日焼け止めを毎日塗ると、肌の老化はゆっくりになる?
日焼け止めは、夏や海に行く日だけのものと思われがちです。毎日塗ると肌の老化に違いが出るのかを、オーストラリアで行われた比較試験を中心に整理しました。
- オーストラリアの比較試験では、日焼け止めを毎日塗った人は、ときどき塗る人より肌の老化の進み方が24%少なかった
- すでにあるシミやきめへの効果は、比べる組のない小さな研究しかない
- 日焼け止めで期待できるのは主に紫外線による変化で、年齢によるたるみは別の話になる
日焼け止めを毎日塗ると、肌の老化の進み方がゆっくりになることが、オーストラリアの比較試験で報告されています。4年半続けた試験で、ときどき塗る人より、肌の変化が24%少なかったという結果です。
日光を浴び続けることで進む肌の変化は、光老化(紫外線による肌の老化のこと)と呼ばれます。シミやしわ、肌のきめの乱れとして表れます。
毎日塗る人と、ときどき塗る人で差はある?
この問いを確かめたのが、オーストラリア東部のナンボーという町の試験です。日差しがとても強い地域で、1992年から55歳未満の大人903人が参加しました。
参加者は、くじ引きで組に分けられました。毎日日焼け止めを塗る組と、これまで通り好きなときに塗る組です。使ったのは、紫外線のUVBとUVAの両方を防ぐ、SPF15以上の日焼け止めでした。
4年半後、どちらの組か知らない評価者が、肌の表面の細かいきめを調べました。毎日塗った組では、老化の進みがはっきりとは見られませんでした。好きなときに塗った組と比べると、老化の進み方は24%少なくなっていました。
同じ試験では、にんじんなどに含まれる色素(βカロテン)のサプリも調べています。こちらは、全体として差は出ませんでした。
この試験は、皮膚がんも調べています。毎日塗った組では、皮膚がんのうちある種類の数が少なくなっていました。別の種類には差がありませんでした。
すでにあるシミやしわにも意味がある?
米国では、32人が顔用の日焼け止め(SPF30)を1年間、毎日塗った研究があります。皮膚科医の評価では、12週目から肌のきめやシミの見え方がよくなっていました。1年後には、きめやシミなどの項目が40〜52%改善したと報告されています。
ただし、この研究には塗らない組がありません。季節の変化や、肌を気にかけるようになった影響と区別できないのです。著者の多くは、日焼け止めを販売する会社の研究所に所属しています。「すでにある変化が戻る」とまでは、まだ言えない段階です。
日焼け止めで防げないものは?
フランスで、30〜78歳の女性298人の顔を比べた研究があります。日光を好んで浴びてきた人と、避けてきた人を比べたものです。日光を浴びてきた人では、どの年代でもシミなどの色むらが多く見られました。
一方、たるみには両者で差がありませんでした。研究チームは、たるみは主に年齢とともに進むと見ています。しわやきめには、紫外線と年齢の両方が関わっていました。この研究は化粧品会社が行ったもので、ある時点だけを比べています。
日焼け止めで期待できるのは、主に紫外線による変化です。年齢による変化まで止めるものではありません。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 毎日塗ると、肌の老化の進み方が遅くなるか(903人・4年半の比較試験) | 根拠 有望 | 遅くなった。好きなときに塗る組より24%少ない |
| βカロテンのサプリ(同じ試験) | 根拠 有望 | 全体では差なし |
| 皮膚がんの数(同じ試験) | 根拠 有望 | ある種類は少なかった。別の種類は差なし |
| すでにあるシミ・きめ(32人・1年・比べる組なし) | 根拠 初期 | 改善したと報告。会社の研究者による |
| 日光を浴びる習慣と、色むら・たるみ(298人の比較) | 根拠 初期 | 色むらは多い。たるみには差なし |
では、どうすればよいか
日焼け止めを選ぶときは、2つの表示を見ます。SPFは、主にUVB(肌を赤くする紫外線)を防ぐ力の目安です。PAは、主にUVA(肌の奥まで届く紫外線)を防ぐ力の目安です。試験で使われたのは両方を防ぐ種類だったので、両方の表示があるものを選ぶとよいでしょう。大切なのは、特別な日だけでなく、毎日の習慣にすることです。
- 顔・首・手の甲など、服から出る場所に、朝の身支度のひとつとして塗る
- SPFとPAの両方の表示があるものを選び、汗をかいたりふいたりしたら、製品の説明に沿って塗り直す
- 帽子や日傘、日陰も組み合わせる
- 赤みやかゆみが出たら使うのをやめ、皮膚科に相談する
- 形や色が変わってきたほくろやシミがあれば、早めに皮膚科で診てもらう
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 毎日の日焼け止めと肌の老化(Ann Intern Med 2013) | オーストラリア・ナンボーの比較試験。55歳未満の大人903人(無作為に選んだ住民1,621人のうち)を、日焼け止めの毎日使用/随意使用 × βカロテン30mg/偽薬の4組に分け、1992〜1996年に実施。肌表面の微細な形状の変化を、組を知らない評価者が判定。毎日使用の組は4.5年後に老化の進行が検出されず、随意使用の組より24%少ない(相対オッズ0.76、95%信頼区間0.59〜0.98)。βカロテンは全体で効果なし。限界: 欠測データあり、検出力は中程度。資金: オーストラリア国立保健医療研究評議会。登録 ACTRN12610000086066 |
|---|---|
| 同じ試験の皮膚がん(Lancet 1999) | 住民1,621人。頭・首・腕・手にSPF15以上の日焼け止めを毎日塗る組と、そうでない組を4.5年比較。有棘細胞がんの腫瘍の数は毎日塗る組で少ない(率比0.61、95%信頼区間0.46〜0.81)。基底細胞がんは差なし。日焼け止めの毎日使用による害は見られなかった |
| 同じ試験のその後10年(J Clin Oncol 2011) | 試験終了から10年後までに、新たなメラノーマは毎日塗った組11件、随意使用の組22件(ハザード比0.50、95%信頼区間0.24〜1.02、P=0.051で統計的には境界)。浸潤性のメラノーマは3件対11件(ハザード比0.27) |
| 1年間の顔用日焼け止め(Dermatol Surg 2016) | 32人がSPF30の顔用日焼け止めを52週間使用。皮膚科医の評価で12週目から全項目が改善し、52週で肌のきめ・透明感・色むらが40〜52%改善。比べる組なし。著者の多くは日焼け止めを販売する会社の研究所に所属 |
| 日光と顔の老化のサイン(Clin Cosmet Investig Dermatol 2013) | 30〜78歳の白人女性298人を、日光を好む157人と避ける141人に分け、22項目を写真の尺度で比較した一時点の研究。色むらは紫外線と強く関連、たるみは年齢と関連し両群で差なし、しわ・きめは両方が関与。化粧品会社の研究部門による |
- Hughes MC, et al. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013. PMID 23732711
- Green A, et al. Daily sunscreen application and betacarotene supplementation in prevention of basal-cell and squamous-cell carcinomas of the skin: a randomised controlled trial. Lancet. 1999. PMID 10475183
- Green AC, et al. Reduced melanoma after regular sunscreen use: randomized trial follow-up. J Clin Oncol. 2011. PMID 21135266
- Randhawa M, et al. Daily Use of a Facial Broad Spectrum Sunscreen Over One-Year Significantly Improves Clinical Evaluation of Photoaging. Dermatol Surg. 2016. PMID 27749441
- Flament F, et al. Effect of the sun on visible clinical signs of aging in Caucasian skin. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2013. PMID 24101874
この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。












