こんにちは、ReverseAging.Tech 薬剤師の安藤です。
今回は、間葉系幹細胞(MSC)が体の中でどのように働くのか、再生医療の核ともいえる「4つの作用メカニズム」について、わかりやすく解説していきます。幹細胞治療の本質にぜひ触れてみてください。
幹細胞が持つ4つのはたらき
間葉系幹細胞(MSC)は、骨髄や脂肪、臍帯(へその緒)などから取り出される特別な細胞で、体のさまざまな組織に変化する力を持っています。
たとえば、MSCは骨や軟骨、脂肪の細胞などに変わることができ、傷ついた組織を修復する働きがあるため、医療の世界で大きな注目を集めています。
中でも、骨髄由来や臍帯由来の間葉系幹細胞は、若くて活性が高く、治療に使われる機会が増えています。また、間葉系幹細胞には「拒絶されにくい」という特徴があり、自分の細胞でなくても使えるのが大きな魅力です。これにより、他人から提供された幹細胞を使った治療も可能になっています。
この記事では、こうした間葉系幹細胞を点滴で体に届けたあと、どのようにして効果を発揮するのかを、専門知識がない方でも理解できるようにわかりやすくご紹介していきます。
ポイントは主に4つの働きに注目です。

- ホーミング効果(傷んだ場所を探し出す力):点滴された幹細胞は、体の中を巡りながら、ダメージを受けている場所を自ら見つけて集まる性質があります。まるで「傷を治したい場所」を探し当てるナビのような働きです。
- パラクリン効果(周りの細胞をサポートする力):幹細胞は、自分自身が変化するだけでなく、成長因子やサイトカインといった物質を出して、周囲の細胞の働きをサポートします。これにより、治癒を間接的に後押しする効果が期待されます。
- 免疫調整作用(炎症をおさえ、免疫バランスを整える):幹細胞は免疫細胞とやりとりしながら、過剰な炎症をしずめたり、弱った免疫を整えたりする作用があります。アレルギーや自己免疫の不調にも効果が期待されています。
- 分化能力(必要な細胞に変わって再生を促す力):必要に応じて、幹細胞そのものが骨や軟骨、血管などに変わり、傷ついた部分の再生に直接関わることがあります。体の中で足りないパーツを補うイメージです。
それでは、それぞれの働きについて詳しく見ていきましょう!
ホーミング効果(傷んだ場所を探し出す力)

ホーミング効果とは、幹細胞(MSC)が体の中で傷ついた場所や炎症が起きている組織を“嗅ぎ分けて”自ら集まっていく働きのことです。
“homing”という言葉には「巣に帰る」「目標に向かっていく」といった意味があり、体の中でダメージを受けた部位に幹細胞が自然と引き寄せられていく様子を表しています。
私たちの体は、ケガや病気でダメージを受けると、「ここが傷んでいるよ!」という信号を出します。幹細胞はその信号を敏感に察知し、問題のある場所を目指して移動します。まるで修理部隊が必要な現場に自動で駆けつけるようなイメージです。
実際には、点滴で投与された幹細胞の多くが、血流に乗り、最初は心臓や肺に一時的に留まりますが、時間がたつにつれ、損傷した部位に移動していくことが研究で確認されています。
このホーミング効果によって、幹細胞は必要な場所にしっかり届き、修復や再生をサポートする準備を始めるのです。まさに「ピンポイントで治す」ための第一歩となる働きです。
パラクリン効果(周りの細胞をサポートする力)

幹細胞(MSC)は、傷んだ場所に到達すると、自分自身が変化して再生に関わるだけでなく、まわりの細胞の回復を間接的に助ける働きも持っています。これが「パラクリン効果」と呼ばれるはたらきです。
幹細胞は、傷んだ組織のまわりに向けて、さまざまな回復を促す物質を放出します。たとえば、細胞の再生を促す「成長因子」や、炎症を抑える「サイトカイン」、他の細胞の動きをサポートする「ケモカイン」などがあります。また、最近注目されている「エクソソーム」という小さなカプセル状の粒子も分泌し、まわりの細胞と情報をやり取りしながら、回復を加速させます。
分泌される代表的な因子には以下のようなものがあります:
- VEGF(血管内皮増殖因子):新しい血管をつくり、血流を回復
- HGF(肝細胞増殖因子):損傷した臓器の修復をサポート
- IL-10(インターロイキン-10):炎症を抑えて免疫のバランスを整える
- IGF-1(インスリン様成長因子-1):細胞の成長と生存を促進
これらの働きによって、幹細胞は「その場にとどまって再生する」だけでなく、「周囲の細胞がより早く、正しく修復されるよう整える」という役割も担っています。
間葉系幹細胞のパラクリン効果は、幹細胞点滴療法において非常に重要なメカニズムのひとつであり、体が本来持つ自然な回復力を高め、治癒環境そのものを整える力として注目されています。
免疫調節能(炎症をおさえ、免疫バランスを整える)

