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老眼はなぜ起きる? 何歳から始まり、どう付き合うか

スマートフォンの文字を少し離して読むようになった。40代になると、多くの方が手元の見えにくさに気づきます。目の中で何が起きているのか、何歳ごろから進むのか、眼鏡や手術について分かっていることを整理しました。

根拠 有望4分で読めます公開 2026.10.18更新 2026.10.18
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • ピントを合わせる水晶体が年齢とともに硬くなることが、老眼の主な原因の一つと考えられている
  • 日本人3,000人の調査では、近く用に必要な度数は40代で1.21D、50代で2.16D、60代で2.72Dと、年代ごとに強くなっていた
  • インドの751人の比較試験では、近く用の眼鏡を受け取った組で、手元の作業の量が約22%多く増えた
  • 老眼の手術どうしを比べた比較試験は4本しかなく、根拠の確かさは低いとされている

老眼は、目の中のレンズにあたる水晶体が年齢とともに硬くなり、近くにピントを合わせにくくなることで起きると考えられています。日本人3,000人の調査では、40代から近く用の度数が必要になり始め、50代、60代と強くなっていました。

老眼のとき、目の中では何が起きている?

目は、水晶体(瞳の奥にある透明なレンズ)の厚みを変えてピントを合わせています。近くを見るときは、水晶体のまわりの筋肉が縮み、水晶体がふくらんで厚くなります。この働きを調節(ピントを合わせる力)と呼びます。

オーストラリアの研究チームは、提供された14〜78歳の方の水晶体を使い、硬さを部分ごとに測りました。水晶体の中心部は、この年齢の幅で平均約450倍硬くなっていました。変化が大きかったのは20〜60歳の間です。外側の部分も約20倍硬くなっていました。

中心部は近くを見るときに大きく形を変える必要があるため、硬くなると調節の力が弱まると研究チームは考えています。ただし論文の結論は「主な原因の一つである可能性が高い」という書き方にとどめています。

何歳ごろから始まり、どう進む?

慶應義塾大学の研究チームは、40〜69歳の健康な日本人3,000人について、近くを見るのに必要な度数を調べました。加入度数(遠く用の度数に足す、近く用の度数。単位はD)と呼ばれる値です。

平均の加入度数は、40代で1.21D、50代で2.16D、60代で2.72Dでした。40代から必要になり始め、50代で大きく増えています。論文は、老眼が40〜55歳の間に速く進み、55歳ごろには調節の力がほぼ失われると説明しています。

老眼は、年齢を重ねれば誰にでも起きる変化です。世界の研究をまとめた解析では、2015年に老眼のある人は世界で約18億人、人口の25%と推定されています。

眼鏡で補うと、何が変わる?

同じ解析では、約18億人のうち約8億2,600万人が、眼鏡がない、または合っていないために、近くが見えにくい状態にありました。老眼に合った眼鏡を使えていない人の割合は、世界全体で45%と推定されています。

近く用の眼鏡の影響を、比較試験(くじ引きで組を分けて比べる試験)で調べた研究があります。インドの茶畑で働く40歳以上の751人を、すぐに眼鏡を受け取る組と、試験の終わりに受け取る組に分けました。参加者の給料は、摘んだ茶葉の量で決まる仕組みです。

約11週間で、眼鏡を受け取った組では、1日に摘む茶葉の量が25.0kgから34.8kgに増えました。もう片方の組の増え方と比べた差は1日5.25kgで、約22%にあたります。手元の作業が多い仕事での結果なので、日本の暮らしにそのまま当てはまるとは限りません。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
水晶体は年齢とともに硬くなるか(14〜78歳の水晶体の測定)根拠 初期中心部が平均約450倍硬くなった。老眼の主な原因の一つと考えられている
近く用に必要な度数は年代で変わるか(日本人3,000人の調査)根拠 初期40代1.21D、50代2.16D、60代2.72D
世界で老眼のある人の数(研究のまとめ)根拠 確立2015年に約18億人・人口の25%。45%は合った眼鏡がない
近く用の眼鏡で手元の作業は変わるか(インドの751人の比較試験)根拠 有望作業量の増え方が約22%大きかった
老眼の手術どうしの比較(4試験・300人のまとめ)根拠 初期方法の間ではっきりした差はない。根拠の確かさは低い

老眼の手術は、どこまで分かっている?

