朝日が差し込む食卓の焼き魚ときのこ

トップ / サプリ・成分

サプリ・成分

ビタミンDのサプリ、誰に必要? 大規模試験で分かったこと

骨のため、健康のためにと、ビタミンDのサプリを飲む人は少なくありません。では、健康な大人が飲むと何か変わるのでしょうか。米国とオーストラリアの大規模な比較試験と、2024年の米国の診療ガイドラインから整理しました。

根拠 確立4分で読めます公開 2026.10.16更新 2026.10.16
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 米国の約2万6,000人の比較試験では、毎日のビタミンDで、がんや心臓・血管の病気になる割合は変わらなかった
  • 同じ試験で骨折の割合も変わらず、オーストラリアの約2万1,000人の試験でも亡くなる割合に差はなかった
  • 米国内分泌学会の2024年の指針は、75歳未満の健康な大人に、推奨量を超えて飲むことを勧めていない
  • 75歳以上、妊娠中、1〜18歳、糖尿病になる危険が高いと言われた人には、飲むことを提案している。ただし最適な量は分かっていない

健康な大人がビタミンDのサプリを飲んでも、がんや心臓の病気、骨折、亡くなる割合は変わらなかったと、大規模な比較試験で報告されています。一方で、2024年の米国の診療ガイドラインは、75歳以上や妊娠中など、一部の人には飲むことを提案しています。

ビタミンDの量と健康には、どんな関係がある?

ビタミンDは、日光を浴びると皮膚でつくられ、魚やきのこなどの食べ物からもとれます。骨の材料になるカルシウムの吸収を助ける働きが知られています。

血液中のビタミンDの濃度が低い人ほど、骨や代謝、心臓・血管などのさまざまな病気が多いことが、多くの研究で報告されてきました。ただし、2024年の米国内分泌学会の指針は、濃度の低さが多くの病気の原因だとは、はっきり示されていないと書いています。体調が悪く外に出ない人ほど濃度が低くなる、といった逆の流れも考えられます。そこで、くじ引きで組を分けて比べる比較試験が行われてきました。

大規模な試験では、どんな結果が出た?

米国のVITALという試験には、50歳以上の男性と55歳以上の女性、約2万6,000人が参加しました。半分の人がビタミンDを毎日2,000IU(国際単位)、残りの人が見た目の同じ偽の錠剤を飲みました。

約5年たっても、がんになる割合と、心筋梗塞や脳卒中などになる割合に、2つの組で差はありませんでした。亡くなる割合も同じでした。血液中のカルシウムが高くなりすぎるなどの副作用が増えることもありませんでした。

同じ参加者で骨折も調べています。ビタミンD不足や骨の弱さで選んで集めた人たちではありません。骨折全体、背骨以外の骨折、股関節の骨折のいずれも、差はありませんでした。年齢や性別、もともとの血中濃度で分けても、結果は変わりませんでした。

オーストラリアのD-Healthという試験では、60歳以上の約2万1,000人が、ビタミンD 6万IUか偽の錠剤を月に1回、5年間飲みました。亡くなる割合に差はありませんでした。がんで亡くなる割合は数字の上ではやや高い傾向があり、研究チームは、足りている人にこの飲み方は向かない可能性があると書いています。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
毎日2,000IUで、がん・心臓や血管の病気が減るか(VITAL・約2万6,000人)根拠 有望差なし
毎日2,000IUで、骨折が減るか(同じ試験)根拠 有望差なし
月1回6万IUで、亡くなる割合が減るか(D-Health・約2万1,000人)根拠 有望差なし。がんでの死亡はやや高い傾向
19〜74歳の健康な大人(151研究の系統的レビュー)根拠 確立調べた項目に意味のある差なし
75歳以上の亡くなる割合(同じレビュー)根拠 確立ごくわずかに低下(確かさ高)
間を空けた大量の摂取と転倒(同じレビュー)根拠 有望毎日の少量より転倒が増える可能性

では、誰に必要とされている?

米国内分泌学会は2024年、151の研究を調べたうえで指針を出しました。19〜74歳の健康な大人では、調べた項目に意味のある差がありませんでした。そのため、75歳未満の健康な大人には、推奨量を超えて飲むことを勧めていません。

一方で、75歳以上の人には飲むことを提案しています。亡くなる割合がごくわずかに下がるという、確かさの高い結果があったためです。ほかに、1〜18歳の子ども、妊娠中の人、糖尿病になる危険が高いと言われた人にも提案しています。ただし、どのくらいの量がよいかははっきりしないとしています。

飲み方については、50歳を超える人なら、間を空けて大量に飲むより毎日飲むことを提案しています。間を空けた大量の摂取で、転倒が増える可能性が報告されたためです。健康な人が血中濃度の検査を決まって受けることも勧めていません。検査で人を選んで飲む方法を確かめた試験が、見つからなかったからです。なお、この指針は病気の予防を目的としたもので、骨の病気などでビタミンDによる治療や検査がもともと必要な人は対象にしていません。

