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脳トレで頭の働きは保てる? 比較試験のまとめと20年の追跡で分かったこと

パズルやアプリの脳トレは、年を重ねても頭の働きを保ちたい人に身近な方法です。認知機能に問題のない高齢者の比較試験と、20年にわたる追跡の結果から、分かっていることと分かっていないことを整理しました。

根拠 有望5分で読めます公開 2026.10.20更新 2026.10.20
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 109の比較試験のまとめでは、脳トレで認知機能のテストの成績が少し上がっていた
  • 成績が上がるのは主に練習した課題で、日常生活の力まで広がる根拠はわずか
  • 米国の試験では、処理の速さの練習と追加の練習を受けた人で、20年間に認知症と診断される割合が低かった。参加者の一部を分けて見た結果
  • 運動と脳トレを組み合わせた組で、差が最も大きかった

パズルやアプリなどの脳トレを続けると、認知機能のテストの成績が少し上がることは、比較試験のまとめで報告されています。ただし、練習したこと以外の力や日々の暮らしにまで広がるか、長く続くかは、まだはっきりしていません。

脳トレで、テストの成績は上がる?

ここでいう脳トレは、記憶や注意、処理の速さを使う課題を、くり返し練習する方法です。研究では認知トレーニングと呼ばれ、紙の課題もパソコンやスマホの課題も含みます。

2025年に、認知機能に問題のない高齢者を対象にした比較試験(くじ引きで組を分けて比べる試験)のまとめが発表されました。109の試験、2万3,010人分です。健康について学ぶ教室に通った組と比べると、脳トレだけの組でも、認知機能全体の成績が上がっていました(差の大きさ0.21)。研究の分野では、0.2前後を小さい差とみなすことが多い数値です。

最も差が大きかったのは、運動と脳トレを組み合わせた組で、0.26でした。食事や運動など4つを組み合わせた組は0.14で、組み合わせる数が多いほど差が大きくなるわけではありませんでした。一方、試験の40%は結果に偏りが入る危険が高いと判定されています。

市販のゲームやアプリでも、同じ結果になる?

2020年には、60歳以上で認知機能に問題のない人が、市販の脳トレゲームを使った試験のまとめが出ています。16の試験、1,543人分です。処理の速さ(0.40)や、覚えながら考える力(0.21)などの成績が上がっていました。注意や、形や位置をとらえる力では、差は見られませんでした。

パソコンの脳トレを12週以上続けた65歳以上の試験を集めた、別のまとめ(2020年)もあります。8つの試験、1,183人分です。終わった直後は、認知機能全体の成績がわずかに上がっていましたが、12か月後まで続いたかははっきりしませんでした。根拠の確かさは「低い」と判定されています。

練習した課題のほかにも、力は広がる?

脳トレの研究で最も議論されているのが、この点です。2016年に米国の心理学者たちが、脳トレの会社が根拠として挙げていた研究を検討しました。練習した課題そのものの成績が上がることには、多くの根拠がありました。一方、似た課題では根拠が少なくなり、かけ離れた課題や日常生活の力が上がる根拠はわずかでした。試験の設計や分析に大きな問題のある研究が多かったことも、指摘されています。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
脳トレで認知機能全体の成績は上がるか(109試験のまとめ)根拠 有望健康教室の組より0.21高い。運動と組み合わせると0.26
市販の脳トレゲームで成績は上がるか(16試験のまとめ)根拠 有望処理の速さ0.40など。注意などでは差なし
12週以上のパソコンの脳トレの効果は続くか(8試験のまとめ)根拠 初期直後はわずかに向上。12か月後ははっきりしない。根拠の確かさは低い
日常生活の力は保たれるか(2,832人の比較試験・10年)根拠 有望日常の動作に困る度合いが小さい。本人の答えによる評価
認知症と診断される割合は下がるか(同じ試験の20年の分析)根拠 初期処理の速さの練習と追加の練習を受けた人で25%低い。参加者の一部の結果

長く追いかけた試験では、どうだった?

米国の6都市で、自宅で自立して暮らす2,832人(平均73.6歳)が参加した試験(ACTIVE)があります。記憶、推論、処理の速さのどれかを練習する3つの組と、何もしない組に分けました。練習は10回で、一部の人は1年後と3年後に追加の練習を受けています。

10年後、練習した3つの組はどれも、買い物や家計の管理などの日常の動作に「困る」と答える度合いが、何もしない組より小さくなっていました。ただし、本人の答えによる評価です。推論と処理の速さの組では、練習した力の成績が10年後も保たれていましたが、記憶の組では保たれていませんでした。

2026年には、このうち2,021人を公的医療保険の記録と20年分つなげた分析が出ました。処理の速さを練習し、追加の練習も1回以上受けた人では、認知症と診断される割合が25%低くなっていました。追加の練習を受けなかった人や、記憶と推論の組では、差はありませんでした。

