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健診の血糖値とHbA1c、どこからが高い? 境界型の読み方と研究

健康診断の結果票に並ぶ空腹時血糖とHbA1c。それぞれが何を表し、どこからが「高い」のか。日本糖尿病学会の基準と、日本人を含む追跡研究・比較試験のまとめをもとに、読み方を整理しました。

根拠 確立5分で読めます公開 2026.10.20更新 2026.10.20
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 日本糖尿病学会の基準では、空腹時血糖126mg/dL以上かHbA1c6.5%以上が「糖尿病型」。空腹時血糖110mg/dL未満が正常型で、その間が境界型
  • HbA1c6.0〜6.4%は糖尿病の疑いを否定できない範囲、5.6〜5.9%も含めて将来の糖尿病の危険が高い集まりとされている
  • 日本人6,241人の追跡では、空腹時血糖とHbA1cの両方が高めの人は、糖尿病になる危険が約32倍だった
  • 前糖尿病の人の44の比較試験のまとめでは、食事や運動で体重を減らすと、糖尿病になる人が100人あたり8人少なかった

健診の血糖の数字は、日本糖尿病学会の基準では、空腹時血糖126mg/dL以上かHbA1c6.5%以上が「糖尿病型」です。その手前の範囲でも、将来の糖尿病や心臓・血管の病気が増えることが、追跡研究のまとめで報告されています。

空腹時血糖とHbA1cは、何を表している?

空腹時血糖は、食事をとらずに採血したときの、血液中のぶどう糖の濃さです。採血したその時点の値なので、前の日の食事や睡眠で上下します。

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は、赤血球の中のたんぱく質に、ぶどう糖がどれだけ結びついているかの割合です。過去1〜2か月ほどの血糖の平均を映すとされ、採血の直前に食事をしても大きくは変わりません。

どこからが「高い」の?

日本糖尿病学会の委員会報告では、空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c6.5%以上のどちらかに当てはまると「糖尿病型」とされます。空腹時血糖110mg/dL未満は「正常型」で、その間は「境界型」です。

HbA1cについては、6.0〜6.4%は糖尿病の疑いを否定できない範囲、5.6〜5.9%も含めると将来糖尿病になる危険が高い集まりとされています。境界型の人は、糖尿病に特有の合併症は少ないものの、動脈硬化の危険は正常型より高いと書かれています。

なお、1回の検査で糖尿病型でも、それだけで糖尿病とは決まりません。別の日にもう一度調べて確かめるのが原則で、HbA1cだけを2回測っても診断はできないとされています。

米国の基準はもう少し低い値から区切っています。2023年に医学誌JAMAに出た総説では、空腹時血糖100〜125mg/dL、またはHbA1c5.7〜6.4%を「前糖尿病」(糖尿病の手前の状態)としています。米国では、前糖尿病の人の約10%が毎年糖尿病になると紹介されています。

日本人の健診では、どんな結果が出ている?

東京の虎の門病院で健診を受けた、糖尿病のない6,241人を平均4.7年追った研究があります。空腹時血糖が100〜125mg/dLの人、HbA1cが5.7〜6.4%の人は、どちらも正常の人に比べて、糖尿病になる危険が約6倍でした。

両方が高めだった人では、危険は約32倍に上がっていました。一方、HbA1cだけで調べると、空腹時血糖とあわせて見つかる人の6割を見逃していました。研究チームは、2つの検査をあわせて見ることを勧めています。

糖尿病の手前でも、体への影響はある?

2020年に、129の研究、約1,000万人分をまとめた解析が英国の医学誌BMJに出ました。一般の人では、前糖尿病の人は正常の人に比べて、追跡中に亡くなる危険が13%、心臓や血管の病気の危険が15%高くなっていました。

差を人数で表すと、1万人を1年追うごとに、亡くなる人が約7人多い計算です。1人ひとりにとっては小さな差ですが、数十年続く状態であることを考えると、軽く見てよい数字ではありません。

米国の約1万1,000人を追った研究では、HbA1cが5.5%未満の人に比べ、6.0〜6.4%の人は心臓の病気の危険が約1.8倍でした。ただし、どちらも観察研究で、血糖そのものが原因だとまでは言えません。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
空腹時血糖・HbA1cの判定の区分根拠 確立日本糖尿病学会の委員会報告に明記
空腹時血糖・HbA1cが高めの日本人は糖尿病になりやすいか(6,241人の追跡)根拠 初期どちらか一方で約6倍、両方で約32倍
前糖尿病の人は、亡くなる危険や心臓・血管の病気が多いか(129研究のまとめ)根拠 初期それぞれ13%・15%高い
HbA1cが高めだと心臓の病気が増えるか(米国の約1万1,000人の追跡)根拠 初期6.0〜6.4%で約1.8倍
食事や運動で体重を減らすと、糖尿病になる人は減るか(44試験のまとめ)根拠 確立100人あたり8人少ない。正常に戻る人は11人多い

境界型と言われたら、何が分かっている?