体に炎症が起こるのは、ケガや病気を治そうとする自然な反応です。でも、その炎症が強すぎたり長引いたりすると、かえって組織を傷つけてしまうことがあります。
風邪を引いたりケガをすると目に見えて炎症反応が起こります。熱や身体の痛み・腫れなどとなって現れるからです。これを「急性炎症」と言います。私たちの身体では、この急性炎症以外に、「慢性炎症」という炎症も起きています。
この「慢性炎症」は、急性炎症のように熱や痛みなどのハッキリとした症状が出ないため、自覚しにくいのが特徴です。気づかないうちに体の中でじわじわと炎症が続き、それが長期間にわたって細胞や組織にダメージを与えていきます。
慢性炎症は、老化のスピードを早めたり、動脈硬化・糖尿病・認知症・がんなど、さまざまな病気の土台になることが近年の研究で明らかになってきました。
まさに“静かな炎”とも言えるこの状態は、現代人の健康リスクのひとつとも言われています。
だからこそ、慢性炎症をコントロールすることは、病気を防ぎ、若々しさを保つためにもとても大切なのです。
幹細胞が持つ「免疫調整作用」は、この慢性的な炎症をしずめ、体を本来のバランスへと整えてくれる可能性があると注目されています。
幹細胞は、炎症を抑える「IL-10」や「TGF-β」といった物質を分泌し、炎症を起こす免疫細胞の働きを穏やかにしたり、逆に炎症を抑える細胞の働きを助けたりします。こうして体の状態を「攻撃モード」から「修復モード」へと切り替えてくれるのです。
幹細胞は、さまざまな免疫細胞とバランスをとる働きをしています:
- T細胞の暴走を抑え、炎症を静める働きを持つ「制御性T細胞(Treg)」を増やします。
- 樹状細胞の動きを落ち着かせ、炎症を起こす物質の分泌を減らします。
- マクロファージを、「攻撃型(M1)」から「修復型(M2)」に変えることで、組織の再生を助けます。
- NK細胞やB細胞といった他の免疫細胞の過剰な反応もやさしくコントロールします。
実際、免疫が暴走してしまう「GVHD(移植片対宿主病)」という難しい病気の患者さんにMSCを投与したところ、炎症が落ち着き、症状の改善が見られたという報告もあります。
このようにMSCは、体の中で「静かな調整役」として働き、治癒に集中できる環境を整えてくれる存在です。免疫が関係する病気や慢性炎症に対して、大きな可能性が期待されています。
分化能(必要な細胞に変わって再生を促す力)

間葉系幹細胞は、その「幹」の字の通り「さまざまな細胞の元」となる力を持っています。特に注目されているのが「分化能(ぶんかのう)」と呼ばれる能力です。これは、幹細胞が状況に応じて骨や軟骨、脂肪、筋肉など、必要とされる細胞に姿を変える力のことを指します。
この分化能は、まさに再生医療の根幹を支える力です。たとえば、骨折や関節の損傷が起きたとき、MSCが骨や軟骨の細胞へと変化することで、ダメージを受けた組織そのものを“新しく作り直す”ことが可能になるのです。
研究の中では、試験管内でMSCが骨芽細胞や軟骨細胞、脂肪細胞にしっかりと分化することが確認されており、医療現場では関節疾患、歯周病、骨欠損、さらには心筋や神経の再生など、さまざまな分野への応用が進んでいます。
幹細胞が「必要なときに、必要な細胞へ」と変化できる分化能は、まさに体の再生力を支える柱のひとつです。
日本ではできない若返りをマレーシアで:オンライン相談会
日本では法律上、自分の細胞を使った幹細胞治療しか認められていませんが、マレーシアでは他家の「若い」幹細胞を使った先進的な点滴療法が実現しています。
年齢に左右されない0歳の臍帯由来幹細胞を用いることで、再生力の高い細胞が全身に働きかけ、内側から若返りをサポートします。日本では体験できないこの最新の幹細胞治療を、ぜひマレーシアで体感してみてください。
ReverseAging.Techでは、オンライン相談会をご用意しております。
「自分にも合うのだろうか?」「もっと詳しく聞いてみたい」と思われた方は、ぜひご参加ください。
直接ご相談を伺い、あなたの体調やご不安に寄り添いながら、丁寧にご案内いたします。お気軽にお申し込みください。
