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寝る前のお風呂で、眠りはよくなる? 湯の温度と入るタイミングの研究

湯船につかると寝つきがよくなる、という話はよく聞きます。入浴や足湯と眠りの研究をまとめた解析と、日本の高齢者の大規模な研究から、分かっていることと注意点を整理しました。

根拠 有望4分で読めます公開 2026.10.22更新 2026.10.22
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 寝る1〜2時間前に40〜42.5℃の湯に入ると、寝つきまでの時間が短くなる傾向が、17の研究のまとめで報告されている
  • 高齢者の足湯の試験18本のまとめでも、自分で感じる眠りの質がよくなったと報告されている。ただし小規模な試験が中心
  • 奈良県の高齢者2,252人の研究では、寝る前に湯船に入った日は、夜中に起きている時間がわずかに短かった
  • 冬の入浴中の事故は高齢者に多い。脱衣所を暖め、熱すぎる湯や長湯を避けることが大切

寝る1〜2時間前に湯船につかると、寝つきが早くなり、眠りの質もよくなる傾向が、複数の研究のまとめで報告されています。ただし、もとになった試験の多くは小規模で、差は数分程度の小さなものです。

なぜ、お風呂のあとは眠くなる?

人は眠りに入るとき、体の内部の温度(深部体温)が少しずつ下がります。湯につかると、いったん体が温まり、そのあと手や足の血管が広がって、熱が外に逃げやすくなります。この熱の逃げ方が、寝つきに関係していると考えられています。

奈良県立医科大学の研究チームは、手首とおなかの皮膚の温度の差を、熱の逃げやすさの目安として測りました。寝る前に入浴した日は、この差が大きくなっていました。仕組みの説明として、研究のまとめとも一致しています。

研究のまとめでは、どれくらいの差があった?

2019年に米国の研究チームが、寝る前の入浴やシャワーと眠りの研究を集めて解析しました。条件に合った17の研究のうち、13の研究の数値をまとめています。

40〜42.5℃の湯で体を温めると、自分で感じる眠りの質と、寝床にいる時間のうち実際に眠っている割合(睡眠効率)がよくなる傾向がありました。寝る1〜2時間前に入ると、10分ほどの短い入浴でも、寝つきまでの時間が短くなっていました。

ただし、研究チーム自身も、研究の数が少なく、最適な時間帯や長さはまだ確かめる必要があると書いています。

足湯でも同じような結果は出ている?

湯船に入るのが負担な人には、足だけを湯につける足湯という方法もあります。2025年に台湾の研究チームが、60歳以上を対象にした18の研究、合わせて950人分をまとめました。

足湯をした組は、しなかった組より、自分で感じる眠りの質がよくなっていました。湯の温度が40℃以下、つける時間が10分以上、1週間以上続けた試験で、差がはっきり出る傾向がありました。2024年のイランの研究チームのまとめでも、10の研究のうち9つでよい結果が報告されています。

2025年のまとめで示された差の大きさは、統計の目安でいうと中程度から大きめに当たります。ただ、推定される差の幅は広く、数字をそのまま受け取るのは控えたほうがよさそうです。

また、どちらのまとめも、看護の現場などで行われた小さな試験が中心です。眠りの質は質問票で答える形が多く、機器で測った研究は多くありません。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
寝る前の入浴で、寝つきや眠りの質はよくなるか(17研究のまとめ)根拠 有望40〜42.5℃・寝る1〜2時間前で、寝つきが短くなる傾向。研究は小規模
高齢者の足湯で、自分で感じる眠りの質はよくなるか(18研究・950人のまとめ)根拠 有望よくなる傾向。40℃以下・10分以上・1週間以上で差が大きい
暮らしの中で寝る前に入浴した日の眠り(奈良の高齢者2,252人)根拠 初期夜中に起きている時間が約3分短く、睡眠効率が1.3ポイント高い
入浴から寝るまでの間隔(奈良の高齢者1,094人)根拠 初期1〜3時間前の入浴で、寝つきまでの時間が短い

日本の暮らしの中では、どうだった?

奈良県の60歳以上の住民を対象にした研究では、腕時計型の機器で眠りを記録し、入浴した場合としなかった場合を比べました。

2021年の報告(1,094人)では、寝る1〜3時間前に入浴した日は、寝つきまでの時間が短くなっていました。寝る直前の1時間以内の入浴では、はっきりした差は出ていません。2025年の報告(2,252人、平均68.8歳)では、入浴した人は、夜中に起きている時間が約3分短く、睡眠効率が1.3ポイント高くなっていました。入浴した人は、寝たあとも手首とおなかの皮膚の温度の差が大きく、熱が逃げやすい状態が続いていました。眠りの質が悪いと答える割合も低めでした。

ただ、これは比較試験ではなく、暮らしの様子を記録した研究です。湯船に入る人や日は、もともと体調がよかった可能性も残ります。湯が熱い場合は、長くつかるほど睡眠効率が下がる関係も見られました。

まだ分かっていないことまとめに入った研究の多くは人数が少なく、組をくじ引きで分けていない試験も含まれています。眠りの質は本人の答えで測ることが多く、入浴したかどうかを参加者に隠せないため、思い込みの影響を取りきれません。最適な湯の温度や時間、入るタイミングは、研究によって条件がばらばらで、はっきりしていません。奈良の研究は観察研究で、入浴そのものが眠りをよくしたのかは区別できません。また、この研究の一部の研究者は、住宅設備や電力の企業から研究費を受けています。若い世代や不眠症と診断された人で同じ結果になるかも、分かっていません。

入浴で気をつけることは?