前糖尿病の人を対象にした44の比較試験、1万4,742人分をまとめた解析が、2024年に発表されました。食事や運動で体重を減らす取り組みを、中央値で2年続けた試験です。

取り組んだ組では、100人あたり8人、糖尿病になる人が少なくなっていました。正常の範囲に戻った人は、100人あたり11人多くなりました。体重の減り方は1〜9%で、減った分が大きいほど結果がよい、直線的な関係が見られています。食事だけ、運動だけ、両方の組み合わせのどれでも、はっきりした違いはありませんでした。

まだ分かっていないこと前糖尿病と病気や死亡との関係は、追跡研究のまとめによるもので、血糖が高めであること自体が原因だとまでは言えません。体重や血圧、運動の習慣など、ほかの違いの影響が残っている可能性があります。日本と米国では「境界」の区切り方が違い、どの値から手を打つのがよいかには議論があります。体重を減らす取り組みの比較試験は中央値2年で、その後も効果が続くか、心臓や血管の病気が減るかまでは、このまとめでは確かめられていません。また、HbA1cは貧血など血液の状態で実際の血糖とずれることがあると知られており、1回の数字だけで判断しないことが大切です。

では、どうすればよいか

健診の結果票で、空腹時血糖とHbA1cの両方を確かめてください。毎年の数字を並べて、上がり続けていないかを見ることも役立ちます。糖尿病型や、その手前の範囲に入っていれば、医療機関や保健師に相談しましょう。

今日からできること
  • 健診の結果票で、空腹時血糖とHbA1cの両方を基準に当てはめる。採血が空腹時だったかどうかも確かめる
  • 毎年の結果を並べて、数字が上がり続けていないかを見る
  • 空腹時血糖110mg/dL以上、またはHbA1c5.6%以上なら、体重や運動の習慣を見直す。体重が多めの方は、数%の減量が比較試験で調べられている
  • 空腹時血糖126mg/dL以上、またはHbA1c6.5%以上なら、医療機関で再検査を受ける。治療中の方は、自己判断で薬をやめたり減らしたりせず、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
日本糖尿病学会 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(J Diabetes Investig 2010)糖尿病型: 空腹時血糖126mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値200以上、随時血糖200以上、HbA1c(NGSP)6.5%以上のいずれか。正常型: 空腹時110未満かつ2時間値140未満。その間が境界型。HbA1c6.0〜6.4%は糖尿病の疑いを否定できない、5.6〜5.9%を含めて将来の発症リスクが高い群。診断は別の日の再検査で確認し、HbA1cの再検査だけでは診断しない
前糖尿病の診断と管理の総説(JAMA 2023)米国の定義: 空腹時血糖100〜125mg/dL、負荷2時間値140〜199、HbA1c5.7〜6.4%(6.0〜6.4%とする定義もある)。米国では前糖尿病の約10%が毎年糖尿病に進む。強化した生活習慣の取り組みで3年間の発症が100人年あたり6.2件減少
TOPICS 3(Lancet 2011)虎の門病院の健診受診者で糖尿病のない6,241人(24〜82歳)、平均4.7年追跡。空腹時血糖のみ高め(100〜125)の発症ハザード比6.16、HbA1cのみ高め(5.7〜6.4%)6.00、両方31.9。HbA1cだけでは前糖尿病の61%を見逃した。資金: 日本学術振興会、厚生労働省
前糖尿病と死亡・心血管病のメタ解析(BMJ 2020)129研究・1,006万9,955人。一般集団(追跡中央値9.8年)で全死亡の相対リスク1.13、心血管病1.15、冠動脈疾患1.16、脳卒中1.14。絶対リスク差は全死亡で1万人年あたり7.36。耐糖能異常は空腹時血糖異常より危険が高い
ARIC研究(N Engl J Med 2010)糖尿病・心血管病の既往がない米国の黒人・白人1万1,092人。HbA1c5.0〜5.5%未満を基準に、6.0〜6.5%未満で糖尿病の発症ハザード比4.48、冠動脈疾患1.78。全死亡との関係はJ字形。空腹時血糖で調整後も関連が残った
生活習慣による減量のメタ解析(Am J Clin Nutr 2024)前糖尿病の人の6か月以上の比較試験44本・1万4,742人、介入期間中央値24か月、体重減少1〜9%。正常血糖への回復の相対リスク1.51(100人あたり11人増)、2型糖尿病への進行0.59(100人あたり8人減)。いずれも中等度の確実性。食事・運動・組み合わせの間で差なし。抄録に資金の記載なし。登録: PROSPERO CRD42023465322
出典
  1. Seino Y, et al. Report of the committee on the classification and diagnostic criteria of diabetes mellitus. J Diabetes Investig. 2010. PMID 24843435
  2. Echouffo-Tcheugui JB, et al. Diagnosis and Management of Prediabetes: A Review. JAMA. 2023. PMID 37039787
  3. Heianza Y, et al. HbA1c 5.7-6.4% and impaired fasting plasma glucose for diagnosis of prediabetes and risk of progression to diabetes in Japan (TOPICS 3): a longitudinal cohort study. Lancet. 2011. PMID 21705064
  4. Cai X, et al. Association between prediabetes and risk of all cause mortality and cardiovascular disease: updated meta-analysis. BMJ. 2020. PMID 32669282
  5. Selvin E, et al. Glycated hemoglobin, diabetes, and cardiovascular risk in nondiabetic adults. N Engl J Med. 2010. PMID 20200384
  6. Jayedi A, et al. Efficacy of lifestyle weight loss interventions on regression to normoglycemia and progression to type 2 diabetes in individuals with prediabetes: a systematic review and pairwise and dose-response meta-analyses. Am J Clin Nutr. 2024. PMID 39222689
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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