たんぱく質は1日どれくらい? 40代からの筋肉と研究の結果
年齢とともに筋肉が落ちるので、たんぱく質を多めにとるとよいと言われます。1日どれくらいが目安で、増やすと筋肉は増えるのか。日本の基準と、比較試験のまとめから整理しました。
- 日本の推奨量は1日あたり男性60〜65g、女性50g。65歳以上は、食事のエネルギーの15〜20%をたんぱく質でとることが目標とされている
- 筋トレをしている人では、たんぱく質を増やすと筋肉の増え方が少し大きくなると、74の比較試験のまとめで報告されている
- 運動をしていない健康な高齢者では、たんぱく質を足しても、筋肉の量や筋力にはっきりした差は出ていない
- 1回の量や、朝食にとるかどうかといった違いでは、差は見られなかった
日本の基準では、たんぱく質の推奨量は1日あたり男性60〜65g、女性50gです。筋トレをしている人では、これより多めにとると筋肉の増え方が少し大きくなると報告されていますが、運動をしていない健康な高齢者では、増やしてもはっきりした差は出ていません。
1日に、どれくらいとればよいのか?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、たんぱく質の推奨量(ほとんどの人が足りる量)を定めています。男性は18〜64歳で1日65g、65歳以上で60gです。女性は18歳以上のどの年代も50gです。
あわせて、食事のエネルギーのうち、たんぱく質でとる割合の目標も示されています。50〜64歳は14〜20%、65歳以上は15〜20%で、若い世代より下限が高く設定されています。
欧州の老年医学の専門家による研究班(PROT-AGE)は2013年に、65歳を超える人には体重1kgあたり1日1.0〜1.2gを勧めました。体重60kgなら60〜72gです。運動している人は1.2g以上としています。年をとると、食べたたんぱく質から筋肉をつくる体の反応が弱まることなどを、多めに勧める理由に挙げています。一方、重い腎臓病の人は例外で、量を控える必要がある場合があるとしています。
多めにとると、筋肉は増えるのか?
2022年に、健康な大人を対象にした74の比較試験をまとめた解析が発表されました。多くは、筋トレをしながらたんぱく質を増やす試験です。筋トレをしている人では、たんぱく質を増やすと、筋肉を含む体の重さ(除脂肪量)の増え方が少し大きくなっていました。
差が出たのは、65歳以上では体重1kgあたり1日1.2〜1.59g、65歳未満では1.6g以上とっていた試験です。脚の筋力も、わずかに伸びが大きくなっていました。一方、握力への影響ははっきりせず、歩く・立ち上がるといった体の動きのテストへの影響はごくわずかでした。
高齢者でたんぱく質を足した試験は、どうだったのか?
2024年には、65歳以上を対象にした比較試験のまとめが出ました。地域で暮らす約3,200人分では、たんぱく質を足した組で筋肉の量がわずかに増えていました。1日30g以上か未満か、1日に何回とるか、朝食に足すかといった違いでは、差は見られませんでした。
2025年には、33のまとめ、441の研究を整理した報告も出ています。高齢者全体でも、健康な高齢者に限っても、たんぱく質を足して筋肉の量や筋力、体の動きがよくなるという結果は得られませんでした。持病のある高齢者では小さな改善が見られ、運動と組み合わせたときのほうが結果は確かでした。
2026年の米国の比較試験も、同じ方向の結果です。健康な65歳以上の128人に、たんぱく質を体重1kgあたり1日1.5gまで増やしてもらいました。参加者はもともと平均0.85gとっていました。24週間後、脚の筋肉の力、体の動き、筋肉の量のどれにも差はありませんでした。血液中の、筋肉づくりに関わる物質(IGF-1)の値は上がっていましたが、筋肉の測定値には表れていません。もともと推奨量程度をとっている健康な人では、さらに増やしても差が出にくい可能性があります。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 推奨量・目標量(日本人の食事摂取基準 2025年版) | 根拠 確立 | 男性60〜65g・女性50g。65歳以上はエネルギーの15〜20% |
| 筋トレ中にたんぱく質を増やすと、除脂肪量は増えるか(74の比較試験のまとめ) | 根拠 確立 | 少し大きく増える |
| 脚の筋力・体の動き(同じまとめ) | 根拠 有望 | 筋力はわずかに伸びる。体の動きへの影響はごくわずか |
| 地域で暮らす65歳以上にたんぱく質を足す(比較試験のまとめ) | 根拠 確立 | 筋肉の量がわずかに増加。量・回数・時間帯で差なし |
| 健康な高齢者の筋肉・筋力・体の動き(33のまとめの整理) | 根拠 確立 | はっきりした改善なし |
| 1日1.5gまで増やす(健康な65歳以上128人・24週の比較試験) | 根拠 有望 | 筋力・体の動き・筋肉の量に差なし |
では、どうすればよいか
まずは、ふだんの食事で推奨量に届いているかを確かめることが出発点です。研究の結果からは、たんぱく質だけを増やすより、筋トレなどの運動と組み合わせたときに差が出やすいと考えられます。腎臓の病気がある方や、健診で腎臓の数値を指摘された方は、量を変える前に医師に相談してください。
- 数日分の食事を振り返り、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を毎食とれているか確かめる
- たんぱく質を増やすなら、週2回ほどの筋トレと組み合わせる
