病気の予測には、ALTよりもASTとγ-GTPのほうが役立つと報告されています。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| γ-GTPの判定値(厚生労働省の健診プログラム) | 根拠 確立 | 51 U/L以上が保健指導判定値、101 U/L以上が受診勧奨判定値 |
| 飲酒でγ-GTPが上がるか(総説) | 根拠 初期 | 1日60g以上を5週間以上で約75%が上昇。γ-GTPだけでは飲みすぎを見分けられない |
| お酒以外でγ-GTPが高くなる要因(日本の男性1,176人) | 根拠 初期 | BMI・喫煙・間食で高くなりやすく、コーヒーでは低い傾向 |
| γ-GTPが高い人は亡くなる割合が高いか(19の追跡研究のまとめ) | 根拠 初期 | 最も高い3分の1で1.6倍。原因かどうかは不明 |
| 飲酒の助言でγ-GTPは下がるか(14の比較試験などのまとめ) | 根拠 有望 | 飲酒量が週74g多く減り、γ-GTPは平均約20 U/L多く低下 |
| 運動でγ-GTPは下がるか(脂肪肝の人の26試験のまとめ) | 根拠 有望 | ALTは低下。γ-GTPの低下ははっきりしない |
数値を下げるために、何が分かっている?
飲酒量を減らすと、γ-GTPは下がることが報告されています。2021年に発表された、14の比較試験と2つの観察研究、3,763人分のまとめがあります。肝臓の数値などの結果をもとに飲酒について助言した組は、通常の対応の組に比べ、1週間の飲酒量が平均74g多く減り、γ-GTPも平均約20 U/L多く下がっていました。
運動については、太り気味で脂肪肝のある人を対象にした26の比較試験、1,012人分をまとめた2025年の解析があります。運動でALTははっきり下がりましたが、γ-GTPの低下は統計的にはっきりした差になりませんでした。
では、どうすればよいか
γ-GTPが51以上なら、まずお酒の量と体重、喫煙を見直すきっかけになります。101以上の場合や、ASTやALTも高い場合、お酒を飲まないのに高い場合は、健診の結果を持って医療機関に相談してください。
- 健診の結果で、γ-GTPとAST・ALTの値を確かめ、前の年と比べてみる
- お酒を飲む方は、1週間に飲んだ量を書き出し、休肝日を決めて量を減らす
- 体重が増えてきた方、たばこを吸う方は、数値を見直すきっかけにする
- γ-GTPが101以上の方、ASTやALTも高い方、お酒を飲まないのに高い方は、健診の結果を持って医療機関に相談する。お酒の量を自分で減らせないときも、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 標準的な健診・保健指導プログラム(厚生労働省 令和6年度版) | γ-GT(γ-GTP)の保健指導判定値は51 U/L以上、受診勧奨判定値は101 U/L以上。γ-GTが高く飲酒習慣がある場合はアルコール性肝障害の疑いとして減酒を勧める文例。男性40g/日以上、女性20g/日以上で脳梗塞・心筋梗塞の危険が高まるとしている |
|---|---|
| 過度の飲酒の指標の総説(Minerva Gastroenterol 2025) | イタリアの研究チームによる総説。1日60g超を5週間以上飲む人の約75%でγ-GTPが上昇。γ-GTPとCDTは断酒の経過を見る指標として有用だが、単独で信頼できる指標はなく、問診・質問票との組み合わせを推奨 |
| 生活習慣とγ-GTP(Occup Med 2000) | 日本の40〜59歳の男性会社員1,176人の横断研究(肝臓の病気の人を除外)。γ-GTP 60以上と正の関連: BMI・飲酒・喫煙・間食。コーヒーは逆の関連 |
| γ-GTPと腎臓(関西の健診研究、J Epidemiol 2020) | 日本の男性約9,300人を11年追跡。γ-GTP最高四分位(71以上)は最低(25以下)に比べ持続する尿たんぱくのハザード比3.39。非飲酒でγ-GTPが高い組の危険が最も高い。eGFR 60未満とは関連なし |
| 肝臓の数値と死亡のまとめ(Int J Epidemiol 2014) | 19の前向きコホート、924万人以上、死亡24万2,953人。γ-GTPの上位3分の1対下位3分の1の相対危険1.60。5 U/L上昇ごとに1.07 |
| γ-GTPと心血管死亡のまとめ(Prev Med 2013) | 7研究、27万3,141人。心血管死亡は最高対最低四分位で1.52、全死亡1.56。アジアのサブグループでは心血管死亡の関連が有意でなかった(1.59、信頼区間0.76〜3.30) |
| 肝臓の数値の基準の見直し(Liver Int 2025) | フィンランドの健康な中年5,412人で基準の上限を算出し、FINRISKの2万423人で検証。γ-GTPが上限の3倍超、ASTが2倍超で10年間の重い肝臓の病気の危険が5%超。ALTではこの水準に届かなかった。利益相反なし |
| 数値に基づく飲酒の助言のまとめ(Alcohol Alcohol 2021) | 14の比較試験と2つの観察研究、3,763人。助言の組で週の飲酒量が平均74.4g多く減り、γ-GTPは平均19.7 IU/L多く低下。比較試験の質は中程度 |
| 脂肪肝の人の運動の試験のまとめ(BMC Gastroenterol 2025) | 太り気味・肥満で脂肪肝のある人の26試験、1,012人。ALTは有意に低下(標準化平均差−0.40)。γ-GTPは−0.29で有意差なし。利益相反なし |
- 厚生労働省. 標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版). リンク
- Caputo F, et al. Available markers of excessive alcohol use. Minerva Gastroenterol (Torino). 2025. PMID 40711388
- Nakanishi N, et al. Lifestyle and serum gamma-glutamyltransferase: a study of middle-aged Japanese men. Occup Med (Lond). 2000. PMID 10829432
- Shibata M, et al. Serum Gamma-Glutamyltransferase, Daily Alcohol Consumption, and the Risk of Chronic Kidney Disease: The Kansai Healthcare Study. J Epidemiol. 2020. PMID 30930374
- Kunutsor SK, et al. Liver enzymes and risk of all-cause mortality in general populations: a systematic review and meta-analysis. Int J Epidemiol. 2014. PMID 24585856
- Du G, et al. Gamma-glutamyltransferase is associated with cardiovascular and all-cause mortality: a meta-analysis of prospective cohort studies. Prev Med. 2013. PMID 23571185
- Åberg F, et al. Updated Reference Limits for Liver Blood Tests With Validation Against Long-Term Liver-Related Outcomes. Liver Int. 2025. PMID 41255223
- Subhani M, et al. Does Advice Based on Biomarkers of Liver Injury or Non-Invasive Tests of Liver Fibrosis Impact High-Risk Drinking Behaviour: A Systematic Review With Meta-analysis. Alcohol Alcohol. 2021. PMID 33479737
- Chen J, et al. Effects of exercise interventions on metabolic and hepatic function markers in overweight or obese patients with MASLD: a systematic review and meta-analysis. BMC Gastroenterol. 2025. PMID 41331432

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。










