寝室は何度がいい? 眠りやすい温度と湿度の目安
暑すぎる寝室は眠りを浅くすることが、世界の研究で繰り返し報告されています。では何度なら眠りやすいのか、湿度や冬の寒さはどうか、人を対象にした研究で分かっていることを整理しました。
- 暑い寝室では眠りが短く浅くなりやすいことが、世界の研究のまとめで報告されている
- 米国の高齢者の研究では、夜の寝室が20〜25℃のときに最もよく眠れていた
- 湿度は暑さと重なると負担が増す。冬は寝具で体を冷やさないことが前提になる
夜の寝室は、およそ20〜25℃がひとつの目安になりそうです。ただしこの数字は米国の高齢者を対象にした観察研究から出たもので、温度を変えて比べた試験で確かめたものではありません。
人は眠りに入るとき、体の内側の温度(深部体温。体の中心の温度のこと)が少し下がります。部屋が暑すぎると熱がうまく逃げず、この下がり方がじゃまされると考えられています。
暑い寝室は、眠りにどう影響する?
2024年に、系統的レビュー(多くの研究を決まった手順で集めて整理したもの)が発表されました。ふだんの暮らしの中で気温と眠りを測った、世界の研究をまとめたものです。屋外でも室内でも、温度が高いほど眠りの質と量が下がる傾向が見られたと報告しています。暑い季節や暑い地域、体の弱い人では、影響がより強く出ていました。
米国で62人の寝室を14日間測った研究もあります。寝室が暑い時間帯ほど、寝床にいる時間のうち実際に眠れていた割合が下がっていました。最も暑い5分の1の時間帯では、最も涼しい5分の1より3.4%低くなっていました。
実験室の研究もあります。日本の研究チームが若い男性7人を、温度と湿度を変えた部屋で眠らせました。35℃・湿度75%の部屋では、夜中に目が覚めている時間が増え、深い眠りとレム睡眠(夢を見ることが多い眠り)が減りました。
何度なら眠りやすい?
米国ボストンの研究チームは、地域で暮らす高齢者の寝室に温度計を置きました。腕につける睡眠計で、長い期間の眠りを記録しています。夜の寝室が20〜25℃のとき、眠りは最も効率よく、落ち着いていました。25℃から30℃に上がると、実際に眠れていた割合は5〜10%下がっていました。
オーストラリアでは、65歳以上の47人を一夏追った研究があります。寝室が24℃を超えると、眠っている間の心拍数が上がり、体を休める神経の働きが弱まる傾向が見られました。温度が高いほど、その傾向は強くなっていました。
一方で、ちょうどよい温度には個人差が大きいことも、ボストンの研究で報告されています。20〜25℃は「ここから始めて、自分に合う温度を探す」ための目安として使うのがよさそうです。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 暑い寝室で、眠りが短く・浅くなる(世界の研究のまとめ) | 根拠 初期 | そうなる傾向。暑い時期・地域、体の弱い人で強い |
| 夜の寝室が20〜25℃のとき(米国の高齢者) | 根拠 初期 | 最もよく眠れていた。個人差は大きい |
| 寝室が24℃を超えたとき(65歳以上47人) | 根拠 初期 | 睡眠中の心拍数が上がる傾向 |
| 蒸し暑さ(35℃・湿度75%、若い男性7人の実験) | 根拠 初期 | 目が覚める時間が増え、深い眠りが減った |
| 湿度だけの影響(62人・14日間) | 根拠 初期 | 眠れていた割合とは関係なし。眠気の感じ方とは関係 |
湿度と冬の寒さは、どう考える?
