寝酒で眠りはよくなる? お酒の量と眠りの研究で分かったこと
眠れない夜に、お酒を少し飲む人は少なくありません。お酒を飲んだ夜の眠りを測った実験のまとめと、ふだんの暮らしでの研究から、寝酒と眠りについて分かっていることを整理しました。
- 27の実験のまとめでは、少ない量のお酒でも、夢を見る浅い眠り(レム睡眠)が減ると報告されている
- 寝つきが早くなったのは多い量を飲んだときだけで、その場合はレム睡眠の乱れがさらに大きくなると考えられている
- 眠る時間の合計や夜中に目が覚める時間への影響は、まだはっきりしていない
- 厚生労働省の睡眠の指針は「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」ことを勧めている
寝る前のお酒は、量が多いと寝つきを早めることがありますが、少ない量でも夢を見る浅い眠り(レム睡眠)を減らすと報告されています。27の実験をまとめた2025年の解析と、厚生労働省の睡眠の指針の内容です。
ただし、眠る時間の長さや夜中に目が覚める回数への影響は、まだはっきりしていません。まとめに入ったのは、健康な大人を対象にした実験です。
寝酒をする人は、どれくらいいる?
日本では2000年に、全国から無作為に選んだ地域で、約1万8,000人に飲酒と眠りについて尋ねた調査があります。眠るためにお酒を週1回以上飲む人は、男性で48.3%、女性で18.3%でした。睡眠薬を使う人より、はるかに多い割合です。
男性では55〜59歳まで、女性では40〜44歳まで、年齢とともに割合が増えていました。また、寝酒をする人には、夜中に目が覚めて眠り続けにくいという悩みが多く見られました。ただし、寝酒が原因で目が覚めるのか、目が覚めるので飲むのかは、この調査では区別できません。
お酒を飲むと、眠りはどう変わる?
オーストラリアの研究チームが、健康な大人を対象にした27の実験をまとめました。お酒の量や飲む時間によって、その夜の眠りの深さや長さがどう変わるかを調べています。
最もはっきりしていたのは、レム睡眠の変化です。レム睡眠が始まるまでの時間が長くなり、一晩のレム睡眠の量も減っていました。体重1kgあたり0.5g以下の少ない量(体重60kgの人なら純アルコール約30g以下)でも減り、量が増えるほど減り方が大きくなっていました。
一方、寝つくまでの時間が短くなり、深い眠りに早く入ったのは、体重1kgあたり0.85g以上の多い量を飲んだときだけでした。研究チームは、多く飲むと寝つきは早まっても、その後のレム睡眠の乱れはさらに大きくなると考えられる、と書いています。眠る時間の合計や、夜中に目が覚めている時間への影響は、研究ごとのばらつきが大きく、結論が出ていません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、お酒は一時的に寝つきを促す一方で、眠りの後半の質を悪くし、量が増えるほど夜中に目が覚める回数が増えると説明しています。そのうえで「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」ことを勧めています。
| 調べたこと | 根拠 | 結果 |
|---|---|---|
| お酒でレム睡眠は減るか(27の実験のまとめ) | 根拠 確立 | 少ない量から減り、量が多いほど大きく減る |
| お酒で寝つきは早くなるか(同じまとめ) | 根拠 有望 | 体重1kgあたり0.85g以上の多い量でのみ短くなる |
| 眠る時間の合計・夜中に目が覚めている時間(同じまとめ) | 根拠 有望 | ばらつきが大きく、はっきりしない |
| ふだんの暮らしで、お酒を飲んだ夜の心拍(4,098人の観察研究) | 根拠 初期 | 量が多いほど、体の休まり具合が下がる |
| 多く飲む高齢の男性は、夜中に目が覚めやすいか(30年の追跡) | 根拠 初期 | 約1.3倍。女性でははっきりしない |
| お酒を飲んだ夜の呼吸(13研究・279人のまとめ) | 根拠 有望 | 呼吸が浅くなる・止まる回数が1時間に約4回増える |
ふだんの暮らしでも、同じような変化が見られる?
フィンランドでは、平均45歳の会社員4,098人が、ふだんの暮らしの中で心拍を記録しました。同じ人で、お酒を飲んだ日と飲まない日の、眠り始めの3時間を比べています。
お酒を飲んだ日は、心拍から推定した体の休まり具合が下がっていました。下がり方は、少ない量で平均9.3ポイント、中くらいで24.0ポイント、多い量で39.2ポイントでした。男女ともに見られ、ふだん運動している人でも同じ傾向でした。ただし、この研究の著者の一部は、心拍の解析を行う企業の社員です。
英国の公務員約6,000人を30年追った研究では、週に純アルコール約168gより多く飲む男性は、飲まない男性より、夜中に何度も目が覚めると答える割合が約1.3倍でした。女性でははっきりしませんでした。
いびきとの関係は?
