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寝酒で眠りはよくなる? お酒の量と眠りの研究で分かったこと

眠れない夜に、お酒を少し飲む人は少なくありません。お酒を飲んだ夜の眠りを測った実験のまとめと、ふだんの暮らしでの研究から、寝酒と眠りについて分かっていることを整理しました。

根拠 有望4分で読めます公開 2026.10.23更新 2026.10.23
RATRAT編集部
生成AIで下書きし、編集部が出典と内容を確認しました
この記事の要点
  • 27の実験のまとめでは、少ない量のお酒でも、夢を見る浅い眠り(レム睡眠)が減ると報告されている
  • 寝つきが早くなったのは多い量を飲んだときだけで、その場合はレム睡眠の乱れがさらに大きくなると考えられている
  • 眠る時間の合計や夜中に目が覚める時間への影響は、まだはっきりしていない
  • 厚生労働省の睡眠の指針は「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」ことを勧めている

寝る前のお酒は、量が多いと寝つきを早めることがありますが、少ない量でも夢を見る浅い眠り(レム睡眠)を減らすと報告されています。27の実験をまとめた2025年の解析と、厚生労働省の睡眠の指針の内容です。

ただし、眠る時間の長さや夜中に目が覚める回数への影響は、まだはっきりしていません。まとめに入ったのは、健康な大人を対象にした実験です。

寝酒をする人は、どれくらいいる?

日本では2000年に、全国から無作為に選んだ地域で、約1万8,000人に飲酒と眠りについて尋ねた調査があります。眠るためにお酒を週1回以上飲む人は、男性で48.3%、女性で18.3%でした。睡眠薬を使う人より、はるかに多い割合です。

男性では55〜59歳まで、女性では40〜44歳まで、年齢とともに割合が増えていました。また、寝酒をする人には、夜中に目が覚めて眠り続けにくいという悩みが多く見られました。ただし、寝酒が原因で目が覚めるのか、目が覚めるので飲むのかは、この調査では区別できません。

お酒を飲むと、眠りはどう変わる?

オーストラリアの研究チームが、健康な大人を対象にした27の実験をまとめました。お酒の量や飲む時間によって、その夜の眠りの深さや長さがどう変わるかを調べています。

最もはっきりしていたのは、レム睡眠の変化です。レム睡眠が始まるまでの時間が長くなり、一晩のレム睡眠の量も減っていました。体重1kgあたり0.5g以下の少ない量(体重60kgの人なら純アルコール約30g以下)でも減り、量が増えるほど減り方が大きくなっていました。

一方、寝つくまでの時間が短くなり、深い眠りに早く入ったのは、体重1kgあたり0.85g以上の多い量を飲んだときだけでした。研究チームは、多く飲むと寝つきは早まっても、その後のレム睡眠の乱れはさらに大きくなると考えられる、と書いています。眠る時間の合計や、夜中に目が覚めている時間への影響は、研究ごとのばらつきが大きく、結論が出ていません。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、お酒は一時的に寝つきを促す一方で、眠りの後半の質を悪くし、量が増えるほど夜中に目が覚める回数が増えると説明しています。そのうえで「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」ことを勧めています。

効果ごとの根拠の強さ判定の基準
調べたこと根拠結果
お酒でレム睡眠は減るか(27の実験のまとめ)根拠 確立少ない量から減り、量が多いほど大きく減る
お酒で寝つきは早くなるか(同じまとめ)根拠 有望体重1kgあたり0.85g以上の多い量でのみ短くなる
眠る時間の合計・夜中に目が覚めている時間(同じまとめ)根拠 有望ばらつきが大きく、はっきりしない
ふだんの暮らしで、お酒を飲んだ夜の心拍(4,098人の観察研究)根拠 初期量が多いほど、体の休まり具合が下がる
多く飲む高齢の男性は、夜中に目が覚めやすいか(30年の追跡)根拠 初期約1.3倍。女性でははっきりしない
お酒を飲んだ夜の呼吸(13研究・279人のまとめ)根拠 有望呼吸が浅くなる・止まる回数が1時間に約4回増える

ふだんの暮らしでも、同じような変化が見られる?

フィンランドでは、平均45歳の会社員4,098人が、ふだんの暮らしの中で心拍を記録しました。同じ人で、お酒を飲んだ日と飲まない日の、眠り始めの3時間を比べています。

お酒を飲んだ日は、心拍から推定した体の休まり具合が下がっていました。下がり方は、少ない量で平均9.3ポイント、中くらいで24.0ポイント、多い量で39.2ポイントでした。男女ともに見られ、ふだん運動している人でも同じ傾向でした。ただし、この研究の著者の一部は、心拍の解析を行う企業の社員です。

英国の公務員約6,000人を30年追った研究では、週に純アルコール約168gより多く飲む男性は、飲まない男性より、夜中に何度も目が覚めると答える割合が約1.3倍でした。女性でははっきりしませんでした。

いびきとの関係は?

