食物繊維をとる人は長生き? 量の目安と研究で分かっていること
食物繊維をよくとる人ほど、その後に亡くなる割合が低いことが、日本を含む世界の調査で報告されています。どれくらいとればよいのか、日本人は実際にどれくらいとれているのかを、研究と国の基準から整理しました。
- 食物繊維を多くとる人ほど、追跡中に亡くなる割合が2割前後低いという関連が、世界の多くの調査で見られている
- 日本人約9万3,000人の研究でも同じ傾向で、関連が見られたのは果物・豆・野菜からとる食物繊維だった
- 国の目標量は30〜64歳で男性22g以上・女性18g以上。実際の摂取量はこれよりかなり少ない
- 寿命との関係は観察研究から分かったもので、増やせば長生きすると確かめた試験はない
食物繊維を多くとる人ほど、追跡中に亡くなる割合が2割前後低いことが、日本を含む世界の多くの調査で報告されています。ただし、これは観察研究から分かった関連で、食物繊維を増やせば寿命がのびると確かめた試験はありません。
どれくらいの差が見られた?
世界保健機関(WHO)が炭水化物の指針で採用した解析が、2019年に発表されています。185の追跡研究と58の比較試験をまとめたものです。食物繊維を最も多くとる人は、最も少ない人に比べ、亡くなる割合や心臓・血管の病気で亡くなる割合、脳卒中や2型糖尿病になる割合などが15〜30%低くなっていました。
この解析の研究チームは、追跡研究と比較試験の結果が互いに食い違わないこと、量が多いほど割合が下がる関係がはっきりしていることから、関係が因果である可能性があるとしています。根拠の確実性は「中等度」と評価されました。ただし、対象は持病のない人たちです。
2023年には、64の研究、合わせて約351万人をまとめた解析も出ています。食物繊維を多くとる人は、亡くなる割合が23%低く、心臓や血管の病気で亡くなる割合は26%低くなっていました。
2025年には、こうした解析33本、約1,716万人分をさらにまとめた研究も発表されました。調べられた38の健康上の結果のうち76%で、食物繊維が多いほど病気の割合が低いという関連が見られました。確からしさが最も高い区分に入ったのは、心臓や血管の病気で亡くなる割合などで、亡くなる割合全体はその次の区分でした。研究チームは、世界的に見ても摂取量は推奨される量を下回っていると指摘しています。
日本人でも同じ?
日本の多目的コホート研究(JPHC研究)では、45〜74歳の約9万3,000人を平均16.8年追跡しました。食物繊維の摂取量で5つの組に分けると、最も多い組は最も少ない組に比べ、亡くなる割合が男性で23%、女性で18%低くなっていました。心臓や血管の病気、呼吸器の病気、けがで亡くなる割合も、男女とも低くなっていました。
この研究では、果物・豆・野菜からとる食物繊維で関連が見られ、穀類からとる食物繊維では見られませんでした。
どれくらいとればよい?
2019年の解析では、1日25〜29gのときに、さまざまな病気の割合が最も低くなっていました。それより多いと、さらに低くなる可能性も示されています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、少なくとも1日25gとるのが望ましいとしたうえで、目標量を30〜64歳の男性で1日22g以上、女性で18g以上としています。65〜74歳は男性21g以上・女性18g以上、75歳以上は男性20g以上・女性17g以上です。
目標量が25gより低いのは、日本人の摂取量が少ないためです。基準が参照した2018・2019年の国民健康・栄養調査では、1日の摂取量の中央値は30〜49歳の男性で12.5g、女性で11.5gでした。65〜74歳でも男女とも16g台です。25gを目標にしても実現は難しいとして、今の摂取量の中央値と25gの中間の値をもとに目標量が決められています。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 食物繊維を最も多くとる人の、亡くなる割合(185研究のまとめ) | 根拠 初期 | 最も少ない人より15〜30%低い |
| 64研究・約351万人のまとめ(2023年) | 根拠 初期 | 亡くなる割合が23%、心臓・血管の病気で亡くなる割合が26%低い |
| 33の解析・約1,716万人分の総まとめ(2025年) | 根拠 初期 | 38の結果のうち76%で関連。確からしさが最も高い区分は心臓・血管の病気で亡くなる割合など |
| 日本人約9万3,000人・平均16.8年(JPHC研究) | 根拠 初期 | 男性23%・女性18%低い。果物・豆・野菜からとる食物繊維で関連 |
| 食物繊維を増やしたときの体重・血圧・コレステロール(比較試験のまとめ) | 根拠 確立 | いずれも低くなった |
比較試験で分かっていることは?