いびきをかきやすい人などを対象に、お酒を飲んだ夜と飲まない夜を比べた13の研究、合わせて279人のまとめがあります。お酒を飲んだ夜は、眠っている間に呼吸が浅くなったり止まったりする回数が、1時間あたり約4回多くなっていました。血液中の酸素の値も、最も低いときで2.7ポイントほど下がっていました。
では、どうすればよいか
眠るためにお酒を飲むことは、研究からも国の指針からも勧められていません。晩酌をする場合は量を控えめにし、寝る直前の飲酒は避けるのがよさそうです。眠れない日が続き、お酒に頼りたくなるときは、医師に相談してください。
- 眠るためにお酒を飲む習慣があれば、まずはその日数を減らしてみる
- 晩酌は量を控えめにし、寝る直前には飲まないようにする
- お酒を飲んだ夜と飲まない夜で、朝の目覚めや夜中に目が覚めた回数を書き留めて比べてみる
- 眠れない日が続く方、お酒をやめると眠れないと感じる方、家族にいびきや呼吸が止まることを指摘された方は、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
| お酒とその夜の眠りのまとめ(Sleep Med Rev 2025) | 健康な成人を対象にした27研究のメタ解析。レム睡眠の開始が遅れ、量が減少。体重1kgあたり0.50g以下の低用量でもレム睡眠が乱れ、用量とともに悪化。入眠までの時間と深い睡眠までの時間の短縮は0.85g/kg以上の高用量でのみ。総睡眠時間・睡眠効率・中途覚醒時間は不確実性が大きく判断できず。著者は利益相反なしと開示 |
|---|---|
| フィンランドの会社員の心拍の研究(JMIR Ment Health 2018) | 4,098人(女性55.8%、平均45.1歳)。飲酒した日としない日の眠り始めの3時間を同じ人で比較した観察研究。心拍変動から推定した回復の指標が、低用量(0.25g/kg以下)で9.3、中用量で24.0、高用量(0.75g/kg超)で39.2ポイント低下。著者の一部は心拍解析の企業・通信機器企業の社員 |
| 日本の一般の人の寝酒の調査(Sleep Med 2007) | 2000年6月、全国300地域から無作為に選んだ人への自記式調査。飲酒について1万8,205人分を解析。眠るための飲酒が週1回以上の人は男性48.3%、女性18.3%。睡眠薬の使用は男性4.3%、女性5.9%。寝酒は中途覚醒の悩みと関連 |
| 英国の公務員の30年追跡(Sci Rep 2020) | 6,117人。男性で週21単位(約168g)を超える飲酒は、飲まない人と比べて夜中に何度も目が覚めることのオッズ比1.30(95%信頼区間1.02〜1.66)。女性でははっきりしない。著者は利益相反なしと開示 |
| お酒といびき・睡眠中の呼吸のまとめ(Otolaryngol Head Neck Surg 2020) | 睡眠ポリグラフのある13研究・279人。お酒を飲んだ夜は無呼吸低呼吸指数が1時間あたり3.98回多く、最低酸素飽和度が2.72ポイント低い |
| 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省 2024) | 国の指針。お酒は一時的に寝つきを促し睡眠前半の深い眠りを増やすが、後半の眠りの質を悪くし、量が増えるほど中途覚醒が増えると説明。「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」と推奨し、寝酒の原因となる不眠がある場合は医師への相談を勧めている |
- Gardiner C, et al. The effect of alcohol on subsequent sleep in healthy adults: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2025. PMID 39631226
- Pietilä J, et al. Acute Effect of Alcohol Intake on Cardiovascular Autonomic Regulation During the First Hours of Sleep in a Large Real-World Sample of Finnish Employees: Observational Study. JMIR Ment Health. 2018. PMID 29549064
- Kaneita Y, et al. Use of alcohol and hypnotic medication as aids to sleep among the Japanese general population. Sleep Med. 2007. PMID 17512790
- Britton A, et al. The association between alcohol consumption and sleep disorders among older people in the general population. Sci Rep. 2020. PMID 32210292
- Burgos-Sanchez C, et al. Impact of Alcohol Consumption on Snoring and Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-analysis. Otolaryngol Head Neck Surg. 2020. PMID 32513091
- 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会. 健康づくりのための睡眠ガイド2023. 2024. リンク

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この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。