いびきをかきやすい人などを対象に、お酒を飲んだ夜と飲まない夜を比べた13の研究、合わせて279人のまとめがあります。お酒を飲んだ夜は、眠っている間に呼吸が浅くなったり止まったりする回数が、1時間あたり約4回多くなっていました。血液中の酸素の値も、最も低いときで2.7ポイントほど下がっていました。

まだ分かっていないことまとめに入ったのは健康な大人の実験で、40〜70代の人が毎晩飲み続けたときにどうなるかは、よく分かっていません。眠る時間の合計や夜中に目が覚めている時間への影響は、研究ごとの差が大きく、結論が出ていません。お酒の分解の速さには個人差があり、男女差についても研究が足りないとされています。日本人を含むアジアの人には、お酒を分解する酵素の働きが弱い人が多く、少ない量でも影響を受けやすい可能性が指摘されていますが、日本人で眠りを測った大きな研究は限られています。ふだんの暮らしの研究や長期の追跡は観察研究で、お酒そのものが原因かは確かめられていません。心拍の研究は、解析を行う企業の社員が著者に含まれています。

では、どうすればよいか

眠るためにお酒を飲むことは、研究からも国の指針からも勧められていません。晩酌をする場合は量を控えめにし、寝る直前の飲酒は避けるのがよさそうです。眠れない日が続き、お酒に頼りたくなるときは、医師に相談してください。

今日からできること
  • 眠るためにお酒を飲む習慣があれば、まずはその日数を減らしてみる
  • 晩酌は量を控えめにし、寝る直前には飲まないようにする
  • お酒を飲んだ夜と飲まない夜で、朝の目覚めや夜中に目が覚めた回数を書き留めて比べてみる
  • 眠れない日が続く方、お酒をやめると眠れないと感じる方、家族にいびきや呼吸が止まることを指摘された方は、医師に相談する
詳しく知りたい方へ(研究の中身)
お酒とその夜の眠りのまとめ(Sleep Med Rev 2025)健康な成人を対象にした27研究のメタ解析。レム睡眠の開始が遅れ、量が減少。体重1kgあたり0.50g以下の低用量でもレム睡眠が乱れ、用量とともに悪化。入眠までの時間と深い睡眠までの時間の短縮は0.85g/kg以上の高用量でのみ。総睡眠時間・睡眠効率・中途覚醒時間は不確実性が大きく判断できず。著者は利益相反なしと開示
フィンランドの会社員の心拍の研究(JMIR Ment Health 2018)4,098人(女性55.8%、平均45.1歳)。飲酒した日としない日の眠り始めの3時間を同じ人で比較した観察研究。心拍変動から推定した回復の指標が、低用量(0.25g/kg以下)で9.3、中用量で24.0、高用量(0.75g/kg超)で39.2ポイント低下。著者の一部は心拍解析の企業・通信機器企業の社員
日本の一般の人の寝酒の調査(Sleep Med 2007)2000年6月、全国300地域から無作為に選んだ人への自記式調査。飲酒について1万8,205人分を解析。眠るための飲酒が週1回以上の人は男性48.3%、女性18.3%。睡眠薬の使用は男性4.3%、女性5.9%。寝酒は中途覚醒の悩みと関連
英国の公務員の30年追跡(Sci Rep 2020)6,117人。男性で週21単位(約168g)を超える飲酒は、飲まない人と比べて夜中に何度も目が覚めることのオッズ比1.30(95%信頼区間1.02〜1.66)。女性でははっきりしない。著者は利益相反なしと開示
お酒といびき・睡眠中の呼吸のまとめ(Otolaryngol Head Neck Surg 2020)睡眠ポリグラフのある13研究・279人。お酒を飲んだ夜は無呼吸低呼吸指数が1時間あたり3.98回多く、最低酸素飽和度が2.72ポイント低い
健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省 2024)国の指針。お酒は一時的に寝つきを促し睡眠前半の深い眠りを増やすが、後半の眠りの質を悪くし、量が増えるほど中途覚醒が増えると説明。「晩酌は控えめにし、寝酒はしない」と推奨し、寝酒の原因となる不眠がある場合は医師への相談を勧めている
出典
  1. Gardiner C, et al. The effect of alcohol on subsequent sleep in healthy adults: A systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2025. PMID 39631226
  2. Pietilä J, et al. Acute Effect of Alcohol Intake on Cardiovascular Autonomic Regulation During the First Hours of Sleep in a Large Real-World Sample of Finnish Employees: Observational Study. JMIR Ment Health. 2018. PMID 29549064
  3. Kaneita Y, et al. Use of alcohol and hypnotic medication as aids to sleep among the Japanese general population. Sleep Med. 2007. PMID 17512790
  4. Britton A, et al. The association between alcohol consumption and sleep disorders among older people in the general population. Sci Rep. 2020. PMID 32210292
  5. Burgos-Sanchez C, et al. Impact of Alcohol Consumption on Snoring and Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-analysis. Otolaryngol Head Neck Surg. 2020. PMID 32513091
  6. 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会. 健康づくりのための睡眠ガイド2023. 2024. リンク
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加藤順彦
代表者加藤順彦MARUICHI PTE. LTD. CEO

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山中大介医師
監修者・医師山中大介DMTC CLINIC 院長

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