寿命そのものを比べた試験はありませんが、体の数値への影響は比較試験で調べられています。2019年の解析では、食物繊維を多くとる組で、体重、上の血圧(収縮期血圧)、総コレステロールが低くなっていました。
食事摂取基準は、目標量のもとになった研究の多くが食品からとる食物繊維を調べたものだと説明しています。サプリメントで同じ量をとっても、同じ健康上の利益が得られるという保証はない、としています。
では、どうすればよいか
まずは今の量に、1日数gを足すことから考えられます。日本の研究で関連が見られた野菜・豆・果物を、ふだんの食事に1品ずつ加える方法が取り入れやすいでしょう。
- 食品の栄養成分表示などで、ふだんの食物繊維の量を一度確かめてみる
- 野菜・豆・果物を、1日の食事に1品ずつ足してみる
- サプリメントで補う前に、まず食品からとることを考える
- 持病があり食事の指導を受けている方、お腹の調子が気になる方は、増やす前に医師や管理栄養士に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 炭水化物の質のまとめ(Lancet 2019) | 前向き研究185本(約1億3,500万人年)と比較試験58本(成人4,635人)の系統的レビュー・メタ解析。最も多くとる群で全死亡・心血管死・冠動脈疾患・脳卒中・2型糖尿病・大腸がんが15〜30%低い。試験では体重・収縮期血圧・総コレステロールが低下。1日25〜29gで低下が最大。確実性は中等度。慢性疾患のある人は対象外。資金: ニュージーランド保健研究評議会・WHO ほか |
|---|---|
| 64研究のまとめ(Clin Nutr 2024) | 前向きコホート研究64本、351万2,828人(2022年10月まで)。多くとる人で全死亡0.77・心血管死0.74・がんによる死亡0.78。不溶性食物繊維で関連が強い傾向。利益相反なし |
| 総まとめ(Clin Nutr 2025) | 観察研究のメタ解析33本、38の結果、1,715万5,277人。76%で有意な逆の関連。最も確からしい区分は心血管死など3項目、次の区分は全死亡・心血管疾患など4項目。方法の質が高い解析は6本。著者1人に企業からの報酬の開示あり |
| JPHC研究(Am J Clin Nutr 2020) | 45〜74歳9万2,924人(男性4万2,754人・女性5万170人)、平均16.8年、死亡1万9,400人。最も多い5分の1は最も少ない5分の1に比べ、全死亡が男性0.77・女性0.82。心血管・呼吸器の病気・けがによる死亡も低い。果物・豆・野菜からとる食物繊維で関連、穀類からとる食物繊維ではなし |
| 日本人の食事摂取基準(2025年版) | 目標量は、2018・2019年の国民健康・栄養調査の成人の摂取量の中央値(13.3g)と25gの中間値(19.2g)を体重で調整して算出。サプリメントで同量をとっても同じ利益の保証はないと記載。食品成分表(八訂)の測定法では値が高く出るため、その場合は成人で25gを目安にするのも1つの方法としている |
- Reynolds A, et al. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. Lancet. 2019. PMID 30638909
- Ramezani F, et al. Dietary fiber intake and all-cause and cause-specific mortality: An updated systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. Clin Nutr. 2024. PMID 38011755
- Veronese N, et al. The impact of dietary fiber consumption on human health: An umbrella review of evidence from 17,155,277 individuals. Clin Nutr. 2025. PMID 40651334
- Katagiri R, et al. Dietary fiber intake and total and cause-specific mortality: the Japan Public Health Center-based prospective study. Am J Clin Nutr. 2020. PMID 31990973
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書 炭水化物(食物繊維). 2024. リンク
この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。












