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階段を使う人は長生き? 1日何段から差が出るかの研究

駅や職場でエスカレーターではなく階段を選ぶことに、どの程度の意味があるのでしょうか。階段を使う習慣と心臓の病気・寿命の関係を調べた追跡研究と、階段の上り下りで体力を比べた試験を整理しました。

根拠 初期4分で読めます公開 2026.10.22更新 2026.10.22
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 階段を使う人は、使わない人より心臓や血管の病気で亡くなる割合が39%低いと、9つの研究のまとめで報告されている
  • 英国の約46万人の追跡では、1日に6階分(約60段)以上上る人で、心臓や脳の血管の病気になる割合が16〜23%低かった
  • 日本の吹田市の研究では、生活習慣や持病を差し引くと、差ははっきりしなくなった
  • 運動習慣のない人が階段を上る短い比較試験では、持久力(体力の指標)が上がったと報告されている
  • いずれも観察研究が中心で、階段で寿命がのびるかはまだ確かめられていない

階段を使う習慣がある人ほど、心臓や血管の病気で亡くなる割合が低いことが、複数の追跡研究をまとめた解析で報告されています。ただし、いずれも観察研究(ふだんの暮らしをそのまま調べ、その後の健康と見比べる方法)の段階で、階段を使えば寿命がのびると確かめられたわけではありません。

階段を使う人は、長生きしている?

2026年に、英国のイースト・アングリア大学の研究チームが、階段と心臓・血管の病気の関係を調べた9つの研究をまとめました。対象は合わせて約48万人です。

5つの研究、約45万6,000人分を合わせた分析では、階段を使う人は、心臓や血管の病気で亡くなる割合が39%低くなっていました。亡くなる割合全体でも24%低い結果でした。研究チームは、職場や家の中でできる日常の動きを勧める根拠になるとしています。

一方で、まとめに入った研究ごとに結果には違いがあります。英国の約28万人を11年追った研究では、家で1日に6〜10階分上る人は、亡くなる割合が9%低くなっていました。ただし、心臓や血管の病気による死亡では差が見られませんでした。研究チームは、差は小さく、ほかの要因の影響を受けている可能性があるとしています。

米国のハーバード大学の卒業生約8,900人(中央値65歳)の追跡でも、週35階分以上上る人は亡くなる割合が16%低い一方、心臓や血管の病気による死亡では差がはっきりしませんでした。

1日に何段くらいで差が出る?

英国の約46万人を約12年追った研究では、1日に上る階段の量ごとに、心臓や脳の血管の病気になる割合を比べています。1日に1〜5階分では、上らない人とほとんど差がありませんでした。6〜10階分では16%、11〜15階分では22%、16〜20階分では23%低くなっていました。21階分以上では19%低い結果でした。

研究チームは、1日に5階分(約50段)を超えるあたりから差が見られたとしています。また、最初の調査では階段を使っていたのに、5年後にはやめていた人は、ずっと使っていない人より病気になる割合が32%高くなっていました。

日本人の研究ではどうだった?

国立循環器病研究センターは、大阪府吹田市の30〜84歳の約7,300人を、中央値で16.6年追いました。ふだん階段を使う割合が20〜39%の人は、20%未満の人より、心臓や脳の血管の病気になる割合が26%低くなっていました。

ところが、40%以上の人では、喫煙や血圧などの生活習慣・持病を差し引くと、差ははっきりしなくなりました。研究チームは、階段を使う人と使わない人の差の一部は、もともとの生活習慣や体の状態で説明されると結論づけています。

階段の上り下りで、体力はつく?