まだ分かっていないこと大規模な試験の参加者の多くは、もともとビタミンDが足りていた人たちです。D-Healthでは、偽の錠剤の組でも追跡中の血中濃度の平均は77 nmol/Lでした。はっきり不足している人に限ると効果が違うのかは、まだ分かっていません。最適な量や、目標にすべき血中濃度も決まっていません。指針の提案のうち、確かさが高いのは75歳以上の死亡だけで、子どもや妊娠中は低く、糖尿病の危険が高い人は中程度です。D-Healthでのがん死亡の傾向は、あとから行った探索的な分析によるものです。どの試験も日本人を主な対象にしておらず、日本人にそのまま当てはまるかも分かっていません。

では、どうすればよいか

75歳未満の健康な人が、病気を防ぐ目的で多めにビタミンDのサプリを飲む根拠は、いまのところ乏しいと言えます。まずは魚やきのこなど、ふだんの食事からとることを意識しましょう。75歳以上の方や妊娠中の方、骨や持病のことで気になる方は、飲むかどうかを医師に相談してください。

今日からできること
  • いま飲んでいるサプリがあれば、ビタミンDの量と、毎日飲むものか、まとめて飲むものかを表示で確かめる
  • 複数のサプリや栄養を強化した食品で、ビタミンDを重ねてとっていないか見直す
  • 魚やきのこ、卵など、ビタミンDを含む食べ物を食事に取り入れる
  • 75歳以上の方、妊娠中の方は、飲むかどうかを医師に相談する
  • 骨の病気などで医師から飲むよう指示されている方は、自己判断でやめない
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
VITAL(N Engl J Med 2019)米国、50歳以上の男性と55歳以上の女性 2万5,871人(黒人5,106人)。ビタミンD3 毎日2,000IUと偽薬を比較(オメガ3脂肪酸との2×2要因デザイン)。追跡中央値5.3年。浸潤がんのハザード比0.96、主要な心血管イベント0.97(いずれも有意差なし)、全死亡0.99。高カルシウム血症などの有害事象の増加なし。資金: 米国国立衛生研究所ほか。登録: NCT01169259
VITALの骨折の解析(N Engl J Med 2022)同じ2万5,871人。ビタミンD不足・骨量の少なさ・骨粗しょう症で選んでいない。追跡中央値5.3年で1,551人に1,991件の骨折。骨折全体のハザード比0.98、背骨以外0.97、股関節1.01(いずれも有意差なし)。年齢・性別・人種・BMI・もともとの血中濃度で効果に違いなし。資金: 米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所。登録: NCT01704859
D-Health(Lancet Diabetes Endocrinol 2022)オーストラリアの60歳以上 2万1,315人。ビタミンD3 月1回6万IUと偽薬を5年間、二重盲検。追跡中央値5.7年、死亡1,100人。全死亡のハザード比1.04(有意差なし)、心血管死0.96、がん死1.15(いずれも有意差なし)。最初の2年を除く探索的分析でがん死1.24。追跡中の血中濃度は偽薬の組77、ビタミンDの組115 nmol/L。資金: オーストラリア国立保健医療研究評議会。著者の一部に製薬企業からの研究費・謝礼の開示。登録: ACTRN12613000743763
指針を支える系統的レビュー(J Clin Endocrinol Metab 2024)14の問いについて3万7,007件の文献から151研究を採用。19〜74歳の健康な大人では有意な効果なし。75歳以上で死亡がごくわずかに減少(確かさ高)。1〜18歳で呼吸器の感染症の減少(確かさ低)。妊娠中は利益の可能性(確かさ低)。糖尿病予備群で糖尿病への進行の減少(確かさ中)。間を空けた大量投与は毎日の少量より転倒を増やす可能性。血中濃度の検査の利益と害を調べた試験なし
米国内分泌学会の診療ガイドライン(J Clin Endocrinol Metab 2024)病気の予防を目的とした指針で、ビタミンDによる治療や検査がもともと必要な人は対象外。1〜18歳、75歳以上、妊娠中、リスクの高い糖尿病予備群に補充を提案。75歳未満の健康な大人には食事摂取基準を超える補充を勧めない。50歳を超える人には間欠的な大量投与より毎日の摂取を提案。どの集団にも定期的な血中濃度の検査を勧めない。最適な量・目標濃度は不明
出典
  1. Demay MB, et al. Vitamin D for the Prevention of Disease: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2024. PMID 38828931
  2. Shah VP, et al. A Systematic Review Supporting the Endocrine Society Clinical Practice Guidelines on Vitamin D. J Clin Endocrinol Metab. 2024. PMID 38828942
  3. Manson JE, et al. Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 2019. PMID 30415629
  4. LeBoff MS, et al. Supplemental Vitamin D and Incident Fractures in Midlife and Older Adults. N Engl J Med. 2022. PMID 35939577
  5. Neale RE, et al. The D-Health Trial: a randomised controlled trial of the effect of vitamin D on mortality. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022. PMID 35026158
この記事は役に立ちましたか?

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。

次に読む

ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

幹細胞を知る「幹細胞」って何? 基本から3分で幹細胞とは →

よく読まれている記事

  1. シューマッハ氏の近況報道と、幹細胞治療について分かっていること
  2. マレーシアで受ける幹細胞点滴のご案内
  3. 半月板の再生医療「セイビスカス注」承認、誰がいつ受けられる?
  4. Muse細胞はいまどうなっている?開発中止の背景と研究の現在地
  5. 自分の脂肪から採る幹細胞、利点と限界は?自家と他家の比べ方
健康長寿のニュースを、メールで

世界の研究と話題から、編集部が選んだ記事をお届けします。