老眼の手術にはいくつかの方法がありますが、どれがよいかの根拠はまだ限られています。2025年に、コクラン・レビュー(比較試験を集めて質を評価する国際的なまとめ)が、老眼の手術どうしを比べた試験を集めました。

条件に合ったのは4つの試験、300人分だけでした。どの比較も試験は1つずつで、追跡は長くても6か月です。眼鏡なしで近くが見える割合などに、方法の間ではっきりした差は見られませんでした。根拠の確かさは「低い」か「非常に低い」とされ、暮らしの質や1年以上先の結果は報告されていません。

手術を考える場合は、眼科で目の状態を詳しく調べてもらったうえで、利点と不利な点を医師と相談することになります。

まだ分かっていないこと老眼の仕組みの細部には、研究者の間でまだ議論があります。水晶体が硬くなる研究は提供された眼球を測ったもので、生きている人の目で同じ変化がどう進むかは別に確かめる必要があります。日本人3,000人の調査は、年代の違う人を一度に比べたもので、同じ人を何年も追ったものではありません。インドの比較試験は、茶畑で働く人を対象にした約11週間の結果で、参加者は自分が眼鏡を受け取ったかを知っていました。資金は視力の改善に取り組む団体から出ており、著者には眼鏡を届ける非営利団体の職員も含まれています。手術の比較試験は少なく、どれも事前の登録がなく、追跡は6か月までです。老眼の進み方を遅らせる方法は、今回の出典の範囲では確かめられていません。

では、どうすればよいか

今回調べた範囲では、老眼の進み方を遅らせる方法を比較試験で確かめた研究は見つかりませんでした。近くが見えにくくなったら、無理に我慢せず、眼科で目を調べてもらい、合った眼鏡を使うことが、現時点で根拠のはっきりした付き合い方です。

今日からできること
  • 手元の文字を離して読む、暗い場所で読みにくいなど、見え方の変化に気づいたら書き留めておく
  • 近くが見えにくくなったら、眼科で目の状態を調べてもらい、合った度数の眼鏡を作る
  • 市販の老眼鏡を使う場合も、一度は眼科で目の病気がないかを確かめる
  • 片目だけ見えにくい、急に見え方が変わったなどのときは、老眼と決めつけず早めに眼科を受診する
  • 手術を考えるときは、眼科で利点と不利な点を医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
水晶体の硬さと年齢(Mol Vis 2004)オーストラリア。14〜78歳の提供された水晶体を、専用の装置で1mmごとに測定。中心部の硬さは平均約450倍、外側は約20倍に増加。変化が最も大きいのは20〜60歳。30歳未満では中心部が外側より柔らかく、30歳以上では逆転。中心部の水分量は13〜82歳で変化なし
日本人3,000人の年代別の加入度数(Clin Exp Optom 2026)慶應義塾大学。40〜69歳の健康な3,000人を年代別に比較した横断研究。平均の加入度数は40代1.21±0.66D、50代2.16±0.59D、60代2.72±0.44D。40〜50代では年齢・乱視・網膜の厚さなど、60代では涙の安定性などが加入度数と関連
世界の老眼の有病率(Ophthalmology 2018)系統的レビュー・メタ解析とモデルによる推定。2015年の老眼は約18億人(有病率25%、95%信頼区間23〜27%)。うち約8億2,600万人が矯正なし・不十分で近見障害。矯正の不足は45%。農村部・医療費の少ない国ほど不足が大きい
PROSPER(Lancet Glob Health 2018)インド・アッサム州の茶摘み作業者で40歳以上、近見視力が低下し眼鏡で矯正できる751人。眼鏡をすぐ配る組(376人)と試験終了時に配る組(375人)に割り付け。主要評価項目(1日の摘み取り量の変化)は、配った組で25.0→34.8kg、もう片方で26.0→30.6kg、差5.25kg/日(相対21.7%、p<0.0001)。評価者は割り付けを知らない設計。眼鏡の使用率は終了時84.5%。資金: Clearly。登録: NCT03228199
老眼の手術のコクラン・レビュー(Cochrane Database Syst Rev 2025)比較試験4本・300人(600眼)、平均年齢46〜58歳、白内障なし。各比較は試験1本のみで、メタ解析はできず。6か月時点で、近くを眼鏡なしで見られる割合に方法間の明らかな差なし(低い確実性)。12か月以上の結果・経済評価なし。事前登録された試験なし。資金: 米国国立眼研究所ほか。著者の一部に企業からの謝礼・研究費の開示あり
出典
  1. Heys KR, et al. Massive increase in the stiffness of the human lens nucleus with age: the basis for presbyopia? Mol Vis. 2004. PMID 15616482
  2. Ayaki M, et al. Presbyopia and associated factors specific to age groups. Clin Exp Optom. 2026. PMID 39938940
  3. Fricke TR, et al. Global Prevalence of Presbyopia and Vision Impairment from Uncorrected Presbyopia: Systematic Review, Meta-analysis, and Modelling. Ophthalmology. 2018. PMID 29753495
  4. Reddy PA, et al. Effect of providing near glasses on productivity among rural Indian tea workers with presbyopia (PROSPER): a randomised trial. Lancet Glob Health. 2018. PMID 30049615
  5. Alvarado-Villacorta R, et al. Surgical interventions for presbyopia. Cochrane Database Syst Rev. 2025. PMID 40226888
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ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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