体力については、比較試験(くじ引きで組に分け、片方だけ運動してもらって比べる方法)があります。カナダの試験では、運動習慣のない若い大人24人を2組に分けました。片方は60段の階段を勢いよく上るのを1日3回、週3日、6週間続けました。その結果、持久力(体が使える酸素の最大量で測る体力の指標)が上がりました。ただし、上がった幅は大きくありませんでした。

中国の42人の試験では、126段の階段を30秒全力で上るのを1日3回、週3日、6週間続けた組で、持久力が7%上がりました。同じ期間、自転車こぎを40分続けた組では、はっきりした変化はありませんでした。英国の試験では、運動習慣のない30代の女性が、家またはジムで8週間、週5日階段を上りました。何もしなかった組に比べて、持久力が上がり、体重とLDLコレステロールも下がっていました。

これらの試験は、どれも若い人から30代を対象にしています。40代以上で同じ結果になるかは確かめられていません。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
階段を使う人ほど、心臓や血管の病気で亡くなる割合が低いか(9つの研究のまとめ)根拠 初期39%低い。亡くなる割合全体でも24%低い
1日に上る量と、心臓や脳の血管の病気(英国の約46万人)根拠 初期6階分以上で16〜23%低い。1〜5階分ではほぼ差なし
日本人での関連(吹田市の約7,300人)根拠 初期生活習慣や持病を差し引くと、差ははっきりしない
家での階段と亡くなる割合(英国の約28万人)根拠 初期6〜10階分で9%低い。心臓や血管の病気による死亡では差なし
階段を上る運動で持久力が上がるか(若い人〜30代の比較試験)根拠 有望上がった。ただし幅は小さく、人数も少ない
まだ分かっていないこと階段で寿命がのびるかを、比較試験で確かめた研究はありません。追跡研究の多くは、階段の量を本人の回答で調べており、記憶違いや、もともと健康な人ほど階段を使うという影響を取り除ききれません。英国の約28万人の研究では、階段と関係がないはずの病気でも同じような差が出ており、研究チーム自身がほかの要因の影響を指摘しています。日本の吹田市の研究でも、生活習慣や持病を差し引くと差ははっきりしなくなりました。9つの研究のまとめは、研究ごとの階段の量の測り方がまちまちです。持久力の比較試験は、どれも数十人規模で期間は6〜8週間と短く、対象は若い人から30代でした。中高年や、膝の痛みがある人で同じ結果になるかは分かっていません。

では、どうすればよいか

研究の結果からは、駅や職場、家の中で階段を選ぶ回数を少しずつ増やすことが、ひとつの目安になりそうです。英国の研究で差が見られたのは、1日に6階分(約60段)以上でした。膝や心臓に持病がある方は、無理のない範囲にとどめ、医師に相談してください。

