健診の血圧、上と下は何を表す? 40代から知っておきたい数字の読み方
健康診断で毎年測る血圧。上と下の数字がそれぞれ何を意味し、どこからが「高い」のか。2025年に改訂された日本高血圧学会のガイドラインをもとに、読み方を整理しました。
- 上は心臓が縮むとき、下は心臓が広がるときの血管への圧力。上と下で段階が違うときは、高いほうで判断する
- 日本高血圧学会のガイドラインでは、正常は120/80未満、高血圧は140/90以上。家で測るときは135/85以上が高血圧
- 上を10下げると、心臓や血管の大きな病気が約2割減ることが、多くの比較試験のまとめで示されている
健診の血圧は、上が心臓の縮むとき、下が広がるときの血管への圧力です。日本高血圧学会のガイドラインでは、120/80未満が正常、140/90以上が高血圧です。
上と下の数字は、それぞれ何を表す?
心臓は、縮んで血液を送り出し、広がって血液をためる動きを繰り返します。上の数字は縮んだときの圧力で、収縮期血圧(心臓が縮むときの血圧)と呼ばれます。下の数字は広がったときの圧力で、拡張期血圧(心臓が広がるときの血圧)です。
上と下は、それぞれ別に脳や心臓の病気の起きやすさと関係しています。そのためガイドラインは、上と下で段階が違うときは、高いほうの段階に入れるとしています。上だけ、下だけが高い場合も見過ごさないことが大切です。
年齢とともに血管がかたくなると、上は上がり、下はむしろ下がりやすくなります。高齢の方に上だけが高いタイプが多いのは、このためだと説明されています。
どこからが「高い」の?
2025年8月に出た最新のガイドラインは、病院や健診で測る血圧を6つの段階に分けています(単位はmmHg)。
- 正常血圧: 上120未満かつ下80未満
- 正常高値血圧: 上120〜129かつ下80未満
- 高値血圧: 上130〜139または下80〜89
- Ⅰ度高血圧: 上140〜159または下90〜99
- Ⅱ度高血圧: 上160〜179または下100〜109
- Ⅲ度高血圧: 上180以上または下110以上
気をつけたいのは、「高血圧ではない」と「正常」は違うことです。ガイドラインは、120/80以上を正常と呼ぶのは適当でないとしています。120〜139の範囲でも、数字が上がるほど心臓や血管の病気が増えるためです。日本の研究でも、このことが示されています。
健診の結果票では、130/85を目安にしていることがあります。これは特定健診で保健指導に使う基準で、ガイドラインの段階とは少しずれています。
世界の61の追跡研究、約100万人をまとめた解析もあります。40〜69歳では、上が20違うごとに、脳卒中で亡くなる割合に2倍以上の差がありました。この関係は、115/75ほどまで続いていました。
家で測る血圧は、何が違う?
病院では緊張して、血圧が高く出る人がいます。病院では高いのに家では高くない状態を、白衣高血圧(病院でだけ高く出る血圧)と呼びます。逆に、健診では正常でも家では高い人もいます。
ガイドラインは、家で測る血圧を重く見ています。家の血圧のほうが将来の病気をよく予測するとされ、2つが食い違うときは家の値を優先します。家で測るときは基準が少し低くなり、135/85以上が高血圧、115/75未満が正常です。
測り方も決められています。主な点は次の通りです。
- 朝は起きて1時間以内に、トイレのあと、朝食と薬の前に測る
- 夜は寝る前に測る
- 背もたれのある椅子に座り、1〜2分休んでから、話さずに測る
- 腕に巻くタイプを使い、腕帯を心臓の高さに合わせる
- 1回に2回測って平均し、朝と夜それぞれ5日以上の平均で見る
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| 病院・健診で測る血圧の段階(正常120/80未満、高血圧140/90以上) | 根拠 確立 | 日本高血圧学会のガイドライン2025に明記 |
| 家で測る血圧の基準(高血圧135/85以上、正常115/75未満) | 根拠 確立 | 同じガイドラインに明記 |
| 血圧が高いほど、血管の病気で亡くなる割合が高いか(61研究・約100万人) | 根拠 初期 | 40〜69歳では上20の差で脳卒中死が2倍以上 |
| 上を10下げると、心臓や血管の病気は減るか(123研究のまとめ) | 根拠 確立 | 大きな病気が20%、脳卒中が27%減った |
| 上120未満を目指す治療(米国の1試験・約9,400人) | 根拠 有望 | 病気と死亡は減ったが、下がりすぎなどの副作用は増えた |
血圧を下げると、どのくらい違う?