日本式の入浴に関する総説では、入浴中に亡くなる人は年に約1万9,000人と推計され、多くは冬の高齢者だとされています。寒い脱衣所から熱い湯に入ると血圧が大きく上がり、湯の中で急に下がることがあります。

この総説は、冬は脱衣所と浴室を20℃以上に保つことを勧めています。熱すぎる湯に長くつかるのは避けたほうがよいでしょう。心臓や血圧の持病がある人は、入浴の仕方を医師に相談してください。

今日からできること
  • 寝つきが気になる日は、寝る1〜2時間前に、ぬるめから少し温かい湯に10分ほどつかってみる
  • 湯船に入るのが負担なときは、足首まで湯につける足湯を10分ほど試す
  • 冬は入浴の前に脱衣所と浴室を暖め、熱すぎる湯と長湯を避ける
  • 心臓や血圧の持病がある人、入浴中に立ちくらみがある人は、入浴の仕方を医師に相談する
  • 眠れない状態が続くときは、入浴の工夫だけで済ませず、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
寝る前の入浴・シャワーと眠りのまとめ(Sleep Med Rev 2019)5,322件の候補から条件に合った17研究、うち13研究をメタ解析。40〜42.5℃の入浴で自分で感じる眠りの質と睡眠効率が改善。寝る1〜2時間前に10分程度でも寝つきまでの時間が短縮。著者は研究の少なさと、最適な時間帯・長さが未確定であることを限界として挙げている
高齢者の足湯と眠りのまとめ(Scand J Caring Sci 2025)2023年11月までの18研究、60歳以上の950人(女性52.3%)。足湯なしと比べて自分で感じる眠りの質が改善(標準化平均差−0.76)。40℃以下、10分以上、1週間以上の条件で差が大きかった。著者は利益相反なしと開示。大規模な多施設の試験が必要としている
高齢者の足湯と眠りの系統的レビュー(BMC Geriatr 2024)2010年〜2023年3月の10研究(比較試験と準実験)。9研究でよい結果を報告。多くの研究で40℃を超える湯を使用。数値をまとめた解析は行っていない。著者は利益相反なしと開示
奈良県の高齢者の入浴と寝つき(J Clin Sleep Med 2021)平均72.0歳の1,094人、腕時計型の機器と本人の記録で繰り返し測定。寝る61〜120分前、121〜180分前の入浴で、入浴しない日より寝つきまでの時間が短く、手首とおなかの皮膚温度の差が大きかった。資金は日本学術振興会の科研費、財団、住宅設備・電力などの企業。一部の著者に企業からの研究費あり
奈良県の高齢者の寝る前の入浴と眠りの質(Sleep Health 2025)平均68.8歳の2,252人。年齢・体格・収入・身体活動・室温などで調整後、入浴した人は睡眠効率が1.3ポイント高く、夜中に起きている時間が3.3分短く、眠りの質が悪いと答える割合が低かった(オッズ比0.73)。湯の温度が高いほど、長くつかると睡眠効率が下がる関係あり。一部の著者に企業からの研究費あり
日本式の入浴の利点と欠点の総説(J Physiol Anthropol 2022)日本式の入浴は、特に冬の寝つきの短縮と関係するという研究が多いとまとめている。一方、入浴中に亡くなる人は年に約1万9,000人と推計され、多くは冬の高齢者。脱衣所・浴室を20℃以上に保つことを勧めている。著者は利益相反なしと開示
出典
  1. Haghayegh S, et al. Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2019. PMID 31102877
  2. Chang SY, et al. A Systematic Review and Meta-Analysis of Footbath Effects and Optimal Procedures to Improve Sleep in Older Adults. Scand J Caring Sci. 2025. PMID 40973991
  3. Nasiri K, et al. The effect of foot bath on sleep quality in the elderly: a systematic review. BMC Geriatr. 2024. PMID 38408926
  4. Tai Y, et al. Hot-water bathing before bedtime and shorter sleep onset latency are accompanied by a higher distal-proximal skin temperature gradient in older adults. J Clin Sleep Med. 2021. PMID 33645499
  5. Tai Y, et al. Association between before-bedtime hot-tub bathing and sleep quality in real-life settings among community-dwelling older adults. Sleep Health. 2025. PMID 40803898
  6. Tochihara Y. A review of Japanese-style bathing: its demerits and merits. J Physiol Anthropol. 2022. PMID 35168673
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

自らの体験をきっかけに、幹細胞点滴の魅力を広めています。100名を超える方々をご案内する中で、その可能性をますます実感しています。人生100年時代にふさわしい選択肢として、あなたの選択肢のひとつに加えていただけたら嬉しいです。

山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

美容医療に携わる中で、幹細胞治療の可能性に注目しています。医師としての視点から、安心できる正しい情報を皆さんにお届けします。

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