まだ分かっていないことまとめで示された成績の差は小さく、日常生活の違いにつながるかは分かっていません。脳トレの試験では、参加者が自分がどの組かを知っているため、結果に偏りが入る余地があり、109試験のまとめでも40%の試験で偏りの危険が高いと判定され、成果の出た試験ほど発表されやすい傾向も示されています。効果が長く続くかは、12か月後の結果を調べた試験が1つしかなく、はっきりしません。20年の分析は、追加の練習を受けた人に限った結果で、診断は保険の記録に基づいています。また、共著者の1人は、試験で使われた処理の速さの練習ソフトを販売する会社の顧問で、株も持っていることを開示しています。どの課題を、どれだけの頻度で続ければよいかは分かっていません。今回の資料には、日本人を対象にした大規模な試験はありません。

では、どうすればよいか

脳トレは、続けると練習した力の成績が上がる可能性がある方法です。一方で、それだけで頭の働き全体が保たれると言える根拠はまだありません。楽しんで続けられる範囲で取り入れ、運動など、ほかの習慣と組み合わせて考えるのが現実的です。

今日からできること
  • 脳トレは、楽しんで続けられるものを選ぶ。成績が上がるのは主に練習した課題であることを知っておく
  • 脳トレだけにせず、歩く・筋トレなどの運動と組み合わせる。まとめでは組み合わせた組で差が最も大きかった
  • 1日の大半をパズルやアプリに使うなど、ほかの活動や睡眠の時間を削ってまで続けない
  • 物忘れが気になるときは、脳トレで様子を見るだけにせず、医療機関で相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
生活習慣の見直しのまとめ(Lancet Healthy Longev 2025)認知機能に問題のない高齢者の比較試験109本、2万3,010人。健康教室と比べ、運動+脳トレ0.26、脳トレのみ0.21、4つの組み合わせ0.14。40%の試験で偏りの危険が高い。資金なし。責任著者は製薬企業などからの報酬を開示
市販の脳トレゲームのまとめ(Sci Rep 2020)60歳以上で認知機能に問題のない人の比較試験16本、1,543人。処理の速さ0.40、覚えながら考える力0.21、実行機能0.21、言葉の記憶0.12。注意・形や位置の力は差なし。著者の1人は試験と別の企業からの報酬を開示
パソコンの脳トレ12週以上のまとめ(Cochrane 2020)65歳以上の比較試験8本、1,183人。直後の認知機能全体はわずかに向上(2試験、232人)。12か月後は不明(1試験、77人)。記憶の成績はほぼ差なし。根拠の確かさは低い〜非常に低い
脳トレの根拠の検討(Psychol Sci Public Interest 2016)脳トレ企業が挙げた研究を検討。練習した課題の向上には多くの根拠、かけ離れた課題や日常の力の向上には根拠がわずか。設計・分析に問題のある研究が多い
ACTIVE 10年の結果(J Am Geriatr Soc 2014)米国6都市の2,832人、平均73.6歳。記憶・推論・処理の速さの練習10回と追加の練習。10年後、3つの組とも日常の動作に困る度合いが小さい(本人の答え)。推論と処理の速さの成績は維持、記憶は維持されず
ACTIVE 20年の分析(Alzheimers Dement (N Y) 2026)保険の記録とつなげた2,021人。処理の速さの練習+追加の練習1回以上で、認知症と診断される割合が25%低い。追加の練習なし・記憶・推論の組は差なし。共著者1人が練習ソフトの販売会社の顧問・株主
出典
  1. Mendes AJ, et al. Single-domain and multidomain lifestyle interventions for the prevention of cognitive decline in older adults who are cognitively unimpaired: a systematic review and network meta-analysis. Lancet Healthy Longev. 2025. PMID 41016407
  2. Bonnechère B, et al. The use of commercial computerised cognitive games in older adults: a meta-analysis. Sci Rep. 2020. PMID 32943742
  3. Gates NJ, et al. Computerised cognitive training for 12 or more weeks for maintaining cognitive function in cognitively healthy people in late life. Cochrane Database Syst Rev. 2020. PMID 32104914
  4. Simons DJ, et al. Do "Brain-Training" Programs Work? Psychol Sci Public Interest. 2016. PMID 27697851
  5. Rebok GW, et al. Ten-year effects of the advanced cognitive training for independent and vital elderly cognitive training trial on cognition and everyday functioning in older adults. J Am Geriatr Soc. 2014. PMID 24417410
  6. Coe NB, et al. Impact of cognitive training on claims-based diagnosed dementia over 20 years: evidence from the ACTIVE study. Alzheimers Dement (N Y). 2026. PMID 41669119
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ReverseAging.Tech をつくる人

加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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