血圧を下げる治療の比較試験は、数多く行われています。123の研究・約61万人分をまとめた解析があります。上を10下げるごとに、心臓や血管の大きな病気が20%減りました。脳卒中は27%、亡くなる割合は13%減っていました。
米国の比較試験(SPRINT)では、病気の危険が高い約9,400人を2つの組に分けました。上120未満を目指す組と、140未満を目指す組です。120未満の組で、心臓や血管の病気と亡くなる割合が少なくなりました。一方で、血圧の下がりすぎや失神などの副作用は増えました。
こうした結果から、2025年のガイドラインは治療の目標を原則130/80未満としました。年齢による区別はありません。家で測る場合は125/75未満です。めまいや立ちくらみなど、下がりすぎの症状に注意しながら進めるとしています。
では、どうすればよいか
まずは健診の数字を、6つの段階に当てはめてみてください。上と下の高いほうで判断します。気になる数字なら、家で1週間測ってみることから始められます。
- 健診の結果票で、上と下の数字を6つの段階に当てはめてみる。段階が違うときは高いほうで見る
- 家に血圧計があれば、朝と夜に5〜7日続けて測り、出た数字をすべて記録する
- 測る前のたばこ・お酒・カフェインは避け、座って1〜2分休んでから測る
- 健診で140/90以上、または家で測った5日以上の平均が135/85以上なら、医療機関を受診する(ガイドラインが受診を勧める目安)
- 治療中の方は、測った数字を見て自分で薬をやめたり減らしたりせず、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| 日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン2025 | 2025年8月29日発行。表5-5で血圧値を6段階に分類。高血圧の基準は診察室140/90以上、家庭135/85以上、24時間測定130/80以上。上下で段階が異なる場合は高いほうに入れる。診察室と家庭で差がある場合は家庭血圧を優先。降圧目標は年齢・病態・合併症にかかわらず原則130/80未満(家庭125/75未満)。特定健診の保健指導判定値(130/85)との違いに留意と記載。作成費用は学会負担で、企業からの資金提供なし |
|---|---|
| 約100万人の追跡研究のまとめ(Lancet 2002) | 61の前向き観察研究、血管の病気のない約100万人、1,270万人年。40〜69歳では収縮期20mmHg(拡張期10mmHg)の差ごとに脳卒中死が2倍超、虚血性心疾患死が2倍。115/75mmHgまで関係が続く。80〜89歳では差の比は40〜49歳の約半分 |
| 降圧治療の比較試験のまとめ(Lancet 2016) | 123研究・61万3,815人。収縮期10mmHg低下ごとに主要な心血管イベントの相対リスク0.80、冠動脈疾患0.83、脳卒中0.73、心不全0.72、総死亡0.87。腎不全は有意差なし。資金: 英国国立健康研究所ほか |
| SPRINT(N Engl J Med 2015) | 糖尿病のない心血管リスクの高い9,361人。目標120未満と140未満を比較。1年時の平均収縮期血圧は121.4と136.2。追跡中央値3.26年で早期中止。主要複合転帰のハザード比0.75、総死亡0.73。低血圧・失神・電解質異常・急性腎障害の重い有害事象は増加。資金: 米国国立衛生研究所。登録: NCT01206062 |
- 日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン委員会 編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025. 日本高血圧学会, 2025. リンク
- Lewington S, et al. Age-specific relevance of usual blood pressure to vascular mortality: a meta-analysis of individual data for one million adults in 61 prospective studies. Lancet. 2002. PMID 12493255
- Ettehad D, et al. Blood pressure lowering for prevention of cardiovascular disease and death: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2016. PMID 26724178
- SPRINT Research Group. A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control. N Engl J Med. 2015. PMID 26551272
この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。