- 食欲が落ちて体重が減ってきたときは、医師や管理栄養士に相談する
- 腎臓の病気がある方、健診で腎臓の数値を指摘された方は、たんぱく質の量を変える前に医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 日本人の食事摂取基準 2025年版(厚生労働省) | たんぱく質の推奨量(1日): 男性18〜64歳65g・65歳以上60g、女性18歳以上50g。目標量(エネルギー比): 18〜49歳13〜20%、50〜64歳14〜20%、65歳以上15〜20%。65歳以上で体が小さい人や活動量が大きく下がった人では下限が推奨量を下回る場合があるが、その場合も推奨量以上が望ましいと注記 |
|---|---|
| 74の比較試験のまとめ(J Cachexia Sarcopenia Muscle 2022) | 健康で肥満でない大人の比較試験74本。筋トレ中のたんぱく質増量で除脂肪量の増加が大きい(標準化平均差0.22、62試験、確かさ中等度)。65歳以上は1日1.2〜1.59g/kg、65歳未満は1.6g/kg以上で有意。下半身の筋力は1.6g/kg以上でわずかに向上(確かさ低)。握力は不明確、身体機能テストはごくわずか。PROSPERO登録。著者の一部が栄養食品企業の社員、乳業・食肉団体から謝礼・旅費を受領 |
| 65歳以上の比較試験のまとめ(Ageing Res Rev 2024) | 38論文。地域在住3,204人(平均74.6歳)で、たんぱく質の補給により筋肉量が増加(標準化平均差0.116)。1日30g以上か未満、1日の回数、時間帯(朝食・食間など)で差なし。入院・施設入所者のデータは限られる。専用の研究資金なし。著者の一部に栄養企業からの研究費・謝礼(本研究外) |
| 高齢者のたんぱく質補給のまとめの整理(Age Ageing 2025) | 33のメタ解析・441研究。高齢者全体・健康な高齢者では、筋肉量・筋力・身体機能の改善なし。持病のある高齢者では少なくとも小さな筋肉量・筋力の増加(確かさ中等度)、運動との併用でより確か。大腿骨骨折で入院した患者では合併症が減少。利益相反なし |
| 米国の比較試験(Am J Clin Nutr 2026) | 健康な65歳以上128人(平均74歳)、もとの摂取量は平均0.85g/kg。乳由来のたんぱく質で1日1.5g/kgに増やすかどうかと、別の成分の有無を組み合わせた2×2の割り付け、24週。主要評価項目の脚の筋パワーに差なし(差4.7ワット、p=0.72)。身体機能・筋肉量も差なし。血中IGF-1は上昇。登録: NCT04048616。著者の1人に企業との関係を開示 |
| PROT-AGE(J Am Med Dir Assoc 2013) | 欧州老年医学会などによる国際研究班の提言。65歳超は1日1.0〜1.2g/kg、運動している人は1.2g/kg以上、急性・慢性の病気がある人の多くは1.2〜1.5g/kg。透析をしていない重い腎臓病(eGFR 30未満)の人は例外で、制限が必要な場合がある。質やとる時間の勧めには根拠が不十分 |
- Nunes EA, et al. Systematic review and meta-analysis of protein intake to support muscle mass and function in healthy adults. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2022. PMID 35187864
- Hettiarachchi J, et al. The effect of dose, frequency, and timing of protein supplementation on muscle mass in older adults: A systematic review and meta-analysis. Ageing Res Rev. 2024. PMID 38830547
- Obasi AA, et al. Effects of supplemental protein in older people: an overview of meta-analyses. Age Ageing. 2025. PMID 41385355
- Ceglia L, et al. Independent effects of whey protein and alkali supplementation on muscle health in healthy older adults: factorial randomized controlled trial. Am J Clin Nutr. 2026. PMID 41780731
- Bauer J, et al. Evidence-based recommendations for optimal dietary protein intake in older people: a position paper from the PROT-AGE Study Group. J Am Med Dir Assoc. 2013. PMID 23867520
- 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 たんぱく質. リンク
この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。