湿度は、暑さと重なったときに効いてきます。先ほどの日本の実験では、同じ35℃でも湿度50%より75%のほうがレム睡眠が減り、深部体温も下がりにくくなりました。蒸し暑い夜ほど、体は熱を逃がしにくくなります。
一方、先ほどの米国の62人の研究では、湿度と「眠れていた割合」には関係が見られませんでした。湿度が高いと、朝の眠気や「よく眠れなかった」という感じ方とは関係していました。湿度だけで何%がよいとは、まだ言えません。
冬の寒さについては、日本の研究者がこれまでの研究をまとめた解説があります。布団や寝間着を使うふだんの暮らしでは、寒さは眠りの深さそのものをあまり変えないとしています。ただし寒さは、心臓の働きを調節する神経には影響すると指摘し、もっと調べる必要があると書いています。冬は寝具で体を冷やさないことが、眠りを支える前提になります。
では、どうすればよいか
まずは寝室の温度を知ることから始められます。暑さで目が覚める夜が続くなら、冷房や除湿で少しずつ調整してみてください。
- 寝室に温度計と湿度計を置き、寝る前と明け方の数字を一度見てみる
- 暑い季節は20〜25℃を目安に、冷房で調整する。寝苦しければ少しずつ下げて、自分に合う温度を探す
- 蒸し暑い夜は、除湿も合わせて使う
- 寒い季節は、布団や寝間着で体を冷やさないようにする
- 暑さに関係なく眠れない日が続く、大きないびきや日中の強い眠気がある場合は、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 世界の研究のまとめ(Sleep Med Rev 2024) | 実生活の中で気温と、妥当性のある方法で測った睡眠を調べた研究の系統的レビュー。屋外・室内とも、温度が高いほど睡眠の質と量が低下する傾向。暑い月・日、弱い立場の人、暑い地域で影響が強い。暑さに速く慣れるという証拠は乏しい。主に観察研究のまとめ。著者は利益相反なしと開示 |
|---|---|
| 米国の高齢者の寝室(Sci Total Environ 2023) | 地域で暮らす高齢者を、腕の睡眠計と寝室の環境センサーで長期間追跡した縦断研究。夜の室温20〜25℃で睡眠効率が最も高く、25℃→30℃で睡眠効率が5〜10%低下。関係は直線的でなく、個人差が大きい。利益相反なし |
| オーストラリアの高齢者(BMC Med 2025) | 65歳以上47人を2024年12月〜2025年3月に追跡、有効な夜間1万4,179時間。24℃未満に比べ、心拍変動の臨床的に意味のある低下のオッズ比は24〜26℃で1.4、26〜28℃で2.0、28〜32℃で2.9。心拍数も上昇。観察研究。利益相反なし |
| 蒸し暑さの実験(Sleep 1999) | 健康な男性7人(平均22.7歳)を29℃・35℃×湿度50%・75%の4条件で、脳波を測りながら睡眠させた。35℃・75%で覚醒が増え、睡眠効率と深い睡眠が低下、レム睡眠も減少。直腸温が下がりにくかった |
| 米国62人の寝室環境(Sleep Health 2023) | 平均47.7歳の62人の寝室で14日間、微小粒子・温度・湿度・二酸化炭素・騒音を測定し、腕の活動量計で睡眠を記録。温度が最も高い5分の1では最も低い5分の1より睡眠効率が3.4%低い。湿度は睡眠効率と関係なし、主観的な眠気・睡眠の質の悪さとは関係。利益相反なし |
| 温度と眠りの解説(J Physiol Anthropol 2012) | 日本の研究者による総説。寝具・衣服を使う実生活では、暑さは覚醒を増やし深い睡眠とレム睡眠を減らす。湿度の高い暑さはさらに負担を増す。寒さは睡眠段階を変えないが、睡眠中の心臓の自律神経の反応に影響する |
- Chevance G, et al. A systematic review of ambient heat and sleep in a warming climate. Sleep Med Rev. 2024. PMID 38598988
- Baniassadi A, et al. Nighttime ambient temperature and sleep in community-dwelling older adults. Sci Total Environ. 2023. PMID 37474050
- O'Connor FK, et al. Effect of nighttime bedroom temperature on heart rate variability in older adults: an observational study. BMC Med. 2025. PMID 41462246
- Okamoto-Mizuno K, et al. Effects of humid heat exposure on human sleep stages and body temperature. Sleep. 1999. PMID 10505822
- Basner M, et al. Associations of bedroom PM2.5, CO2, temperature, humidity, and noise with sleep: An observational actigraphy study. Sleep Health. 2023. PMID 37076419
- Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm. J Physiol Anthropol. 2012. PMID 22738673
この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。