今日からできること
  • 駅や職場で、1〜2階分の移動は階段を選ぶ回数を増やす
  • 英国の研究で差が見られた1日6階分(約60段)を、ひとつの目安にする
  • 上りは手すりを使い、下りは特に足元に気をつける
  • 膝や腰に痛みがある方、心臓や血圧の持病がある方は、始める前に医師に相談する。胸の痛みや強い息切れが出たら中止する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
9つの研究のまとめ(Am J Cardiovasc Drugs 2026)PubMed と Embase を2025年4月まで検索し、比較試験または観察研究9本・48万479人を解析。5本・45万5,619人の統合で、階段を使うことは心血管死亡の低下(相対リスク0.61、95%信頼区間0.48〜0.79)、全死亡の低下(0.76、0.62〜0.94)と関連。英国イースト・アングリア大学。著者の一部は英国国立健康研究所(NIHR)の研究費を受けている。著者は利益相反なしと開示。事前登録あり(PROSPERO)
英国の約46万人(Atherosclerosis 2023)UK Biobank の45万8,860人、追跡の中央値12.5年、動脈硬化による心臓・脳血管の病気3万9,043件。1日0回を基準に、1〜5回でハザード比0.97、6〜10回で0.84、11〜15回で0.78、16〜20回で0.77、21回以上で0.81。最初は上っていて5年後にやめた人は、ずっと上らない人より1.32倍。北京大学など。著者は利益相反なしと開示
吹田研究(Environ Health Prev Med 2023)大阪府吹田市の30〜84歳、脳梗塞・虚血性心疾患のない7,282人、追跡の中央値16.6年、新たな発症536件。階段を使う割合20%未満を基準に、生活習慣・持病を調整後のハザード比は20〜39%で0.74(0.58〜0.95)、40〜59%で0.90(0.71〜1.13)、60%以上で0.89(0.69〜1.13)。傾向の検定は有意でなかった。国立循環器病研究センター。著者は利益相反なしと開示
英国の約28万人(J Cachexia Sarcopenia Muscle 2021)UK Biobank の28万423人、追跡の中央値11.1年、死亡9,445人。家で1日に上る階数を本人が回答。6〜10階分で全死亡のハザード比0.91(0.85〜0.98)、心血管死亡は1.08(0.91〜1.29)で差なし。比較対象の肺がんでも同様の関連があり、ほかの要因の影響を受けやすいと著者が指摘。著者は利益相反なしと開示
ハーバード大学卒業生の追跡(Prev Med Rep 2019)男性8,874人(年齢の中央値65歳)、追跡の中央値12.4年、死亡4,063人。週10階分未満を基準に、週35階分以上で全死亡のハザード比0.84(0.78〜0.91)、心血管死亡は0.94(0.81〜1.09)で差なし。著者の1人は計測機器の企業から研究費を受けている
階段を上る比較試験(Appl Physiol Nutr Metab 2019・2024)2019年: 運動習慣のない若い大人24人、60段を全力で1日3回・週3日・6週間。最大酸素摂取量が対照組より高くなったが、上がり幅は小さい。2024年: 運動習慣のない若い大人42人(平均21.6歳)、126段を30秒全力で1日3回・週3日・6週間の組で最大酸素摂取量が7%上昇。40分の自転車こぎの組では有意な変化なし。著者は利益相反なしと開示
家とジムで階段を上る試験(Int J Environ Res Public Health 2021)運動習慣のない女性(平均31.7歳)を家(26人)またはジム(24人)での階段上りに割り付け、週5日・8週間。対照組に比べて最大酸素摂取量が1.63 mL/kg/分上昇、体重が0.99kg、LDLコレステロールが0.20 mmol/L低下。著者は利益相反なしと開示
出典
  1. Paddock S, et al. Evaluating the Impact of Stair Climbing on Cardiovascular Risk Reduction: A Systematic Review and Meta-analysis. Am J Cardiovasc Drugs. 2026. PMID 42587225
  2. Song Z, et al. Daily stair climbing, disease susceptibility, and risk of atherosclerotic cardiovascular disease: A prospective cohort study. Atherosclerosis. 2023. PMID 37813749
  3. Arafa A, et al. Stair climbing and the incidence of atherosclerotic cardiovascular disease: a population-based prospective cohort study. Environ Health Prev Med. 2023. PMID 37899207
  4. Sanchez-Lastra MA, et al. Stair climbing and mortality: a prospective cohort study from the UK Biobank. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2021. PMID 33543604
  5. Rey-Lopez JP, et al. Associations of self-reported stair climbing with all-cause and cardiovascular mortality: The Harvard Alumni Health Study. Prev Med Rep. 2019. PMID 31338282
  6. Jenkins EM, et al. Do stair climbing exercise "snacks" improve cardiorespiratory fitness? Appl Physiol Nutr Metab. 2019. PMID 30649897
  7. Yin M, et al. Exercise snacks are a time-efficient alternative to moderate-intensity continuous training for improving cardiorespiratory fitness but not maximal fat oxidation in inactive adults: a randomized controlled trial. Appl Physiol Nutr Metab. 2024. PMID 38569204
  8. Michael E, et al. Home-Based Stair Climbing as an Intervention for Disease Risk in Adult Females; A Controlled Study. Int J Environ Res Public Health. 2021. PMID 33445686
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

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山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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